モンスターに転生したけど種族が決まって無い(仮題)

最強願望者

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1章『自分の姿決め編』

『模擬戦2』

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スピードが99999のゴブリン、我ながらどうやって倒したのか分からん。

非表示のスキルに空歩があり、空中に足場を作れるから、最早加速しかできない。

「おーと?こーぉれは予想がーぁいだーぁね?」

まだ余裕そうなピエールは、警戒心を強めながらこちらに迫る。俺は歩いてピエールの目の前まで行く、といっても、50m徒歩1.5秒(体内時計)の俺には、たった10mなんて秒に満たないけどね?

「ッ!?」

どうしたんだろう?俺はただ頭突きしただけなのに、ピエールが壁まで吹っ飛んだんだが?

「グギャ?グギャギャ!(おいおい大丈夫か?もっと気張れよ!)」

ピエールはよろよろと立ち上がり、こちらに剣先を向けて突進、俺はレイピアを注視し、当たる直前で右に避け、バク転で剣を蹴り上げる。

そのまま空歩でレイピアをキャッチし、ピエールを押し倒すと、その喉笛に突きつける。

変身し、吸血鬼に戻ると、ピエールに告げる。

「俺は死神の加護を持っている、傷をつけたくはない」

「ふっ・・・参った・・・私の負けだーぁよ」

レイピアを渡し、休憩室に戻る。

後ろから『何があったのでしょうか!?ピエール副団長補佐は棄権!勝者スライム君です!スライムでは無くゴブリンなのでは!?』と聞こえたが、きっと気のせいだ。

次の試合まで後30分だからな、自家製鉱石フレークでも食うとしよう。




──30分後──

『さぁお待たせしました!第二試合!またご登場!スライム君です!対するお相手は、なんと!騎士団屈指の力持ち!ガンビュート・ルー・ミューザルだ!』

へー力持ちなんだ。この筋肉だるま。

「スライム君?今回はスピードで来ないことを祈っているよ」

ん?何でだ?スピードに付いていけない?それとも余裕ぶっている?

どういう事か悩んでいると、試合が始まってしまった。

『第二試合開始!!!』

またまた歓声が上がる。

ダルマは金棒を2本だが、俺は今回刀を装備している。

だが、変身を待ってくれてるっぽいから、変身する。

「変身」

また体が疼くような感覚になる。
が、それは一瞬だ。

「・・・?それは?」

「これは竜の腕だ」

そう、俺はさっき言った部分変身し、剛腕で押し倒そうとしているのだ。

「まぁいい、行くぞ!」

ダルマがこちらに走ってくる。どうやら力に極振りしてるらしい。

金棒を俺に向かって振るう。一太刀?目を避け、パワーを確かめようとすると、あらビックリ、地面が4m四方でヒビが入っている。ダルマが後1年若かったらここら一帯は砕け散っていただろう。何故ならこの一撃は、全ての力を殺さずに、俺に叩き込むために洗練された力の込め方、振り方をしているのだ。

要は、な一撃という訳だ。

「へー凄い技術だ!だがな、空手だって似たようなもんだぜ?」

そう、瓦割り等の技は、拳全面ではなく、1点に力を込めて割るものである。故に、空手を極めた俺にはそんなの朝飯前だと、完全な一撃を繰り出す。

「知ってるか?剣術の達人は手刀で岩を割るんだぜ?俺も出来るけどな!」

剣先に全ての力を込める。竜の力も、自前の技術の賜物も、ただ1回突くためだけに込める。ありったけのありったけを、ダルマが金棒をクロスして防御の体制をとる。

『おーっと!!!スライム君が構えました!!!あの構えはなんというのでしょう?そして見たことの無い剣です!』

さっきの正念場では聴こえなかった声が次々に聞こえてくる。
実況の声、観客の声、王族の世間話、誰かの息を呑む声、歓声が空に反射する声、そして、ダルマの息遣いに心臓の動き、その瞬間のため、その一瞬の為、耳を、神経を、筋肉を、魂を研ぎ澄ます。

そして、心臓が一瞬跳ね、吸っていた息を吐き出す瞬間、筋肉の緊張が解ける瞬間、その全てが重なった。

そして、一撃を、一閃を、その胸に、叩き込む・・・
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