モンスターに転生したけど種族が決まって無い(仮題)

最強願望者

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1章『自分の姿決め編』

『王国』

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王様が立ち上がり、俺と対面のソファに座る。
顔を真っ直ぐ見つめていると、一瞬だけ考えるように目を瞑り、口を開いた。

「改めて言おう、私の名はアルファロ・カイン・ディザースと言う、アルファロ王国の国王をやらせて貰っている」

「始めまして・・・でしょうか・・・スライムと名乗らせていただいております、この場では旅人とお答えします」

馴れない敬語を使って失礼の無いように喋る。

「ふむ、子供と侮っていたが、なかなかの教育を受けているのだな」

「いえ、最低限の礼儀しか知らない野蛮な小僧でございます」

内心苦笑しながら礼儀正しく腰を折る。
小さい体故にあまり変化は無いが、それでも真摯な気持ちは分かってもらえるだろう。

「よい、謙遜するでなくとも、その言動を見るだけで分かるものは分かる」

「恐縮です」

下手に出たのがよかったのだろうか、いくらか気分が良さそうな王様が頷く。

「先の戦闘、見事であった。ここの騎士団は先鋭揃いなのだが、貴殿には物足りなかったか?」

「いいえ・・・と申したい所ではあるのですが・・・」

申し訳なさそうにすると、後ろのメイドからよく分からない視線を貰った。

「ハッハッハ!やはりな・・・突然だが、私の元に来んか?待遇も最上の物を約束しよう」

ニッコリと笑いながらも、目だけは観察するように鋭くこちらを見る王様。

「・・・申し訳ありませんが・・・」

「欲しい物をやろう、金も女も土地もだ、それとも爵位か?」

本気で勧誘しているのが伝わる言い方と、部屋に緊張感が張り巡り、ドアの前にいる騎士がこちらの様子を見る様にしているのが分かった。

「いえ、私は身を固めるつもりも、一国に住み込むことも考えておりませんので」

「・・・理由を聞こう・・・」

僅かに下がった空気、それに反応するかのようにピクリと動く執事。

「私はモンスターです、人と共に過ごしていい存在ではありません、そして私はこの世界を自由に見て回りたいと考えております故、この件はお断り致します」

「・・・そうか・・・残念だ・・・」

心底残念そうにする王様、だが、強要されても身を固める理由には行かない。特に理由は無いが・・・

「もういいぞ・・・時間を取って悪かったな」

立ち上がり、一礼してから部屋を出る。
どこか愁傷な雰囲気の王様を残して・・・


──sideカイン王──

結局断られてしまった・・・あの少年・・・自らをモンスターと呼ぶ事に何か意味があるのか?

「バルセロ、どう思う?」

もはや堅苦しい雰囲気の王様ではなく、一人の男として執事に問う。

「やはり引き込むのは不可能かと、話し合い中ずっと気配察知を行なっていましたが、足音、服が擦れる音を含めて全く感知出来ませんでした」

「なに?本当か?」

驚きに目を瞬かせるカイン王、その問に答えるのは執事ではなくメイドであった。

「カイン様、私にも感知できませんでした・・・あの者は暗部にも携わっている可能性があります」

「お前をそこまで言わせるか・・・」

最早感心したように声を出す王。と、不意にバルセロが動き出し、床と天井の隠し戸を開ける。

すると、冷や汗を大量に掻き、青くなって震えている男女が2人出てきた。

「なっ!どうした!」

更に驚き、問い掛ける王に、男の方が口を開いた。

「さ、さっきの少年から・・・異常に濃い殺気と威圧がしまして・・・」

そういった瞬間、突然崩れ落ちる男女、息も過呼吸と言っても過言では無いくらい乱れていた。

「・・・カイン様・・・あの少年は危険です・・・ちょっかいをかけるのはお辞めになった方が得策かと・・・」

「あ、あぁ・・・そうだな・・・出来れば良好な関係を築きたいな・・・」

この日、アルフォロ王国の王は、スライム(仮名)を最重要人物として、頭に植え付けるのであった。
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