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【パイタン】約束の向こう側
しおりを挟む『必ず迎えに行く』
そう彼女に誓い、自分自身に誓い、心に誓い、魂の根源に誓い……、どれ程の年月が経ったのやろうか。フラフラ、不慣れな土地を彷徨う。
「……ねこのさん……」
お前は一体、何処におる?今、何してる?……誰と……一緒におるんや……?
俺の大切な想い人。
伸びた髪が邪魔で、彼方此方から聞こえる女の声が邪魔で、……光さえも邪魔で、──あぁ、苛々する。
他の女はいるのに目的の物は見付からへん。見付けられへん。……せやけど、今更諦める事何て出来んで──、
──俺と彼女以外、全て消えて終えばええのに。
「──」
「──っ!?」
ドス黒い感情が芽生える中、不意に耳へ入って来た微かな声の方へ顔を向けたら、……あぁ……、彼女や。大人っぽい化粧を施してるけど俺には判る。彼女や。俺が間違う筈があらへん。
「……ねこのさん」
彼女の元へ駆け寄り、他者の目何て気にも留めず、思うが儘に愛しい彼女を抱き締める。
ずっと捜しとった。ずっと会いたかった。
──ずっと……、待ち侘びとった。
……──愛しい彼女と、こうせれる日を──……。
「……、パイ……さん……?」
「あぁ、俺や」
「……うそ……」
「嘘やあらへん。迎えに来た。あの日……10年前の約束を果たす為に」
衣服越しに伝わる速い鼓動は、恐らく彼女のやろう。そんなねこのさんに愛しさが増し、これでもか言う程腕の力を強め、キツく……、キツく、ねこのさんを抱き締め──……。
「──君、俺の物に何してる」
突如降って来た言葉と共に、ねこのさんが剥がれ顔を上げたら彼女の背後に男が険しい顔で立っていて。
ねこのさんの端整な顔立ちが僅かに崩れてる為、肩を掴んでる力は無加減やと判断。
「今一度問おう。俺の物に何してる」
「……」
眉を動かし物扱いするな言いたげなねこのさんに代わり「彼女を物扱いせんといて」と一睨み。
すると男は、ハッ、と鼻を鳴らし、
「自分の女を物扱いして何が悪い」
「……ッは……?」
男の発言に、一瞬遅れてねこのさんを見るが俯いてる為表情が判らへん。
だが、刹那だけ見えた悲痛に歪んだねこのさんの表情が、何よりの肯定やろう。
それと同時に、判った事がある。
──恐らく、彼女……ねこのさんは『買われた』んだ、と。
ズシッと心に重りが乗っ掛かる内、ねこのさんは ごめんね、とだけ言い男と去る。そんなねこのさんの瞳には、『助けて』とも含まれてる気ぃして──。
伸ばしかけた手が男の背に届く事はなく空を切る。
甘い独特の香りが鼻を掠め、──俺は再び……、誓う。
必ず俺が……救うてみせる……、と。
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