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1章の閑話
変わってきたイーヴァ(異世界五日目)イリス視点
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『だれかぁーっ ばあちゃんがー』
聞こえた声にびっくりした。
イーヴァの大声だったから。
あの子を私が拾ってきて五年。漸く会話が文章で話されるようになった。
出会った頃は問いかけても、精々頷くか首を振るだけで。たいていは反応すらしないで。
ご飯を食べる時も一人きりでないと、食べようとせず。それは眠るときも同じで。
誰かが触れるたび、びくりと身を縮め……
何日もたって、誰も傷つけてこないことが分かるまで、あの子は眠る事さえしなかった。精々、身を縮め身体を休めているだけだった。
他人の気配にさとく、何を言っても反応しないで。
一年近く側にいて、一緒に食事ができるようになっても殆ど会話にはならなかった。
問いかけても、首を振るだけだった。
一緒に旅をしても、狩りに出ても、イーヴァは変わらなかった。
仲間内で何かを決めることがあっても、頷くか首を降るかで。
二年が過ぎようかという頃に、声で返事をするようになり、食堂で食べられるようになった。
その頃だろうか、ベッドで眠るようになったのも。
少しずつ身体も成長し、仲間内でも言葉を発するようにはなった。
触れられるのは苦手なままだったが。
今、感情のまま大声で助けを求めている。
自分のためでなく、他人のために。
あの子はあの人のために変わろうとしている。
聞こえた声にびっくりした。
イーヴァの大声だったから。
あの子を私が拾ってきて五年。漸く会話が文章で話されるようになった。
出会った頃は問いかけても、精々頷くか首を振るだけで。たいていは反応すらしないで。
ご飯を食べる時も一人きりでないと、食べようとせず。それは眠るときも同じで。
誰かが触れるたび、びくりと身を縮め……
何日もたって、誰も傷つけてこないことが分かるまで、あの子は眠る事さえしなかった。精々、身を縮め身体を休めているだけだった。
他人の気配にさとく、何を言っても反応しないで。
一年近く側にいて、一緒に食事ができるようになっても殆ど会話にはならなかった。
問いかけても、首を振るだけだった。
一緒に旅をしても、狩りに出ても、イーヴァは変わらなかった。
仲間内で何かを決めることがあっても、頷くか首を降るかで。
二年が過ぎようかという頃に、声で返事をするようになり、食堂で食べられるようになった。
その頃だろうか、ベッドで眠るようになったのも。
少しずつ身体も成長し、仲間内でも言葉を発するようにはなった。
触れられるのは苦手なままだったが。
今、感情のまま大声で助けを求めている。
自分のためでなく、他人のために。
あの子はあの人のために変わろうとしている。
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