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8.契約書に『アレ』の記載は?
契約書に『アレ』の記載は?⑤
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「してない。いちばん感じそうなところにはまだ触れてもない」
いちばん……。
「美冬だって喋るほどに余裕があるだろう?」
どういうことだろうか?
美冬はさらにドキドキしてきてしまった。
「いっぱいいっぱいだ……よ?」
「余裕だろ」
美冬の胸元でニッと笑った槙野の目が真っ直ぐに美冬を射抜いて、その口元がぺろっと軽く自分の唇を舐める。
そんな槙野の仕草に美冬はどくんと大きく心臓が跳ねたのを感じたのだ。
「本当に感じまくったら、そんな話す余裕なんてねぇぞ」
「それって……どういう……」
「そうなりたい?」
美冬は完全に肉食獣にロックオンされた子うさぎのような気分で、蛇に睨まれた蛙も同然なのだった。
話す余裕がないってどういうことなの?
美冬は涙目になって、首を横に振るので精一杯だ。
くっ……と声を漏らした槙野が美冬の胸元にうつ伏せて肩を揺らしている。
か、からかわれたっ!!
「もうっ! からかったのね」
「肩の力が抜けただろうが。たくさん感じればいい。そうさせたいし、俺は美冬としかしないし美冬も俺としかしないんだ」
慣れているのかもしれないけれど、槙野はさっきから自分に正直なことしか言っていない。
槙野には嘘はないのだ。
だから、美冬も正直に伝えてみた。
「あのね……怖いの。初めてだから、とても怖い」
それでも、夫婦になるのだし避けて通るつもりはない。
「それに、慣れていないから祐輔を満足させられないかも」
「美冬が? 俺を満足させるの? へーえ……そのままでいろよ。物慣れない方が滾るってこともある」
槙野がそっと美冬の頭を撫でる。
その瞳は先程までとは違って慈しむような優しい瞳だった。
「美冬は意外と気遣いする方だよな。そういうところもいいなって思う。怖かったら最後まではしない。でも、俺は美冬に触れたい」
「でも、それじゃ……」
「美冬が感じてくれたら、すげー満足すると思うけど」
処女を俺のテクニックでガンガンイカせるって良くない?とにやりと笑うので、美冬はまたぺしっと肩を叩く。
「そうやってすぐからかって!」
そうしたら真顔でその手を掴まれた。
「なぁ? いつもそんな風に気軽に男に触れんの?」
「え?」
美冬は首を傾げる。
叩きたくなるくらい腹が立つのは槙野だけだと思うし、そう言えば他の誰にも美冬はそんなことはしたことがなかった。
「そう言えば……誰にもそんなことしたことないわ。なんでかしら」
たぶんとってもムカつくからだわ。
「そう言われると複雑ではあるが、俺以外にはやるなよ?」
「どうして?」
「誤解する男が出てくるかもしれないからだよ」
美冬はくすくすっと笑った。
「まさかぁ、そんなのないわよ」
「美冬は可愛いよ。それは少しは自覚したほうがいい」
槙野が正直なのは分かっているけれど、さっきから言われている可愛いって、果たして本当のことなんだろうか?
いちばん……。
「美冬だって喋るほどに余裕があるだろう?」
どういうことだろうか?
美冬はさらにドキドキしてきてしまった。
「いっぱいいっぱいだ……よ?」
「余裕だろ」
美冬の胸元でニッと笑った槙野の目が真っ直ぐに美冬を射抜いて、その口元がぺろっと軽く自分の唇を舐める。
そんな槙野の仕草に美冬はどくんと大きく心臓が跳ねたのを感じたのだ。
「本当に感じまくったら、そんな話す余裕なんてねぇぞ」
「それって……どういう……」
「そうなりたい?」
美冬は完全に肉食獣にロックオンされた子うさぎのような気分で、蛇に睨まれた蛙も同然なのだった。
話す余裕がないってどういうことなの?
美冬は涙目になって、首を横に振るので精一杯だ。
くっ……と声を漏らした槙野が美冬の胸元にうつ伏せて肩を揺らしている。
か、からかわれたっ!!
「もうっ! からかったのね」
「肩の力が抜けただろうが。たくさん感じればいい。そうさせたいし、俺は美冬としかしないし美冬も俺としかしないんだ」
慣れているのかもしれないけれど、槙野はさっきから自分に正直なことしか言っていない。
槙野には嘘はないのだ。
だから、美冬も正直に伝えてみた。
「あのね……怖いの。初めてだから、とても怖い」
それでも、夫婦になるのだし避けて通るつもりはない。
「それに、慣れていないから祐輔を満足させられないかも」
「美冬が? 俺を満足させるの? へーえ……そのままでいろよ。物慣れない方が滾るってこともある」
槙野がそっと美冬の頭を撫でる。
その瞳は先程までとは違って慈しむような優しい瞳だった。
「美冬は意外と気遣いする方だよな。そういうところもいいなって思う。怖かったら最後まではしない。でも、俺は美冬に触れたい」
「でも、それじゃ……」
「美冬が感じてくれたら、すげー満足すると思うけど」
処女を俺のテクニックでガンガンイカせるって良くない?とにやりと笑うので、美冬はまたぺしっと肩を叩く。
「そうやってすぐからかって!」
そうしたら真顔でその手を掴まれた。
「なぁ? いつもそんな風に気軽に男に触れんの?」
「え?」
美冬は首を傾げる。
叩きたくなるくらい腹が立つのは槙野だけだと思うし、そう言えば他の誰にも美冬はそんなことはしたことがなかった。
「そう言えば……誰にもそんなことしたことないわ。なんでかしら」
たぶんとってもムカつくからだわ。
「そう言われると複雑ではあるが、俺以外にはやるなよ?」
「どうして?」
「誤解する男が出てくるかもしれないからだよ」
美冬はくすくすっと笑った。
「まさかぁ、そんなのないわよ」
「美冬は可愛いよ。それは少しは自覚したほうがいい」
槙野が正直なのは分かっているけれど、さっきから言われている可愛いって、果たして本当のことなんだろうか?
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