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本編・第二部
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唇が、ゆっくりと離れていく。目の前に切れ長の瞳がある。その瞳を力いっぱい睨みつけた。
智さんは呆然と瞳を揺らしている。その表情にすら……苛立ちを覚える。
「私が……なんで怒ってるか、わかりますか」
「知、香……?」
「なんで私を蚊帳の外にするんですか。……私の、ことなのに」
最後の言葉が、震えた。智さんのネクタイからゆっくり手を離す。
「智さん。俺を頼れって言いますけど。智さんの方こそ私のこと信用してないじゃないですか」
「……え、」
智さんが驚いたように、ぱちり、と、瞬きをする。
「私を信用してない人に頼ることなんて出来ません」
「知香、何の話だ」
「……っ、とぼけないで!」
ぐわり、と。言いようのない感情に支配された。ここが外だろうと、会社の人が見ていようと、もうどうでもよかった。
「小林くんに。また、宣戦布告されたんですね」
「……」
目の前の智さんは、何故それを、という顔をして押し黙る。
「なんで……なんで、私のことなのに、私を蚊帳の外にするんですか? 片桐さんが私に執着する理由だって、智さんはとっくの昔に知ってるんでしょう? 私には何も言わないのに、全部一人で解決しようとして」
それでもなお黙ったままの智さんに、あまりにも腹が立った。ぶちん、と。私の中の何かが、勢いよく弾ける。
「私がそんなに信用できないですか? 私は…………蚊帳の外にされるくらい、頼りないの!?」
怒りのあまり、思わず言葉尻が荒くなってしまった。それでも構わない。少しくらい、私の怒りが伝われば、それでいい。
「違う」
「何が違うの!? 違わないじゃない!!」
涙が、ぽろりと。また溢れた。
『私たち』のことなのに。どうして『私』は、こんなにも、頑ななほどに関わらせてもらえないのだろう。
「知香……落ち着け」
智さんが手を伸ばしてくる。咄嗟に身体を引いた。
「触らないで」
私が紡いだその言葉に、智さんがひどく傷ついた顔をした。
「そんな顔をするくるいなら、初めからこんなことしなかったらよかったんですよ」
そう呟いて、私は智さんをまた睨みつけた。
「大切な情報を知らされていない、私のことなのに、私が関与できない、そんな私の気持ち……わかる?」
全部全部。智さんが独りで片付けてしまうなら―――『私』が隣にいる意味なんて、あるわけがないのに。
傷ついたように揺れるダークブラウンの瞳を、じっと見つめた。
「……自宅に帰ります。迎えに来てくださって、ありがとうございました」
ぺこり、と頭を下げて、駅に足を向けた。ずんずんと歩いていたけれど、段々足が重くなってくる。
暫く歩いたって。智さんが追いかけてくる気配は、ない。
「…………やらかした、なぁ…」
怒りに任せて、やらかした。そう思った時には、もう遅くて。
きっと。私たちの関係は……終わった、のだ。
追いかけてもこないし、スマホにも連絡がない。
終わりはいつだって、呆気ないのだ。凌牙との時だって。呆気なく、終わってしまった。
はぁ、と大きく息をついた。涙すら出てこない。凌牙の時は、あんなに泣けたのに。
空を見上げると、真っ黒な空が広がっていた。じっとりとした空気が漂う。もうすぐ、雨が降り出しそうだ。街はキラキラと光を灯しているのに。見上げた空は私の心の中みたいに、真っ黒だ。
(……早く、泣いてよ。私の、代わりに……)
その真っ暗な空に、半ば八つ当たりのような言葉を吐いて。ぽつ、と口を動かした。
「……色々、向こうに置いてるし、いつ、取りに行こうかな」
やっぱり……こうなってしまった。ずっと苗字で呼び続けていれば、一線を引いた関係を続けてれば……今みたいな気持ちにはならなかったのだろうか。せっかくお父さんに同棲を許してもらったというのに。置いている荷物……早めに取りに行かなければ。
そんなバラバラな事柄を空を見上げながらぼんやりと考えていたからか……真横に、車が停まって。
―――その中に引き摺り込まれた、ということを認識するのが、遅れた。
バタン、と、ドアが閉まる。嗅ぎなれた香りがする。目の前には、獣の瞳。
「……」
「…………ふざけんなよ」
その言葉だけが静寂の中に響いて、車が動き出した。
---
手首を強く握られたまま、エレベーターを下りた。まるで引っぱられるように、智さんの部屋へ続く廊下を歩いていく。それは、足がつんのめるほどの速さで。
私は、空が泣き出した音をぼんやりと聴きながら。
(……最後に、抱かせろ、ってこと……ね)
彼の考えを察して、全身から力が抜けていくのがわかった。
話し合いをしたい、なら。こんな力で私の手首を握り締めたりはしないだろう。
私はセックスの経験が凌牙と智さんだけだから、身体の相性とかの感覚はわからない。
けれど智さんは、きっと。私たちの相性がいいと、認識している。
相性がいいから……最後に、抱かせろ。そして、出ていけ。そう言われるんだろう、と、思っていたから。
ガチャリ、と、玄関の鍵が下ろされて、突然塞がれた視界に慌てた。
「ちょっ……!?」
布で両目を覆われた事は感触でわかる。後頭部で固く締められた結び目を解こうとして、この視界を塞ぐ布が智さんのネクタイであることを感じ取った。
両手首を掴まれて、ドンッと壁に縫い付けられた。有無を言わさぬその力の強さに、壁に叩きつけるようにされた衝撃に、息が詰まった。
予想外のことが続く。智さんがこんなことをするなんて思ってもいなかった。
「俺の顔を見たら、落ち着かねぇだろ?」
見えないけれど、ふっと、智さんが笑ったのがわかった。
「………どうして?」
「どっちを選んだ? 仔犬? 蛇?」
「は……?」
智さんの言葉の意味がわからなくて、呆けたような声が出た。一体、何の話なのだろう。くつりと喉が鳴った音が響いた。
「逃がさない。知香は、俺のモノだと。俺から離れることなんて出来ないんだと……その身体に、刻みつけて、わからせてやる」
そう呟いて、身体を抱きかかえられた。
「やっ……おろして!」
まるで、荷物のように。肩に担がれる。
モノのように、扱われて。溢れる涙が、ネクタイに吸い込まれていく。
いつだって。優しく、壊れ物のように、それでいて激しく……私に触れる智さんなのに。
どさり、と。酷く乱暴にベッドに降ろされる。スプリングが軋んで、私は降ろされた衝撃で思わず顔を顰めた。
「どっちを選んだ」
低く、智さんの声が響く。「選ぶ」とはどういうことだろうか。何故智さんはこんなことを口にしているのか。
「……智さんが…何を、言ってるのか……わからない」
ふっと、智さんが息を漏らした。荒々しく、引き千切るような勢いで。智さんが私の服に手をかける。
「ここまで来てしらばっくれるなら、もういい。知香の身体の………俺しか、入り込めない、奥の奥まで。俺を、刻み込んでやる」
智さんのネクタイが、私の視界を赤く染めている。何も見えない分、余計に肌の感覚が敏感になっているような気がした。
舐めまわすように私を見ている、視線の強さ。
私の身体を翻弄する、角張った指先の温度。
首筋を掠めていく、熱い、吐息。
容赦なく剥ぎ取られていく……衣服。
(あ…今日の服……智さんが……似合うと合わせてくれた、タートルネック……)
『こっちも、知香の白い肌に映えていいけど』
そう言って、私の首元にタートルネックを合わせてくれた、大晦日の幸せな時間がよぎった。
それすらも踏みにじるような―――乱暴な手つき。
それでも……それでも、限りなく優しくて、そのくせ…残酷なほど甘く触れる、智さんの手に。
私が、抗えるわけもなかった。
「んっ、…ぁ……」
膨らみに咲く限界まで張り詰めた蕾を、ゆっくりと指の腹で撫でられて、思わず漏れた声に。智さんが嘲るように声のトーンを変えて嗤った。
「ねぇ、知香さん。教えて? ……片桐を選んだの? 小林を選んだの?」
その言葉に、智さんが―――勘違いをしていると気がついた。ざぁっと、血の気が引いていく。
「ちがう」
違う。違うのだ。
私が、智さんに怒ったから。私が、智さんを見限って……片桐さんか小林くんを選んだ。
智さんが、考えているのは、きっと……これ、だ。
予想外のことが続いていた。智さんが、こんなことをするなんて思ってなかった。
けれど。
智さんを、こうさせたのは……他でもない、私、だ。
気の抜けたような声で小さく呟いた。
「選んでなんか、ない……」
「どっちかを選んだんだろ。だから俺から離れようとした」
智さんのネクタイの下で、目を見開いた。勘付くより、直接的に言われた方が胸を抉った。ぼろぼろと涙が溢れる。
「違っ、違う!」
否定するように声を荒げる。お腹の奥から、叫ぶ。だけど、智さんは取り合ってくれない。
「何が違う? 俺が知香を信用してないって感じた、だから俺に幻滅した」
「っ、」
「幻滅したから、触るなと言った。そして……どっちかを選んだんだろ」
智さんの心の叫びを、言葉にされて。心が、千切れそうなほど……痛い。
「ちがう、の……お願い、話を聞いて」
ショックで…ただただ、首を振るしかできない。
「そんなので……そんなので、智さんに、幻滅するなんてこと…あるわけ、ない……」
あぁ。そうか。
―――自分の言葉を信じてもらえないのは、こんなに辛いのか。
交差点で、智さんの言葉を信じなかった……聞き入れなかった私も、智さんにこんな思いをさせていたのだ、と、今更ながら思った。
それが智さんに伝わったのか、ゆっくりと視界を塞いでいたネクタイが外される。煌々と寝室の電気が灯っている中で、逆光になっている智さんの顔が。傷ついたように、歪んでいる。
「っ…ごめ…んなさ……わ、私は……智、さんじゃなきゃ…いや……」
涙が、止まらない。ぼろぼろと、制御出来ないほど溢れてくる。
「……」
智さんが、ただただ呆然と私を見つめている。
「……………ざまぁ、ねえなぁ……」
ふわり、と。智さんが、私の頬を撫でてくれた。
「乱暴にして、すまなかった…」
もとはと言えば、私が小林くんの気持ちに気づかないフリをしていたのが原因なのに。それが巡り巡って、勘違いに繋がったのに。
智さんの胸に頬を寄せて、智さんの広い背中に手をまわしワイシャツを力いっぱい握りしめた。
「本当に…すまない……これじゃ、知香の元カレと…同じだ、な……」
自分を責めて、私を労ってくる智さんが。切ないほど愛おしくて、……申し訳なくて。
「……っ、ぅ、ごめん…っ、なさい……」
ぼろぼろと、涙が零れて。ワイシャツに吸い込まれていく。
「……乱暴にしたから……本当に、俺を、嫌いになったか? それなら、俺も…知香を、諦められるから……正直に、言って」
聞いたことの無い苦しそうな声で言葉が紡がれていく。労るように、ぎゅう、と、抱き締められる。私の上にのしかかっているのに……私を潰さないように。その鍛えられた身体を、支えている。
そんな小さな心遣いを目の当たりにし、私がどれだけ智さんから愛されているのかを突きつけられような気がした。
(智さんを……嫌いに)
乱暴にさせたのは、私。だからこそ。
(……嫌いになんか………なれるわけが、ない……)
智さんの胸に顔をくっつけたまま、嗚咽とともに言葉を、私の本心を吐き出していく。
「嫌いになんか……なれない……私を、逃がさないでって、言ったでしょ……」
熱に浮かされたように言葉を紡いだ。
「これから先、何があっても。例え…死んでも。俺は、知香を逃がさねぇよ? ………それでも、いーの?」
一層、強く抱き締められる。ワイシャツ越しに、肋骨から……強い鼓動が私の耳に直接大きく響いた。
「逃がさないで。諦めないで。捕まえていて。何があっても……私を、離さ、ないで」
ふっと。智さんの身体から力が抜けて。ころん、と。智さんと、身体が入れ替わる。
私の身体の下に智さんの身体がある。私は智さんの上に跨るかたちになった。
そっと。智さんの頬に手のひらを当てた。ぽたぽたと、涙が重力のまま滑り落ちていく。
「決めつけて……ごめんなさい…智さんが、私にそういうことを伝えなかったこと、絶対何か理由があったはずなのに……」
ふるり、と。智さんが首を振って。私が智さんの頬にあてた手のひらに、智さんの手が重なった。
「………勝手に、勘違いしてた。俺に呆れたから……どっちかを選んだって……そう思ったら…理性が振り切れて……」
「……そんな事、ありえないのに」
そんな事、ありえない。何があったって……私は、智さんに溺れきっているから。
「蚊帳の外にしていたつもりは、無かった。すまない……」
智さんの声が、震えている。ダークブラウンの瞳が、私の瞳をとらえて……その瞳は僅かに濡れている。
「片桐が、知香に執着してる理由。俺と、同じ理由なんだ」
「……え?」
「俺は。知香の……幸せにしてもらうのではなく、幸せを掴まなきゃいけないっていう言葉に堕ちた。……クリスマスの日に、話したろ?」
こくり、と頷く。無意識に紡いだ言葉だったけれど。私はその言葉で、智さんを救いあげられたことを……一生、忘れないと思っているから。
「片桐も、同じ。ゼロから始めよう、って。知香が、言ったろう。それに……堕ちたんだと。マスターが、言ってた」
「……ぁ…」
ヘーゼル色の瞳が、私を貫いた。幻覚だとわかっているのに……目の前に片桐さんの瞳があるような、そんな気がした。
「……知香は…無意識に、そういう言葉を紡ぐから。けど、それが知香という人間だ」
智さんの大きな手が、私の頭をゆっくりと撫でた。
「片桐が堕ちた言葉のことを話したら。知香は、自分を責める。そう思って……俺は、言えなかった」
「……」
「………小林に宣戦布告されたのは。これは、単に…俺が、悔しかったから。宣戦布告されるような隙を与えた。俺の、せいだ。それが悔しかった。だから……言えなかった」
蚊帳の外にされていると感じたけれど。それは……智さんなりの、精一杯の思い遣りだった。私を、傷つけまいとする……私を、愛してくれているからの、行動。
なんて、バカことをしたんだろう。早とちりして、智さんを傷つけた。ボロボロと、涙が落ちていく。
「俺が……バカだった。そうだよ…知香は、そんな事で傷付くほど……弱い人間じゃなかったな……」
ふぅと、智さんがため息をついた。
「結局……俺は、身体を重ねて…知香の気持ちを。全部、わかった気になってたんだ」
智さんの大きな手が、その指が。私の唇に触れた。全部私が悪いのに。それでも、智さんは……自分が悪かったと、言ってくれている。
「身体だけじゃなくて…言葉も、重ねよう。抱えたままにせず。……すまなかった。こんな俺を、赦してくれるか?」
細く切れ長の瞳が不安で揺れている。初めて、見るような光景に胸が締め付けられる思いだった。ふるふると頭を振って、智さんは悪くない、と主張する。
「私が悪いんです。勝手に早とちりして、勝手に怒って……ごめん、なさい。赦してくださいますか?」
私の言葉に、智さんが少しだけ苦しそうに笑って。
「……おあいこ、ってことだな?」
その言葉を受け止めて、私は……ゆっくり。今度は、優しく。智さんに、口付ける。
「…………涙でぐっちゃぐちゃの知香も、好きだ」
ぽつり、と呟いた智さんの言葉に、久しぶりの笑みが零れた。
智さんは呆然と瞳を揺らしている。その表情にすら……苛立ちを覚える。
「私が……なんで怒ってるか、わかりますか」
「知、香……?」
「なんで私を蚊帳の外にするんですか。……私の、ことなのに」
最後の言葉が、震えた。智さんのネクタイからゆっくり手を離す。
「智さん。俺を頼れって言いますけど。智さんの方こそ私のこと信用してないじゃないですか」
「……え、」
智さんが驚いたように、ぱちり、と、瞬きをする。
「私を信用してない人に頼ることなんて出来ません」
「知香、何の話だ」
「……っ、とぼけないで!」
ぐわり、と。言いようのない感情に支配された。ここが外だろうと、会社の人が見ていようと、もうどうでもよかった。
「小林くんに。また、宣戦布告されたんですね」
「……」
目の前の智さんは、何故それを、という顔をして押し黙る。
「なんで……なんで、私のことなのに、私を蚊帳の外にするんですか? 片桐さんが私に執着する理由だって、智さんはとっくの昔に知ってるんでしょう? 私には何も言わないのに、全部一人で解決しようとして」
それでもなお黙ったままの智さんに、あまりにも腹が立った。ぶちん、と。私の中の何かが、勢いよく弾ける。
「私がそんなに信用できないですか? 私は…………蚊帳の外にされるくらい、頼りないの!?」
怒りのあまり、思わず言葉尻が荒くなってしまった。それでも構わない。少しくらい、私の怒りが伝われば、それでいい。
「違う」
「何が違うの!? 違わないじゃない!!」
涙が、ぽろりと。また溢れた。
『私たち』のことなのに。どうして『私』は、こんなにも、頑ななほどに関わらせてもらえないのだろう。
「知香……落ち着け」
智さんが手を伸ばしてくる。咄嗟に身体を引いた。
「触らないで」
私が紡いだその言葉に、智さんがひどく傷ついた顔をした。
「そんな顔をするくるいなら、初めからこんなことしなかったらよかったんですよ」
そう呟いて、私は智さんをまた睨みつけた。
「大切な情報を知らされていない、私のことなのに、私が関与できない、そんな私の気持ち……わかる?」
全部全部。智さんが独りで片付けてしまうなら―――『私』が隣にいる意味なんて、あるわけがないのに。
傷ついたように揺れるダークブラウンの瞳を、じっと見つめた。
「……自宅に帰ります。迎えに来てくださって、ありがとうございました」
ぺこり、と頭を下げて、駅に足を向けた。ずんずんと歩いていたけれど、段々足が重くなってくる。
暫く歩いたって。智さんが追いかけてくる気配は、ない。
「…………やらかした、なぁ…」
怒りに任せて、やらかした。そう思った時には、もう遅くて。
きっと。私たちの関係は……終わった、のだ。
追いかけてもこないし、スマホにも連絡がない。
終わりはいつだって、呆気ないのだ。凌牙との時だって。呆気なく、終わってしまった。
はぁ、と大きく息をついた。涙すら出てこない。凌牙の時は、あんなに泣けたのに。
空を見上げると、真っ黒な空が広がっていた。じっとりとした空気が漂う。もうすぐ、雨が降り出しそうだ。街はキラキラと光を灯しているのに。見上げた空は私の心の中みたいに、真っ黒だ。
(……早く、泣いてよ。私の、代わりに……)
その真っ暗な空に、半ば八つ当たりのような言葉を吐いて。ぽつ、と口を動かした。
「……色々、向こうに置いてるし、いつ、取りに行こうかな」
やっぱり……こうなってしまった。ずっと苗字で呼び続けていれば、一線を引いた関係を続けてれば……今みたいな気持ちにはならなかったのだろうか。せっかくお父さんに同棲を許してもらったというのに。置いている荷物……早めに取りに行かなければ。
そんなバラバラな事柄を空を見上げながらぼんやりと考えていたからか……真横に、車が停まって。
―――その中に引き摺り込まれた、ということを認識するのが、遅れた。
バタン、と、ドアが閉まる。嗅ぎなれた香りがする。目の前には、獣の瞳。
「……」
「…………ふざけんなよ」
その言葉だけが静寂の中に響いて、車が動き出した。
---
手首を強く握られたまま、エレベーターを下りた。まるで引っぱられるように、智さんの部屋へ続く廊下を歩いていく。それは、足がつんのめるほどの速さで。
私は、空が泣き出した音をぼんやりと聴きながら。
(……最後に、抱かせろ、ってこと……ね)
彼の考えを察して、全身から力が抜けていくのがわかった。
話し合いをしたい、なら。こんな力で私の手首を握り締めたりはしないだろう。
私はセックスの経験が凌牙と智さんだけだから、身体の相性とかの感覚はわからない。
けれど智さんは、きっと。私たちの相性がいいと、認識している。
相性がいいから……最後に、抱かせろ。そして、出ていけ。そう言われるんだろう、と、思っていたから。
ガチャリ、と、玄関の鍵が下ろされて、突然塞がれた視界に慌てた。
「ちょっ……!?」
布で両目を覆われた事は感触でわかる。後頭部で固く締められた結び目を解こうとして、この視界を塞ぐ布が智さんのネクタイであることを感じ取った。
両手首を掴まれて、ドンッと壁に縫い付けられた。有無を言わさぬその力の強さに、壁に叩きつけるようにされた衝撃に、息が詰まった。
予想外のことが続く。智さんがこんなことをするなんて思ってもいなかった。
「俺の顔を見たら、落ち着かねぇだろ?」
見えないけれど、ふっと、智さんが笑ったのがわかった。
「………どうして?」
「どっちを選んだ? 仔犬? 蛇?」
「は……?」
智さんの言葉の意味がわからなくて、呆けたような声が出た。一体、何の話なのだろう。くつりと喉が鳴った音が響いた。
「逃がさない。知香は、俺のモノだと。俺から離れることなんて出来ないんだと……その身体に、刻みつけて、わからせてやる」
そう呟いて、身体を抱きかかえられた。
「やっ……おろして!」
まるで、荷物のように。肩に担がれる。
モノのように、扱われて。溢れる涙が、ネクタイに吸い込まれていく。
いつだって。優しく、壊れ物のように、それでいて激しく……私に触れる智さんなのに。
どさり、と。酷く乱暴にベッドに降ろされる。スプリングが軋んで、私は降ろされた衝撃で思わず顔を顰めた。
「どっちを選んだ」
低く、智さんの声が響く。「選ぶ」とはどういうことだろうか。何故智さんはこんなことを口にしているのか。
「……智さんが…何を、言ってるのか……わからない」
ふっと、智さんが息を漏らした。荒々しく、引き千切るような勢いで。智さんが私の服に手をかける。
「ここまで来てしらばっくれるなら、もういい。知香の身体の………俺しか、入り込めない、奥の奥まで。俺を、刻み込んでやる」
智さんのネクタイが、私の視界を赤く染めている。何も見えない分、余計に肌の感覚が敏感になっているような気がした。
舐めまわすように私を見ている、視線の強さ。
私の身体を翻弄する、角張った指先の温度。
首筋を掠めていく、熱い、吐息。
容赦なく剥ぎ取られていく……衣服。
(あ…今日の服……智さんが……似合うと合わせてくれた、タートルネック……)
『こっちも、知香の白い肌に映えていいけど』
そう言って、私の首元にタートルネックを合わせてくれた、大晦日の幸せな時間がよぎった。
それすらも踏みにじるような―――乱暴な手つき。
それでも……それでも、限りなく優しくて、そのくせ…残酷なほど甘く触れる、智さんの手に。
私が、抗えるわけもなかった。
「んっ、…ぁ……」
膨らみに咲く限界まで張り詰めた蕾を、ゆっくりと指の腹で撫でられて、思わず漏れた声に。智さんが嘲るように声のトーンを変えて嗤った。
「ねぇ、知香さん。教えて? ……片桐を選んだの? 小林を選んだの?」
その言葉に、智さんが―――勘違いをしていると気がついた。ざぁっと、血の気が引いていく。
「ちがう」
違う。違うのだ。
私が、智さんに怒ったから。私が、智さんを見限って……片桐さんか小林くんを選んだ。
智さんが、考えているのは、きっと……これ、だ。
予想外のことが続いていた。智さんが、こんなことをするなんて思ってなかった。
けれど。
智さんを、こうさせたのは……他でもない、私、だ。
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「選んでなんか、ない……」
「どっちかを選んだんだろ。だから俺から離れようとした」
智さんのネクタイの下で、目を見開いた。勘付くより、直接的に言われた方が胸を抉った。ぼろぼろと涙が溢れる。
「違っ、違う!」
否定するように声を荒げる。お腹の奥から、叫ぶ。だけど、智さんは取り合ってくれない。
「何が違う? 俺が知香を信用してないって感じた、だから俺に幻滅した」
「っ、」
「幻滅したから、触るなと言った。そして……どっちかを選んだんだろ」
智さんの心の叫びを、言葉にされて。心が、千切れそうなほど……痛い。
「ちがう、の……お願い、話を聞いて」
ショックで…ただただ、首を振るしかできない。
「そんなので……そんなので、智さんに、幻滅するなんてこと…あるわけ、ない……」
あぁ。そうか。
―――自分の言葉を信じてもらえないのは、こんなに辛いのか。
交差点で、智さんの言葉を信じなかった……聞き入れなかった私も、智さんにこんな思いをさせていたのだ、と、今更ながら思った。
それが智さんに伝わったのか、ゆっくりと視界を塞いでいたネクタイが外される。煌々と寝室の電気が灯っている中で、逆光になっている智さんの顔が。傷ついたように、歪んでいる。
「っ…ごめ…んなさ……わ、私は……智、さんじゃなきゃ…いや……」
涙が、止まらない。ぼろぼろと、制御出来ないほど溢れてくる。
「……」
智さんが、ただただ呆然と私を見つめている。
「……………ざまぁ、ねえなぁ……」
ふわり、と。智さんが、私の頬を撫でてくれた。
「乱暴にして、すまなかった…」
もとはと言えば、私が小林くんの気持ちに気づかないフリをしていたのが原因なのに。それが巡り巡って、勘違いに繋がったのに。
智さんの胸に頬を寄せて、智さんの広い背中に手をまわしワイシャツを力いっぱい握りしめた。
「本当に…すまない……これじゃ、知香の元カレと…同じだ、な……」
自分を責めて、私を労ってくる智さんが。切ないほど愛おしくて、……申し訳なくて。
「……っ、ぅ、ごめん…っ、なさい……」
ぼろぼろと、涙が零れて。ワイシャツに吸い込まれていく。
「……乱暴にしたから……本当に、俺を、嫌いになったか? それなら、俺も…知香を、諦められるから……正直に、言って」
聞いたことの無い苦しそうな声で言葉が紡がれていく。労るように、ぎゅう、と、抱き締められる。私の上にのしかかっているのに……私を潰さないように。その鍛えられた身体を、支えている。
そんな小さな心遣いを目の当たりにし、私がどれだけ智さんから愛されているのかを突きつけられような気がした。
(智さんを……嫌いに)
乱暴にさせたのは、私。だからこそ。
(……嫌いになんか………なれるわけが、ない……)
智さんの胸に顔をくっつけたまま、嗚咽とともに言葉を、私の本心を吐き出していく。
「嫌いになんか……なれない……私を、逃がさないでって、言ったでしょ……」
熱に浮かされたように言葉を紡いだ。
「これから先、何があっても。例え…死んでも。俺は、知香を逃がさねぇよ? ………それでも、いーの?」
一層、強く抱き締められる。ワイシャツ越しに、肋骨から……強い鼓動が私の耳に直接大きく響いた。
「逃がさないで。諦めないで。捕まえていて。何があっても……私を、離さ、ないで」
ふっと。智さんの身体から力が抜けて。ころん、と。智さんと、身体が入れ替わる。
私の身体の下に智さんの身体がある。私は智さんの上に跨るかたちになった。
そっと。智さんの頬に手のひらを当てた。ぽたぽたと、涙が重力のまま滑り落ちていく。
「決めつけて……ごめんなさい…智さんが、私にそういうことを伝えなかったこと、絶対何か理由があったはずなのに……」
ふるり、と。智さんが首を振って。私が智さんの頬にあてた手のひらに、智さんの手が重なった。
「………勝手に、勘違いしてた。俺に呆れたから……どっちかを選んだって……そう思ったら…理性が振り切れて……」
「……そんな事、ありえないのに」
そんな事、ありえない。何があったって……私は、智さんに溺れきっているから。
「蚊帳の外にしていたつもりは、無かった。すまない……」
智さんの声が、震えている。ダークブラウンの瞳が、私の瞳をとらえて……その瞳は僅かに濡れている。
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「……え?」
「俺は。知香の……幸せにしてもらうのではなく、幸せを掴まなきゃいけないっていう言葉に堕ちた。……クリスマスの日に、話したろ?」
こくり、と頷く。無意識に紡いだ言葉だったけれど。私はその言葉で、智さんを救いあげられたことを……一生、忘れないと思っているから。
「片桐も、同じ。ゼロから始めよう、って。知香が、言ったろう。それに……堕ちたんだと。マスターが、言ってた」
「……ぁ…」
ヘーゼル色の瞳が、私を貫いた。幻覚だとわかっているのに……目の前に片桐さんの瞳があるような、そんな気がした。
「……知香は…無意識に、そういう言葉を紡ぐから。けど、それが知香という人間だ」
智さんの大きな手が、私の頭をゆっくりと撫でた。
「片桐が堕ちた言葉のことを話したら。知香は、自分を責める。そう思って……俺は、言えなかった」
「……」
「………小林に宣戦布告されたのは。これは、単に…俺が、悔しかったから。宣戦布告されるような隙を与えた。俺の、せいだ。それが悔しかった。だから……言えなかった」
蚊帳の外にされていると感じたけれど。それは……智さんなりの、精一杯の思い遣りだった。私を、傷つけまいとする……私を、愛してくれているからの、行動。
なんて、バカことをしたんだろう。早とちりして、智さんを傷つけた。ボロボロと、涙が落ちていく。
「俺が……バカだった。そうだよ…知香は、そんな事で傷付くほど……弱い人間じゃなかったな……」
ふぅと、智さんがため息をついた。
「結局……俺は、身体を重ねて…知香の気持ちを。全部、わかった気になってたんだ」
智さんの大きな手が、その指が。私の唇に触れた。全部私が悪いのに。それでも、智さんは……自分が悪かったと、言ってくれている。
「身体だけじゃなくて…言葉も、重ねよう。抱えたままにせず。……すまなかった。こんな俺を、赦してくれるか?」
細く切れ長の瞳が不安で揺れている。初めて、見るような光景に胸が締め付けられる思いだった。ふるふると頭を振って、智さんは悪くない、と主張する。
「私が悪いんです。勝手に早とちりして、勝手に怒って……ごめん、なさい。赦してくださいますか?」
私の言葉に、智さんが少しだけ苦しそうに笑って。
「……おあいこ、ってことだな?」
その言葉を受け止めて、私は……ゆっくり。今度は、優しく。智さんに、口付ける。
「…………涙でぐっちゃぐちゃの知香も、好きだ」
ぽつり、と呟いた智さんの言葉に、久しぶりの笑みが零れた。
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けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
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無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
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