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1章『自分の姿決め編』
『竜人族』
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「オギャァオギャァ」
「奥様、旦那様、元気な女の子ですよ」
私は約百年程前、竜人族のとある国の貴族の元に生を受けた。
「この子の名はディル・・・ラードン・ディル・ラスターク・・・」
私の母はお淑やかで、よく微笑む方だった。
「あぁ・・・良く頑張ったね・・・とても可愛い女の子だよ・・・」
父は聡明で、更には竜人族の中でも、王族の次に強いと呼ばれる戦闘能力の高さだった。
「母上~!見て下さ~い!」
私が2歳の頃だったか・・・その日は母と父が職務を休み、私と共に草原へ遊びに来ていた。
「ふふっ、上手に出来ましたね・・・」
「えへへ~」
私が、父に教えて貰って作った花冠を母に渡した時、褒められて浮かれた私は、石に躓いて転んでしまった。
「おやおや、ディル、大丈夫かい?」
父が私を心配し、助け起こしてくれた時、不思議な現象が起こった。
突然私の体が輝き、擦りむいた膝が竜化したのだ。
「なっ!まさか・・・ディルが・・・」
父は目を見開き、母はキョトンとして私を見ていた。
その時こそどうしたのか、どうなったのかは分からなかったが、家に帰り、父に私の状態を教えられ、驚愕した。
「ディル・・・お前のその竜化能力はな・・・先祖返りと言う現象によって起こせる能力なんだ」
先祖返り・・・当時の私は詳しく聞いても理解出来なかったが、今となっては相当な奇跡のような事だということ、それがどういう意味を持つのかを理解し、後悔している。
そして更に5年経った日に、私は攫われた。
焦った父は私を追いかけ、奴隷商に雇われたであろう傭兵を蹴散らし、私を檻から出してくれた。が、奴隷商が自ら魔法道具を使い私の父を背後から襲い、父は最後の力を振り絞り、奴隷商を吹き飛ばし、私に笑いかけるとそのまま絶命した。
小1時間泣き叫び、父を背負い村に帰ると、村は燃えていた。
鳴き声や怒号が飛び交っている訳でも無く、唯々燃え、煙が上がっているだけだった。
元は人型だったであろう黒焦げの物を変わった形の木だと思い込み、原型を留めている知り合いの死体を被害妄想だと現実逃避し、自分の家に着いた。
いや、だった場所にだ。
二階建ての木造建築など火種に他ならず、土台となる石盤しか残ってはいなかった。
その中心に、瓦礫に左半分を潰されている母の姿があった。
「ハハハ、ハハハハハ」
私は笑った。泣きながら、怨みながら、妬みながら、怒りながら。
──mainスライム(仮名)──
「そして私は人間に紛れ込み、私を襲った人間共を殺し、様々な者が私と同じ様な目に遭わないように騎士団に入ったのだ」
自嘲するように笑う団長。
対する主人公は、
(えっ・・・何この人・・・突然変身したと思ったら身の上話?出生秘話?なんかよくわかんないこと話し始めたんだけど・・・はっ!もしや同情を誘う為の・・・何という策師!)
盛大且つ失礼な勘違いをしていた。
「えっーと、団長さん?その話よく出来てるけど、多分俺の身の上話の方が悲しいからね」
何せ死んだのだがら・・・
まぁそれはどこぞの作者が閑話として書いてくれるでしょう(意味深)。
「作り話では無いのだが・・・まぁ確かに今の状況では必要ないな」
苦笑し、僅かに目を光らせる団長。
「それでは、2回戦目と行こうか」
「えっ?いやいや、最終戦目だよ?だから派手にぶっぱなそうぜ!」
団長と俺が構える。
試合じゃなく、戦闘の始まりだ。
「奥様、旦那様、元気な女の子ですよ」
私は約百年程前、竜人族のとある国の貴族の元に生を受けた。
「この子の名はディル・・・ラードン・ディル・ラスターク・・・」
私の母はお淑やかで、よく微笑む方だった。
「あぁ・・・良く頑張ったね・・・とても可愛い女の子だよ・・・」
父は聡明で、更には竜人族の中でも、王族の次に強いと呼ばれる戦闘能力の高さだった。
「母上~!見て下さ~い!」
私が2歳の頃だったか・・・その日は母と父が職務を休み、私と共に草原へ遊びに来ていた。
「ふふっ、上手に出来ましたね・・・」
「えへへ~」
私が、父に教えて貰って作った花冠を母に渡した時、褒められて浮かれた私は、石に躓いて転んでしまった。
「おやおや、ディル、大丈夫かい?」
父が私を心配し、助け起こしてくれた時、不思議な現象が起こった。
突然私の体が輝き、擦りむいた膝が竜化したのだ。
「なっ!まさか・・・ディルが・・・」
父は目を見開き、母はキョトンとして私を見ていた。
その時こそどうしたのか、どうなったのかは分からなかったが、家に帰り、父に私の状態を教えられ、驚愕した。
「ディル・・・お前のその竜化能力はな・・・先祖返りと言う現象によって起こせる能力なんだ」
先祖返り・・・当時の私は詳しく聞いても理解出来なかったが、今となっては相当な奇跡のような事だということ、それがどういう意味を持つのかを理解し、後悔している。
そして更に5年経った日に、私は攫われた。
焦った父は私を追いかけ、奴隷商に雇われたであろう傭兵を蹴散らし、私を檻から出してくれた。が、奴隷商が自ら魔法道具を使い私の父を背後から襲い、父は最後の力を振り絞り、奴隷商を吹き飛ばし、私に笑いかけるとそのまま絶命した。
小1時間泣き叫び、父を背負い村に帰ると、村は燃えていた。
鳴き声や怒号が飛び交っている訳でも無く、唯々燃え、煙が上がっているだけだった。
元は人型だったであろう黒焦げの物を変わった形の木だと思い込み、原型を留めている知り合いの死体を被害妄想だと現実逃避し、自分の家に着いた。
いや、だった場所にだ。
二階建ての木造建築など火種に他ならず、土台となる石盤しか残ってはいなかった。
その中心に、瓦礫に左半分を潰されている母の姿があった。
「ハハハ、ハハハハハ」
私は笑った。泣きながら、怨みながら、妬みながら、怒りながら。
──mainスライム(仮名)──
「そして私は人間に紛れ込み、私を襲った人間共を殺し、様々な者が私と同じ様な目に遭わないように騎士団に入ったのだ」
自嘲するように笑う団長。
対する主人公は、
(えっ・・・何この人・・・突然変身したと思ったら身の上話?出生秘話?なんかよくわかんないこと話し始めたんだけど・・・はっ!もしや同情を誘う為の・・・何という策師!)
盛大且つ失礼な勘違いをしていた。
「えっーと、団長さん?その話よく出来てるけど、多分俺の身の上話の方が悲しいからね」
何せ死んだのだがら・・・
まぁそれはどこぞの作者が閑話として書いてくれるでしょう(意味深)。
「作り話では無いのだが・・・まぁ確かに今の状況では必要ないな」
苦笑し、僅かに目を光らせる団長。
「それでは、2回戦目と行こうか」
「えっ?いやいや、最終戦目だよ?だから派手にぶっぱなそうぜ!」
団長と俺が構える。
試合じゃなく、戦闘の始まりだ。
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