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登場人物紹介編
護衛隊 エルム
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護衛隊
緑の風 ランクAのチーム
リーダー
エルム
【名前】エルム = ラ = ソル
【年齢】32
【職業】冒険者
【HP】160
【MP】100
【魔属性】風 木
【スキル】鑑定 檻守 監
髪の色 榛色(ヘーゼルナッツ)
瞳の色 碧
身長 180cm
体重 72kg
☆☆☆ エルム少年の旅立ち 1 ☆☆☆
俺はエルム。父と母と弟とスクルト村で暮らしている。
森のど真ん中といっていいぐらい森の中の村だ。
村の人は200人もいないだろう。
閉鎖的だが居心地は悪くない。
食べるものも森の中ということもあり豊富だ。
木の実や野草、獣も多く獲れる。
しかし、足りないものも多い。
鉱物、武器、魔術具、教育などは、街へ行かないと無いものだ。
この村の子供は12才になれば森からほど遠くない町の学校に行く。
3年ほどかけて、文字や魔術、生産技術を覚えて村に戻る。
もちろん、そのまま出ていく者もいる。
町の教育受けてそのまま官吏や兵士になるもの。魔法士になるもの。
そして、冒険者となるものもいる。
俺達ももう12歳だ。
もうすぐ村を出ることになっている。
俺は何になれるだろうか。
魔力も然程ではない。
属性も大したものではない。
ただスキルがよく解らないものだから、先も読めない。
何になりたいのか。
何になれるのか。
何をしたいのか。
どこで生きていきたいのか。
両親と弟とずっと離れて暮らすのか。
子供として親の面倒は見なくていいのか。
兄として、弟の手本として生きるのか……
俺は……
憎んではいないと思う。
俺より秀でている弟を。
だが、疎ましく思ったことはないか?
もう少し普通だったらと思ったことはないか、と問われれば、あると言わざるを得ない。
このまま村を出て行くのか。
村を捨てる訳ではない。
皆がこの狭い村で暮らせる訳ではないから。
先に村から出た者達が別に作ったところもある。
冒険者として放浪するものも、国や町に定住して生活するものもいる。
思考はぐるぐる廻るだけで、決める事ができない。
いつも考えてばかりで行動できない自分。
学べば少しは変わるのだろうか……
「兄さん、父さんが呼んでるよ」
「あ、ごめん。聞こえてなかった」
「出ていくの?」
「ん?学校へ行くだけだよ」
「その後だよ」
「まだ、決めてないなぁ」
「うそ。ずっと考えてる。僕の事、嫌いでしょう」
「嫌いなもんか。弟だぞ? なんでそう思うんだ?」
「だって皆が……」
「言いたいやつは何処でもいる。確かにお前は俺より魔力も高いし力もある。スキルも解りやすいし汎用もある。だけどそれだけだ。まだ出来ないこともあるし、泣き虫だろ?」
「な、泣き虫じゃないっ」
「お前だけに全部は押し付けないよ。長になったら補助してやるし」
「なんで最初から諦めてるの? 兄さんが長やればいいじゃないかっ」
「無理だな」
「なんっ」
「それになりたくないから」
「僕だってやだ…… なんで…… 」
「仕方ないな。長がそう決めたのだから」
「叔父さんたちは解ってない」
「俺たちはまだ若いし直ぐじゃないだろ? これから学校にだって行くし。叔父さんも父さんより若いんだからまだまだ先だぞ?」
「うん」
「何が不安なんだ?」
「兄さんがこの村を捨ててしまうような気がして」
「あ、それはないな。村を出て行ったとしても帰って来るところはスクルトだ。この村だよ」
「本当に? 僕たちを見捨てない?」
「見捨てる訳ないじゃないか。育ったところだぞ」
「だってここは兄さんに優しくない」
「お前はまたそんな事をいう…… 」
俺の迷いを的確に言い表す弟……
だがしかしそれで逃げ道を塞ぐように、それが潰されていく。
分かっていてそういう言葉を紡ぐやつ。
そしてそれを無碍にはできない自分。
三年間……
それが人生を決められる最後の時間。
外へ……
最後の時間が始まる。
緑の風 ランクAのチーム
リーダー
エルム
【名前】エルム = ラ = ソル
【年齢】32
【職業】冒険者
【HP】160
【MP】100
【魔属性】風 木
【スキル】鑑定 檻守 監
髪の色 榛色(ヘーゼルナッツ)
瞳の色 碧
身長 180cm
体重 72kg
☆☆☆ エルム少年の旅立ち 1 ☆☆☆
俺はエルム。父と母と弟とスクルト村で暮らしている。
森のど真ん中といっていいぐらい森の中の村だ。
村の人は200人もいないだろう。
閉鎖的だが居心地は悪くない。
食べるものも森の中ということもあり豊富だ。
木の実や野草、獣も多く獲れる。
しかし、足りないものも多い。
鉱物、武器、魔術具、教育などは、街へ行かないと無いものだ。
この村の子供は12才になれば森からほど遠くない町の学校に行く。
3年ほどかけて、文字や魔術、生産技術を覚えて村に戻る。
もちろん、そのまま出ていく者もいる。
町の教育受けてそのまま官吏や兵士になるもの。魔法士になるもの。
そして、冒険者となるものもいる。
俺達ももう12歳だ。
もうすぐ村を出ることになっている。
俺は何になれるだろうか。
魔力も然程ではない。
属性も大したものではない。
ただスキルがよく解らないものだから、先も読めない。
何になりたいのか。
何になれるのか。
何をしたいのか。
どこで生きていきたいのか。
両親と弟とずっと離れて暮らすのか。
子供として親の面倒は見なくていいのか。
兄として、弟の手本として生きるのか……
俺は……
憎んではいないと思う。
俺より秀でている弟を。
だが、疎ましく思ったことはないか?
もう少し普通だったらと思ったことはないか、と問われれば、あると言わざるを得ない。
このまま村を出て行くのか。
村を捨てる訳ではない。
皆がこの狭い村で暮らせる訳ではないから。
先に村から出た者達が別に作ったところもある。
冒険者として放浪するものも、国や町に定住して生活するものもいる。
思考はぐるぐる廻るだけで、決める事ができない。
いつも考えてばかりで行動できない自分。
学べば少しは変わるのだろうか……
「兄さん、父さんが呼んでるよ」
「あ、ごめん。聞こえてなかった」
「出ていくの?」
「ん?学校へ行くだけだよ」
「その後だよ」
「まだ、決めてないなぁ」
「うそ。ずっと考えてる。僕の事、嫌いでしょう」
「嫌いなもんか。弟だぞ? なんでそう思うんだ?」
「だって皆が……」
「言いたいやつは何処でもいる。確かにお前は俺より魔力も高いし力もある。スキルも解りやすいし汎用もある。だけどそれだけだ。まだ出来ないこともあるし、泣き虫だろ?」
「な、泣き虫じゃないっ」
「お前だけに全部は押し付けないよ。長になったら補助してやるし」
「なんで最初から諦めてるの? 兄さんが長やればいいじゃないかっ」
「無理だな」
「なんっ」
「それになりたくないから」
「僕だってやだ…… なんで…… 」
「仕方ないな。長がそう決めたのだから」
「叔父さんたちは解ってない」
「俺たちはまだ若いし直ぐじゃないだろ? これから学校にだって行くし。叔父さんも父さんより若いんだからまだまだ先だぞ?」
「うん」
「何が不安なんだ?」
「兄さんがこの村を捨ててしまうような気がして」
「あ、それはないな。村を出て行ったとしても帰って来るところはスクルトだ。この村だよ」
「本当に? 僕たちを見捨てない?」
「見捨てる訳ないじゃないか。育ったところだぞ」
「だってここは兄さんに優しくない」
「お前はまたそんな事をいう…… 」
俺の迷いを的確に言い表す弟……
だがしかしそれで逃げ道を塞ぐように、それが潰されていく。
分かっていてそういう言葉を紡ぐやつ。
そしてそれを無碍にはできない自分。
三年間……
それが人生を決められる最後の時間。
外へ……
最後の時間が始まる。
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