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23.ガールズ・コレクション
ガールズ・コレクション②
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「へぇ? ガールズコレクション?」
帰ってきた槙野に美冬は真っ先に報告した。
美冬はキッチンで夕飯の準備をしている。
いつもはお互いに帰りも遅く、外食がほとんどの二人なのだが、美冬は今日はもう落ち着かなくて、杉村に社長室を追い出されてしまったのだ。
それは杉村の思いやりなのだろうが。
「うん! 本来ならターゲットではないからレギュラーではなくてスペシャルゲスト扱いなんだけど。でも、ケイエムコラボで注目してくれたんだと思うわ」
嬉しそうに話す美冬を見て、つい、という感じで槙野は口角がきゅっと上がってしまっている。
「良かったな」
実を言えば槙野にはその価値がよく分からない。
けれども美冬がこれほどまでに嬉しそうなのだから、それは相当に良いことなのだろうと判断した。
それに自分の愛する人がとても嬉しそうなのは幸せだ。
今日のように、とても可愛いエプロン姿で出迎えてくれるのは、たまにのことなので槙野もテンションが上がる。
茹で上がったパスタを手製のボンゴレビアンコのソースと混ぜながら、美冬はカウンターの向こうにいる槙野にパスタをお皿に乗せて渡した。
槙野はテーブルセットしながら、他の惣菜を別の皿に盛り付けている。
そんな槙野にキッチンから美冬は話しかけてくるのだ。
なんでもないこんな日常が幸せなのである。
「今回は京都開催なのよ。いつもとても大きな会場を使うの。今回はどこか寺院だった気がするわ。寺院の庭とかでファッションショーをするらしいわね」
「寺院でファッションショー!?」
その組み合わせにさすがの槙野も驚いて、思わず手が止まる。
色々寺院でイベントをやることも最近は多いと聞いてはいるが、ファッションショーまで開催するとは思わなかった。
「コンサートとかもあるらしいものね。ブランド毎で違う寺院を使うらしいから街全体がファッションウイークになるんでしょうね。すごく楽しみだわ」
「そんなに大きな規模のものなのか。俺も行こう。ミルヴェイユの晴れ姿だからな」
「祐輔は忙しいんじゃないの?」
「妻の晴れ姿を見ることくらい許してほしいな。それに時間があれば美冬と京都を散策するのも悪くない」
「時間あるかなあ……」
そうして、よく冷えたワインボトルをダイニングに持って来た美冬からボトルを受け取る槙野は、受け取る前にさらりと美冬の頬を撫でた。
「美冬は仕事だからな。無理に時間を作らなくてもいい。ただ、一緒に回れたら俺が嬉しいってだけだ」
「もし、回れなかったら、今度二人で行きましょう」
「そうだな」
美冬の手からワインを受け取り、槙野はワインオープナーを使って器用にボトルを開ける。
仕事から帰ってきて、こんな風に二人で食事をしながら、自宅でワインを飲む楽しみは最近になって覚えたものだ。
美冬も忙しいので、食卓に出るものの全てが手作りという訳ではないけれど、それでも今日のボンゴレビアンコは以前美冬が作ってくれてとても美味しかったので、槙野がリクエストしたものだ。
『そんなものでいいの?』
そう美冬は言ったけれど、シンプルな味付けゆえにとても美味しい。
帰ってきた槙野に美冬は真っ先に報告した。
美冬はキッチンで夕飯の準備をしている。
いつもはお互いに帰りも遅く、外食がほとんどの二人なのだが、美冬は今日はもう落ち着かなくて、杉村に社長室を追い出されてしまったのだ。
それは杉村の思いやりなのだろうが。
「うん! 本来ならターゲットではないからレギュラーではなくてスペシャルゲスト扱いなんだけど。でも、ケイエムコラボで注目してくれたんだと思うわ」
嬉しそうに話す美冬を見て、つい、という感じで槙野は口角がきゅっと上がってしまっている。
「良かったな」
実を言えば槙野にはその価値がよく分からない。
けれども美冬がこれほどまでに嬉しそうなのだから、それは相当に良いことなのだろうと判断した。
それに自分の愛する人がとても嬉しそうなのは幸せだ。
今日のように、とても可愛いエプロン姿で出迎えてくれるのは、たまにのことなので槙野もテンションが上がる。
茹で上がったパスタを手製のボンゴレビアンコのソースと混ぜながら、美冬はカウンターの向こうにいる槙野にパスタをお皿に乗せて渡した。
槙野はテーブルセットしながら、他の惣菜を別の皿に盛り付けている。
そんな槙野にキッチンから美冬は話しかけてくるのだ。
なんでもないこんな日常が幸せなのである。
「今回は京都開催なのよ。いつもとても大きな会場を使うの。今回はどこか寺院だった気がするわ。寺院の庭とかでファッションショーをするらしいわね」
「寺院でファッションショー!?」
その組み合わせにさすがの槙野も驚いて、思わず手が止まる。
色々寺院でイベントをやることも最近は多いと聞いてはいるが、ファッションショーまで開催するとは思わなかった。
「コンサートとかもあるらしいものね。ブランド毎で違う寺院を使うらしいから街全体がファッションウイークになるんでしょうね。すごく楽しみだわ」
「そんなに大きな規模のものなのか。俺も行こう。ミルヴェイユの晴れ姿だからな」
「祐輔は忙しいんじゃないの?」
「妻の晴れ姿を見ることくらい許してほしいな。それに時間があれば美冬と京都を散策するのも悪くない」
「時間あるかなあ……」
そうして、よく冷えたワインボトルをダイニングに持って来た美冬からボトルを受け取る槙野は、受け取る前にさらりと美冬の頬を撫でた。
「美冬は仕事だからな。無理に時間を作らなくてもいい。ただ、一緒に回れたら俺が嬉しいってだけだ」
「もし、回れなかったら、今度二人で行きましょう」
「そうだな」
美冬の手からワインを受け取り、槙野はワインオープナーを使って器用にボトルを開ける。
仕事から帰ってきて、こんな風に二人で食事をしながら、自宅でワインを飲む楽しみは最近になって覚えたものだ。
美冬も忙しいので、食卓に出るものの全てが手作りという訳ではないけれど、それでも今日のボンゴレビアンコは以前美冬が作ってくれてとても美味しかったので、槙野がリクエストしたものだ。
『そんなものでいいの?』
そう美冬は言ったけれど、シンプルな味付けゆえにとても美味しい。
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