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【りぶつぼ】【つぼみver】蕩けきったチョコレート。
しおりを挟むボロボロと涙が目から零れ落ちて。彼の服に水玉模様を形作っていく。
落ちて、染み込んで、広がって。落ちて、落ちて、落ちて。
───……私が泣いてる間、彼はずっと肩を貸してくれていた。
……もし、彼の手を自由にしていたら。……彼は私の事を、抱き締めてくれていたのかな。……なんて、そんな下らない思考。彼が私の事を見てくれる訳ないのに。りぶが……あの子以外を見る訳ないのに───……。
「……判ってる、本当は判ってるの。頭では理解してるの」
「──ん」
「こんな事をしてもりぶは私を見てくれない。だって……りぶはナルちゃの事が大好きで……仲良くて。
っ……私だって……私だってナルちゃの事が大切だよ、友達だよ……!でも……違うの……、そうじゃないの。そうじゃないの……っ!!
頭では……理解してるんだよ……本当に。でも……でもね……、理解と感情は別物で……っ……」
ボトボト本音が零れ落ちて。負の感情が溢れ出る中。……不意に、彼が耳元で呟いた。───『気にしないで』……と。
がばりと勢いよく顔を上げて。未だ止まない涙でグチャグチャになった顔で、瞳でりぶを見た。霞んでる目で見た彼の表情は笑っていて。
「なんで……笑ってるの……?」
「つぼみが泣いてるから」
「どうして優しくするの……?」
「つぼみが傷付いてるから」
「……なんで……どうして……っ!!」
ガクガクと彼の肩を揺らして目で訴える。返事はない。
次第に揺らす力が弱くなり……止まる。床に手を突いた。
「なんで……どう……して───……」
「───許すよ」
『許す』
たった一言、それだけ。それだけで再度止まりかけてた涙が溢れ出す。頭の中は『なんで、どうして』の堂々巡り。
「ど……して……許すの……。だって私は……取り返しのつかない事をしたんだよ……?自分の友達とその大切な人を切り裂いたの。許す許さない以前の問題なの!!
っぁ……抑りぶが優しくするから……!私の事なんとも思ってない癖に!!友達の友達っていう認識しかしてない癖に……!!」
嗚呼……私はまたこうやって託つけて。感情の赴く儘に彼を責め立てて。……悪いのは自分だ、って理解してる癖に。言った癖に。結局はりぶの好いところの所為にして、責任転換ですか?
止まらない涙が床に零れ落ちてく。水玉が模られてく。
彼が再び「許すよ」と、今度はハッキリと口にした。
彼の目は相も変わらず優しくて。
「僕がつぼみをこうしたんだから。責任は取るよ。
確かにつぼみは良くない事をした。でも……その良くない事へと導いたのは僕なんだから。その責任は取るし……」
「あぁ、でも……彼女には怒られちゃうかな」
そう苦笑を浮かべるりぶは……本当にお人好しで。
「……ばか」
「うん、ばかだよ」
「ばぁか」
「そうだね、ばかだね」
「ばぁぁぁか!!!!」
震える腕でりぶに抱き着いて。りぶの腕を縛っていたネクタイを解いた。
久しぶりに腕を動かしたからだろう。彼が力のない腕でゆるゆると私の背に手を回して。
「ねぇ、つぼみ」
「……」
「これからはちゃんと、つぼみを視るからね」
『大好きだよ』
カーテンの隙間から淡い陽が差す中
───彼がそう、耳元で囁いた。
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