異世界デビューに失敗したので現地の少年を最強系主人公に育てたいと思います。

にしだ、やと。

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7. ローシュの提案

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「お前さん、魔術の勉強をしてみる気はないか?」

 ローシュは部屋にやってくるなり、唐突にそんなことを言い出した。

「え? 魔術?」

 何、魔術とな?
 それは俺も興味があるぞ。

「ああ。お前は覚えていなかったみたいだが俺があの現場に駆けつけた時、ラウォルグ――つまりセイロたちを襲っていた魔獣だな。奴は何者かによって気絶させられていたんだ」
「そ、そうなんですか?」

 セイロ……お前誤魔化すの下手だな。ローシュのおっさんも若干怪しんでるぞ。
 ん? っていうかもしかして俺の一撃で倒しきれてなかったのか……?

「ああ。そしてその何者か、っていうのが肝なんだが……それはお前、セイロだと俺は確信している。なぜかっていやぁ、現場に残っていた魔力の残滓だな。それが気を失っているお前の体から感じられたからだ」
「ぼ、僕が……?」
「これは俺の予想なんだが、魔獣に襲われるっていう窮地に立たされたことで、お前の中に眠っていた才能が目覚めて無意識のうちに魔力を解き放ってしまったんだろう」
「えーっと、うーん……」
「おっと、すまない。セイロの歳だと少し難しい話になってしまったか? 要は、お前さんには魔術の才能があるってことだよ。それに内包している魔力の容量もかなりあるらしい」

 やはりこのおっさん、相当な手練れらしい。たったそれだけの状況証拠から当たらずとも遠からずなラインまで推理するとは。
 流石に俺というイレギュラーな存在までは予想できなかったみたいだが、それは仕方ないだろう。

「だからな、お前には是非魔術を勉強して欲しいんだ。こういうのを始めるのは早ければ早いほどいいからな。どうだ? 興味はないか?」
「魔術……興味はあるんですけど、うーん」

 おや? セイロお前ちょっと歯切れ悪いな。
 大人の俺でも魔術が学べるなんて言われたら小躍りするくらいなのに、その歳でためらうってどういうことだ?
 もしかしてこの世界の住人にとって魔法的なサムシングはありふれすぎて、憧れの職業ナンバーワンではないのか⁉︎

「年齢のことなら心配ないぞ。たしかに普通なら魔術の勉強を始めるのは十三の頃、つまり中等教育の段階になってからだ。だがな、世の中には特例ってもんがある。才能がある子供なら、年齢を気にせず教えてもいいっていう学校もあるんだよ」

 なるほど。この世界の教育過程について懸念があるのか?
 いや、でも冷静になって考えてみろ。セイロはまだ十歳とかだぞ。そんな年端も行かない子供がそこまで気にすることか?
 少なくとも俺が十歳のころといえばアホ面晒して野山を駆けずり回ってたし、学校じゃ女の子のパンツを見ることに必死だったぞ。
 将来のことなんて、ましてや日本の教育制度になんて疑問を抱いたことは一度もなかった。

「……ま、急な話だからな。悩むのも仕方ないだろう。セイロの親御さんが動けるようになるまでもう一週間はかかる。それまではお前もここに居ていいし、俺もこの近辺で活動する予定だから、じっくり考えてみてくれ」
「うん、わかりました」

 結局、ローシュの提案に乗るかどうかはすぐに決めないことになった。
 といっても一週間なんてあっという間だし、セイロには親とも相談しつつちゃんと考えて欲しいところだね。
 もちろん、俺としちゃあ是非提案に乗って欲しいところだが……あくまで俺はアドバイザー。最終判断はセイロがするべきだ。
 ……ま、断ったとしても他の方法で魔術については絶対勉強させるけどな。
 っていうか俺がしたいんだよ‼

 さて、この件についてはおいておくとして、だ。
 ここ、確か……メイクラッドって言ったか?
 どうやらセイロはこの街の住人というわけではなさそうだし、せっかくの機会だし軽く散策してほしいんだが。
 この世界の街というものがどういう感じなのか知りたいし、生活水準やら何やら、実際に見て回って掴んでおきたい。
 というわけで、セイロにお願いしてみたところ、

『僕も退屈だなあって思ってたところなんだよね。ローシュさんかいつもご飯を持ってきてくれるお姉さんに聞けば遊びに出られるかな?』

 と、随分ノリノリだった。
 やっぱりまだまだ子供なんだろう。

『街の中は安全なんだよな? それなら多分言ってみれば許可してもらえるだろう。よろしく頼む』
『はあい』

「あのー、お姉さん、ちょっといいですか?」
「うん、何かな?」

 昼食を部屋に持ってきてくれた受付のお姉さんを呼び止めて、セイロが尋ねる。

「パパたちが治るまですることがなくって。外に遊びに行ってもいいですか?」
「うーん、そうねえ。確かにここじゃ退屈よね。かといってセイロ君一人遊びに行かせるのもちょっと不安よねえ……」
「遠くには行かないって約束します。それに、人の居ないところにも」
「あら、セイロ君は本当にしっかりしてるのね。そうね、わかったわ。ただし、日が暮れる前にはちゃんと戻ってくること、それから、出かけるときには必ずギルドの誰かに声をかけるようにしてね」
「わかりました!」

 セイロが元気よく返事をすると、受付のお姉さんはニコッと笑みを浮かべて嬉しそうにしていた。
 いい娘だなあ。たまたま預かることになっただけの子供なのに、こんなに心配してくれて。
 うん、彼女の気持ちに答えるために俺もきちんとセイロのことを見守ってやろう。
 いざとなればまた身体を乗っ取って……そういやあれがどういう条件で出来るのかも確認しておいたほうが良いな。
 気がついたら守護霊モードになってたわけだし。

 ま、とりあえず市街へと出向くとしますか!
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