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本編・第二部
89 その言葉の意味を、噛み締めていた。
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「小林。今日の夜、時間あるか? 時間があるなら俺に付き合ってくれないか」
艶のある黒髪をさらりと揺らしながら、水野課長代理が声をかけてきた。俺は息を飲んだ。水野課長代理から昼休みに社員食堂で声をかけられること。飲みに誘われること。その両方が、初めてだから。
……今日は、金曜日。 ふっと、カノジョの顔がよぎった。表情を変えないまま、その顔を打ち消した。
「……特に、用はありません」
「じゃ、ふたりで飲みに行こう」
ぎゅ、と、銀縁メガネを右手でずり上げながら、水野課長代理が俺に視線を合わせた。
その視線が、含みのある視線で。水野課長代理のこの声掛けが、田邉部長の手回しだと悟った。 気がつかれないように、ため息を吐く。
そうして。俺はゆっくりと、社員食堂を出て、自分のデスクに戻った。裏紙に走り書きをして。
『今日は行けません』
カノジョのデスクの引き出しを僅かに開けて押し込んだ。
水野課長代理とふたりで席に着く。
「……喫煙席じゃなくてよかったのですか?」
この人は、確か愛煙家だったはず。しかも、手巻きを吸うほどの拘りよう……だった気がする、のだが。今日は何故か、禁煙席に座った。
「年明けかな。やめたんだ」
「……そうだったんですか」
思わず目を瞬かせる。喫煙歴=社会人年数といつかの飲み会で聞いていたから。……なんの心境の変化があったのか。
「まぁ……俺が呼び出した用事はわかってるよな?」
届いたビールのグラスを合わせながら、水野課長代理が口を開いた。
「………はい」
「田邉部長から、お前を留意させるようお達しだ。……お前、うち辞めてどうするつもりだ?」
やはり、そうだった。田邉部長の、手回し。予想を外さない展開に、思わず乾いた笑いが漏れた。
「……親戚に、伝手があるので……」
「小林。お前はそれで九十銀行に行って本当に満足なのか? あんなに嫌がってただろ」
その言葉に、ビールを呷る手が止まる。
俺が、九十銀行頭取の甥、ということは、上層部しか知らない。
九十銀行は、極東商社一番の大株主。
俺が九十銀行の関係者だと知られれば、便宜を計ろうとして接触してくる取引先や社員もいるだろうから、という尤もらしい理由をつけて、入社の際にそのことを伏せるように掛け合った。本音は、コネ入社だと言われたくなかったことと……大学の時に経験した、周りの視線の手のひら返しがトラウマだった、ということなのだが。
それ故に、俺の事は、取締役や執行役員、管理職の立場にある人々にだけ知らされていること。
水野課長代理は、まだ、非管理職だ。それなのに、なぜ。
「……ご存知なんですか」
下がり始めた銀縁メガネを右手でぐっと上げながら、水野課長代理が口を開いた。
「………まだ、完全な内示状態だが。俺は、4月から課長に上がって管理職になる。その関係もあって、年末頃に田邉部長から聞いていた。お前が九十銀行に行きたくなくて就職活動をしていた、ということも」
「……そう、だったんですか」
「一瀬を護るためにあの時お前が動いたことも、なんとなく上層部は察してるらしいぞ」
あの時。平山たちが居酒屋で従業員に土下座をさせた時のこと。誰にも気が付かれずに動いたはずだった。
知らないのは、俺だけだった……ということか。なんとも情けなくなって、俺は顔を伏せた。
「退職願いを出したそうだが、小林、なにがあったんだ」
耳にかかる程度に揃えられた黒髪をさらりと揺らして、水野課長代理が俺を見つめる。
「一瀬のことか? それとも、仕事が辛いか? 丸永忠商社を落とすくらい仕事に没頭していただろう。お前に何があったんだ?」
顔を伏せたまま、ぐっと。目の前に運ばれた出汁巻き玉子を見つめた。
…………仕事のせいに出来たら、どんなによかっただろう。
『先輩だと思って、私を抱きなさい』
あの日、一瀬さんが強引に邨上に口付けたシーンを目撃して、喩え………俺の全てを捧げても、彼女が俺を見てくれることは無いのだと改めて突きつけられて。呆然と空を見上げていた俺は、気がついたら三木さんにホテルに連れ込まれていた。抱いた、というより、呆然とした精神の中で雰囲気に流されて抱かされた…という方が、正しい気がした。
翌朝我に返った俺は、血が着いたシーツを前に三木さんに土下座した。それでも三木さんは、やわらかく微笑んで、「セカンドバージンよ。大丈夫」と……呟いた。
それから、週末になると、どちらとなく仕事が終わるまで相手を待ち、ホテルに行き、互いを求めた。
俺は、一瀬さんを。三木さんは……俺を。
もう、耐えられなかった。
あの日、偉そうに、片桐が誰かを一瀬さんに被せていると沸騰したのに。同じところまで、墜ちてしまった。
こんな関係は、止めなければ。こんな……傷の舐め合いのような、関係は、何も生まない。そう考えているのに、金曜日になると無意識に待ち合わせ場所にいた。
こんな関係を持ってしまったことを忘れるように仕事に没頭した。それはもう、1課の大迫係長に、鬼気迫る勢い、と言われるほど。
俺と、三木さんは。互いの連絡先を知らない。なにか連絡したいことがあれば、今日のように、デスクに走り書きを突っ込むような関係だった。
だからこそ。だからこそ、この会社を辞めれば、三木さんとの関係も断てる、と判断して。
今朝、田邉部長に退職願いを提出した。
三木さんの、ひたすらに犠牲的な愛が、俺にはひどく眩しかった。俺には、眩しすぎて。
三木さんとこんな関係になって、一瀬さんに、合わせる顔もない。それなのに……それなのに、一瀬さんへの想いは、まだ消える気配はない。
一瀬さんへの想いは、ゆらゆらと。俺の胸の中に小さな灯火が点ったまま、だ。
一瀬さんに合わせる顔がないから…先日の通関士の座学講座は体調不良と嘘をついて欠席した。仕事ならまだしも、休みの日に顔を合わせるのは、今の俺には無理だった。
三木さんと身体を重ねた翌日、には、特に。
退職しようと考えたのは。一瀬さんと、三木さんの。ふたりの真っ直ぐな強さに、眩しさに……俺が、耐えられなく、なったのだ。
俺が邨上に行った宣戦布告の事実を知ってなお、今まで通り接しようと、凛とひとりで立っている一瀬さんの、眩しさに。
俺の真意を知って、自らを犠牲にしてでも俺を痛みから救おうとしてくれる、三木さんの眩しさに。
そんな眩しいふたりと顔を合わせる日々に、耐えられなくなった、というのが……大きな理由だった。
「………三木、さんのことです」
仕事のせいにして、煙に巻く選択肢もあった。
それでも、俺は本当の理由を口走っていた。
藤宮に相談しようと連絡を取ったものの、藤宮も忙しいらしく都合が合わなかった。……誰にも、相談できていない、だから。だから……ここで、吐き出したかったのかもしれない。
「はぁ?」
予想外だったのだろう。普段はあまり感情を表に出さない水野課長代理が、あんぐりと口を開けている。
「一瀬さんのことを見ている俺が……まっすぐで、好きだと」
「おいおい……なんっつー関係性だ、お前ら……五角関係とか本気で笑えねぇだろ……」
水野課長代理が肘をつきながら頭をガシガシと搔いた。
五角関係。
片桐が一瀬さんに言い寄っている、のは、極東商社内では周知の事実で。それがまた、喫煙ルームでの話題の種になっている。
それらの噂を聞きたくなかったことと……三木さんと、喫煙ルームで遭遇したくなくて、ここ最近また禁煙を始めた。
……俺が一瀬さんに想いを寄せている、ということは、通関部1課、2課メンバーだけしかしらない。三木さんから情事後に気怠そうな声で、そう聞いた。
「んで? 三木を振ったから居心地悪いって?」
呆れたような水野課長代理の声が響く。口走ってしまったものの。本当の理由を話す訳には、いかなかった。
「……」
「……言いたくないなら、それでいいが。振った理由は? 一瀬が好きだからっていう理由だけか?」
三木さんの、犠牲的な愛に耐えられない。それを、口にするのは憚られて。オブラートに包んだ、理由を口にした。
「………俺の想いが実ればいいと思っていたのも、本当…実らなければいいと思っていたのも、本当、と言われて……そんな三木さんが、あまりにも眩しくて……」
水野課長代理が、ビールを呷り、大きくため息をついた。
「……お前…本当に、昔の俺そっくりだな」
「………はぁ」
意味がわからなくて、気の抜けた返事をした。
グイ、と、水野課長代理が再びビールを呷った。ふぅ、と、またため息をついて。
「……俺はな。5年前に。妻と結婚する前に、人生で一番の大恋愛をして、それを俺が自ら壊した」
5年前。水野課長代理が……まだ、30歳だった時のこと、か。
「……」
「俺もな。今のお前と同じことを考えていた。俺よりも営業が出来てなぁ。他人の評価や考えに左右されず、自分自身に強い軸を持っていた」
すぅ、と。つり目の瞳が細められる。哀愁が漂うようなその視線に釘付けになった。
「俺は、彼女の横に立てる自信がなかったし…何より、その真っ直ぐさが、眩しくてな。一歩を踏み出せなかった」
ひゅっと、息を飲んだ。
「……」
お前は、俺と……同じ。その意味がカタンと音を立てて落ちてきた。
「彼女にな。俺は、基本的に他人を下に見てるって言われたんだ」
「……は……?」
「過剰な謙虚さと傲慢がな。俺にはある……と」
謙虚さと……傲慢。謙虚と傲慢は対極にある言葉のはずなのに。意味が、わからなかった。
「………どういう、こと……なんでしょう」
「自信がなかったんだ。彼女を幸せにできる自信が。彼女の隣に立つことも、その時の俺には烏滸がましくて。眩しくてできないって思ったんだ」
目を見開いた。まさに、俺が考えていたことだった。
「…」
「結局、貴方は他人を下に見てるからそうなるのだと。人間は独りじゃ弱い……弱いからこそ、支え合うのだと。私の隣に立つのが烏滸がましいと感じるのならば、貴方は自分の隣に自分より格下の人間を選んだら満足するのか、と……な」
呼吸が止まった。
―――自分より、格下の人間を選んだら……満足、するのか?
片桐の時と同じ。頭を、鈍器で殴られたような気分だった。
「彼女は…世界を飛び回った経験があったからな。日本人は【謙虚さ】を大切にするけれど、【過剰な謙虚さ】は【傲慢の始まり】だ…と」
水野課長代理が、ふっと息を漏らして笑った。
「……これだけ聞いても、わからないだろう?まぁ、それが当たり前だ。俺らは、謙遜という名の傲慢を植え付けられた…生粋の日本人だからな」
「……謙遜という、傲慢…」
呆然と、水野課長代理の瞳を見つめた。
「仏教では卑下慢という言葉がある。相手に対して『私など全然大したことございません』みたいに謙虚を装いながら、その実、心の中では……自分はこんなに相手をたてて、謙虚に振舞える、すぐれた人格の持ち主だ…と、慢心する状態のことだ。自己の評価を上げたいがための謙虚さ……ってことだな」
「……あ……」
謙虚さと傲慢。その意味が、ストンと音を立てて落ちてきた。
幸せにできる自信がない、とあのクリスマスの翌日に、喫煙ルームでぼんやり考えた…己に対する不信感の源は。
―――傲慢、というモノだったのだ。
己の手で、彼女を幸せにしたい。だから、一歩踏み出せなかった。けれど…そう。よく考えれば。彼女は、いつだって…凛とした意思を持って…。
「幸せにできる自信がなくったって…一緒に幸せになっていければ良かったんじゃねぇか、って気がついた時には、もう後の祭りだった」
「………一緒に」
「そう、一緒に、な」
彼女が………他人に幸せにされることを、望むだろうか。彼女なら、きっと。一緒に幸せになっていこう、と。そう、口にしてくれたはずなのだ。
水野課長代理がビールを再び呷った。ガタリ、と、グラスが置かれる。
「そうやって、貴方は傲慢だ、と…彼女に泣かれて。走り去る彼女の後ろ姿をぼぅっと見ていた。彼女の言った意味が分からなかったんだ。そして、俺は元カノ……妻と、復縁して、結婚した。それは後悔していない。今、子供にも恵まれて幸せだからだ。けれど……過剰な謙虚さと傲慢、の意味を、即座に自分の中に落とし込めなかったことは後悔している」
「……」
水野課長代理の銀縁メガネの奥に輝くつり目の瞳が、真っ直ぐに俺を貫いた。
「謙虚なのはいいことだ。けどな?その意味を履き違えるな。謙虚さを自分への保険にして、怠惰になるな」
三木さんの、犠牲的な愛が眩しかった。眩しくて、眩しすぎて、仕方なかった。
俺には。三木さんの、気持ちに応える資格は、ない。俺みたいに、澱んでいない…こんなにも、まっすぐな人だから。
そう思っていたけれど。それすらも……俺の、傲慢さから来ている感情、なのかもしれない。
「……」
「三木に抱く感情の正体に気がついたならば……もう、お前は大丈夫だ。……お前は、後悔するな。逃げずに、しっかり考えろ」
己の傲慢さを、嫌というほど突きつけられた。当初の予定通り、退職を選ぶのは……謙虚さの皮を被った傲慢と怠惰に、飲み込まれて逃げただけ、になる。
それを理解して、俺は唇を噛み締めた。
……このまま、逃げてたまるものか。
「…………退職願いは、撤回します…」
「………わかった。田邉部長に、今の話は全て伏せる。翻意した、とだけは、伝えるからな。……それで、いいな?」
「はい。ありがとう、ございました」
ガラリ、と店を出て、水野課長代理と別れた。
夜の帳を、ひとりで歩いていく。
ぽたり、と音がして。雪混じりの雨が降り始めた。
(……傘…持ってきてねぇな…………)
己の、傲慢さ。
己の、怠惰。
己の、弱さ。
己の……情けなさ。
俺の中の、醜い感情の全てを、突きつけられた。
それでも、俺は……俺は、この人生を歩いていかなければならないのだ。
後悔、しないために。
水野課長代理が、全身全霊を持って伝えようとしてくれた言葉を。
俺はただ、雪混じりの雨の中に立ったまま。
その言葉の意味を、噛み締めていた。
◆◆◆◆◆
明日の更新は幕間となります。
本編・第二章「74 俺の全てを、捧げても。」と、今回の「89 その言葉の意味を、噛み締めていた。」の間の……三木ちゃん視点のお話しです。
【切ないを通り越して心が猛烈に痛い】物語になってしまいました。
幕間ですので、読まれなくても本編のストーリーがわからなくなる、ということはありませんが、切ないを通り越したお話しです。そういった物語が苦手な方は、大変申し訳ありませんが、そのまま飛ばして月曜日更新の次話「90」を読まれることをおすすめいたします。
艶のある黒髪をさらりと揺らしながら、水野課長代理が声をかけてきた。俺は息を飲んだ。水野課長代理から昼休みに社員食堂で声をかけられること。飲みに誘われること。その両方が、初めてだから。
……今日は、金曜日。 ふっと、カノジョの顔がよぎった。表情を変えないまま、その顔を打ち消した。
「……特に、用はありません」
「じゃ、ふたりで飲みに行こう」
ぎゅ、と、銀縁メガネを右手でずり上げながら、水野課長代理が俺に視線を合わせた。
その視線が、含みのある視線で。水野課長代理のこの声掛けが、田邉部長の手回しだと悟った。 気がつかれないように、ため息を吐く。
そうして。俺はゆっくりと、社員食堂を出て、自分のデスクに戻った。裏紙に走り書きをして。
『今日は行けません』
カノジョのデスクの引き出しを僅かに開けて押し込んだ。
水野課長代理とふたりで席に着く。
「……喫煙席じゃなくてよかったのですか?」
この人は、確か愛煙家だったはず。しかも、手巻きを吸うほどの拘りよう……だった気がする、のだが。今日は何故か、禁煙席に座った。
「年明けかな。やめたんだ」
「……そうだったんですか」
思わず目を瞬かせる。喫煙歴=社会人年数といつかの飲み会で聞いていたから。……なんの心境の変化があったのか。
「まぁ……俺が呼び出した用事はわかってるよな?」
届いたビールのグラスを合わせながら、水野課長代理が口を開いた。
「………はい」
「田邉部長から、お前を留意させるようお達しだ。……お前、うち辞めてどうするつもりだ?」
やはり、そうだった。田邉部長の、手回し。予想を外さない展開に、思わず乾いた笑いが漏れた。
「……親戚に、伝手があるので……」
「小林。お前はそれで九十銀行に行って本当に満足なのか? あんなに嫌がってただろ」
その言葉に、ビールを呷る手が止まる。
俺が、九十銀行頭取の甥、ということは、上層部しか知らない。
九十銀行は、極東商社一番の大株主。
俺が九十銀行の関係者だと知られれば、便宜を計ろうとして接触してくる取引先や社員もいるだろうから、という尤もらしい理由をつけて、入社の際にそのことを伏せるように掛け合った。本音は、コネ入社だと言われたくなかったことと……大学の時に経験した、周りの視線の手のひら返しがトラウマだった、ということなのだが。
それ故に、俺の事は、取締役や執行役員、管理職の立場にある人々にだけ知らされていること。
水野課長代理は、まだ、非管理職だ。それなのに、なぜ。
「……ご存知なんですか」
下がり始めた銀縁メガネを右手でぐっと上げながら、水野課長代理が口を開いた。
「………まだ、完全な内示状態だが。俺は、4月から課長に上がって管理職になる。その関係もあって、年末頃に田邉部長から聞いていた。お前が九十銀行に行きたくなくて就職活動をしていた、ということも」
「……そう、だったんですか」
「一瀬を護るためにあの時お前が動いたことも、なんとなく上層部は察してるらしいぞ」
あの時。平山たちが居酒屋で従業員に土下座をさせた時のこと。誰にも気が付かれずに動いたはずだった。
知らないのは、俺だけだった……ということか。なんとも情けなくなって、俺は顔を伏せた。
「退職願いを出したそうだが、小林、なにがあったんだ」
耳にかかる程度に揃えられた黒髪をさらりと揺らして、水野課長代理が俺を見つめる。
「一瀬のことか? それとも、仕事が辛いか? 丸永忠商社を落とすくらい仕事に没頭していただろう。お前に何があったんだ?」
顔を伏せたまま、ぐっと。目の前に運ばれた出汁巻き玉子を見つめた。
…………仕事のせいに出来たら、どんなによかっただろう。
『先輩だと思って、私を抱きなさい』
あの日、一瀬さんが強引に邨上に口付けたシーンを目撃して、喩え………俺の全てを捧げても、彼女が俺を見てくれることは無いのだと改めて突きつけられて。呆然と空を見上げていた俺は、気がついたら三木さんにホテルに連れ込まれていた。抱いた、というより、呆然とした精神の中で雰囲気に流されて抱かされた…という方が、正しい気がした。
翌朝我に返った俺は、血が着いたシーツを前に三木さんに土下座した。それでも三木さんは、やわらかく微笑んで、「セカンドバージンよ。大丈夫」と……呟いた。
それから、週末になると、どちらとなく仕事が終わるまで相手を待ち、ホテルに行き、互いを求めた。
俺は、一瀬さんを。三木さんは……俺を。
もう、耐えられなかった。
あの日、偉そうに、片桐が誰かを一瀬さんに被せていると沸騰したのに。同じところまで、墜ちてしまった。
こんな関係は、止めなければ。こんな……傷の舐め合いのような、関係は、何も生まない。そう考えているのに、金曜日になると無意識に待ち合わせ場所にいた。
こんな関係を持ってしまったことを忘れるように仕事に没頭した。それはもう、1課の大迫係長に、鬼気迫る勢い、と言われるほど。
俺と、三木さんは。互いの連絡先を知らない。なにか連絡したいことがあれば、今日のように、デスクに走り書きを突っ込むような関係だった。
だからこそ。だからこそ、この会社を辞めれば、三木さんとの関係も断てる、と判断して。
今朝、田邉部長に退職願いを提出した。
三木さんの、ひたすらに犠牲的な愛が、俺にはひどく眩しかった。俺には、眩しすぎて。
三木さんとこんな関係になって、一瀬さんに、合わせる顔もない。それなのに……それなのに、一瀬さんへの想いは、まだ消える気配はない。
一瀬さんへの想いは、ゆらゆらと。俺の胸の中に小さな灯火が点ったまま、だ。
一瀬さんに合わせる顔がないから…先日の通関士の座学講座は体調不良と嘘をついて欠席した。仕事ならまだしも、休みの日に顔を合わせるのは、今の俺には無理だった。
三木さんと身体を重ねた翌日、には、特に。
退職しようと考えたのは。一瀬さんと、三木さんの。ふたりの真っ直ぐな強さに、眩しさに……俺が、耐えられなく、なったのだ。
俺が邨上に行った宣戦布告の事実を知ってなお、今まで通り接しようと、凛とひとりで立っている一瀬さんの、眩しさに。
俺の真意を知って、自らを犠牲にしてでも俺を痛みから救おうとしてくれる、三木さんの眩しさに。
そんな眩しいふたりと顔を合わせる日々に、耐えられなくなった、というのが……大きな理由だった。
「………三木、さんのことです」
仕事のせいにして、煙に巻く選択肢もあった。
それでも、俺は本当の理由を口走っていた。
藤宮に相談しようと連絡を取ったものの、藤宮も忙しいらしく都合が合わなかった。……誰にも、相談できていない、だから。だから……ここで、吐き出したかったのかもしれない。
「はぁ?」
予想外だったのだろう。普段はあまり感情を表に出さない水野課長代理が、あんぐりと口を開けている。
「一瀬さんのことを見ている俺が……まっすぐで、好きだと」
「おいおい……なんっつー関係性だ、お前ら……五角関係とか本気で笑えねぇだろ……」
水野課長代理が肘をつきながら頭をガシガシと搔いた。
五角関係。
片桐が一瀬さんに言い寄っている、のは、極東商社内では周知の事実で。それがまた、喫煙ルームでの話題の種になっている。
それらの噂を聞きたくなかったことと……三木さんと、喫煙ルームで遭遇したくなくて、ここ最近また禁煙を始めた。
……俺が一瀬さんに想いを寄せている、ということは、通関部1課、2課メンバーだけしかしらない。三木さんから情事後に気怠そうな声で、そう聞いた。
「んで? 三木を振ったから居心地悪いって?」
呆れたような水野課長代理の声が響く。口走ってしまったものの。本当の理由を話す訳には、いかなかった。
「……」
「……言いたくないなら、それでいいが。振った理由は? 一瀬が好きだからっていう理由だけか?」
三木さんの、犠牲的な愛に耐えられない。それを、口にするのは憚られて。オブラートに包んだ、理由を口にした。
「………俺の想いが実ればいいと思っていたのも、本当…実らなければいいと思っていたのも、本当、と言われて……そんな三木さんが、あまりにも眩しくて……」
水野課長代理が、ビールを呷り、大きくため息をついた。
「……お前…本当に、昔の俺そっくりだな」
「………はぁ」
意味がわからなくて、気の抜けた返事をした。
グイ、と、水野課長代理が再びビールを呷った。ふぅ、と、またため息をついて。
「……俺はな。5年前に。妻と結婚する前に、人生で一番の大恋愛をして、それを俺が自ら壊した」
5年前。水野課長代理が……まだ、30歳だった時のこと、か。
「……」
「俺もな。今のお前と同じことを考えていた。俺よりも営業が出来てなぁ。他人の評価や考えに左右されず、自分自身に強い軸を持っていた」
すぅ、と。つり目の瞳が細められる。哀愁が漂うようなその視線に釘付けになった。
「俺は、彼女の横に立てる自信がなかったし…何より、その真っ直ぐさが、眩しくてな。一歩を踏み出せなかった」
ひゅっと、息を飲んだ。
「……」
お前は、俺と……同じ。その意味がカタンと音を立てて落ちてきた。
「彼女にな。俺は、基本的に他人を下に見てるって言われたんだ」
「……は……?」
「過剰な謙虚さと傲慢がな。俺にはある……と」
謙虚さと……傲慢。謙虚と傲慢は対極にある言葉のはずなのに。意味が、わからなかった。
「………どういう、こと……なんでしょう」
「自信がなかったんだ。彼女を幸せにできる自信が。彼女の隣に立つことも、その時の俺には烏滸がましくて。眩しくてできないって思ったんだ」
目を見開いた。まさに、俺が考えていたことだった。
「…」
「結局、貴方は他人を下に見てるからそうなるのだと。人間は独りじゃ弱い……弱いからこそ、支え合うのだと。私の隣に立つのが烏滸がましいと感じるのならば、貴方は自分の隣に自分より格下の人間を選んだら満足するのか、と……な」
呼吸が止まった。
―――自分より、格下の人間を選んだら……満足、するのか?
片桐の時と同じ。頭を、鈍器で殴られたような気分だった。
「彼女は…世界を飛び回った経験があったからな。日本人は【謙虚さ】を大切にするけれど、【過剰な謙虚さ】は【傲慢の始まり】だ…と」
水野課長代理が、ふっと息を漏らして笑った。
「……これだけ聞いても、わからないだろう?まぁ、それが当たり前だ。俺らは、謙遜という名の傲慢を植え付けられた…生粋の日本人だからな」
「……謙遜という、傲慢…」
呆然と、水野課長代理の瞳を見つめた。
「仏教では卑下慢という言葉がある。相手に対して『私など全然大したことございません』みたいに謙虚を装いながら、その実、心の中では……自分はこんなに相手をたてて、謙虚に振舞える、すぐれた人格の持ち主だ…と、慢心する状態のことだ。自己の評価を上げたいがための謙虚さ……ってことだな」
「……あ……」
謙虚さと傲慢。その意味が、ストンと音を立てて落ちてきた。
幸せにできる自信がない、とあのクリスマスの翌日に、喫煙ルームでぼんやり考えた…己に対する不信感の源は。
―――傲慢、というモノだったのだ。
己の手で、彼女を幸せにしたい。だから、一歩踏み出せなかった。けれど…そう。よく考えれば。彼女は、いつだって…凛とした意思を持って…。
「幸せにできる自信がなくったって…一緒に幸せになっていければ良かったんじゃねぇか、って気がついた時には、もう後の祭りだった」
「………一緒に」
「そう、一緒に、な」
彼女が………他人に幸せにされることを、望むだろうか。彼女なら、きっと。一緒に幸せになっていこう、と。そう、口にしてくれたはずなのだ。
水野課長代理がビールを再び呷った。ガタリ、と、グラスが置かれる。
「そうやって、貴方は傲慢だ、と…彼女に泣かれて。走り去る彼女の後ろ姿をぼぅっと見ていた。彼女の言った意味が分からなかったんだ。そして、俺は元カノ……妻と、復縁して、結婚した。それは後悔していない。今、子供にも恵まれて幸せだからだ。けれど……過剰な謙虚さと傲慢、の意味を、即座に自分の中に落とし込めなかったことは後悔している」
「……」
水野課長代理の銀縁メガネの奥に輝くつり目の瞳が、真っ直ぐに俺を貫いた。
「謙虚なのはいいことだ。けどな?その意味を履き違えるな。謙虚さを自分への保険にして、怠惰になるな」
三木さんの、犠牲的な愛が眩しかった。眩しくて、眩しすぎて、仕方なかった。
俺には。三木さんの、気持ちに応える資格は、ない。俺みたいに、澱んでいない…こんなにも、まっすぐな人だから。
そう思っていたけれど。それすらも……俺の、傲慢さから来ている感情、なのかもしれない。
「……」
「三木に抱く感情の正体に気がついたならば……もう、お前は大丈夫だ。……お前は、後悔するな。逃げずに、しっかり考えろ」
己の傲慢さを、嫌というほど突きつけられた。当初の予定通り、退職を選ぶのは……謙虚さの皮を被った傲慢と怠惰に、飲み込まれて逃げただけ、になる。
それを理解して、俺は唇を噛み締めた。
……このまま、逃げてたまるものか。
「…………退職願いは、撤回します…」
「………わかった。田邉部長に、今の話は全て伏せる。翻意した、とだけは、伝えるからな。……それで、いいな?」
「はい。ありがとう、ございました」
ガラリ、と店を出て、水野課長代理と別れた。
夜の帳を、ひとりで歩いていく。
ぽたり、と音がして。雪混じりの雨が降り始めた。
(……傘…持ってきてねぇな…………)
己の、傲慢さ。
己の、怠惰。
己の、弱さ。
己の……情けなさ。
俺の中の、醜い感情の全てを、突きつけられた。
それでも、俺は……俺は、この人生を歩いていかなければならないのだ。
後悔、しないために。
水野課長代理が、全身全霊を持って伝えようとしてくれた言葉を。
俺はただ、雪混じりの雨の中に立ったまま。
その言葉の意味を、噛み締めていた。
◆◆◆◆◆
明日の更新は幕間となります。
本編・第二章「74 俺の全てを、捧げても。」と、今回の「89 その言葉の意味を、噛み締めていた。」の間の……三木ちゃん視点のお話しです。
【切ないを通り越して心が猛烈に痛い】物語になってしまいました。
幕間ですので、読まれなくても本編のストーリーがわからなくなる、ということはありませんが、切ないを通り越したお話しです。そういった物語が苦手な方は、大変申し訳ありませんが、そのまま飛ばして月曜日更新の次話「90」を読まれることをおすすめいたします。
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