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1章『自分の姿決め編』
『到着』
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オークの1件から半日が経ち、現在夕食の準備を手伝っている。
「スライム様、オークの肉は干し肉や、煮込み等で食べると美味しいのですよ?」
料理をしてくれているリチャードさん、手伝っていると、結構仲良くなった。
「リチャードさんって料理スキルを持っているんですか?」
だって、そこら辺にいる主婦よりも上手だから。
「いえいえ、僕は子供の頃から母に仕込まれましてね、長期間同じ事を繰り返していると、スキルがなくてもできるようになりますよ」
へー、じゃあ俺の空手の技術はスキルがなくてもいいんだ。
あ、だから剣術スキルがなくても出来たのか!
「あっ、スライム様、お料理が出来たので、皆さんを呼んできてください」
「わかりました」
配膳のように皆に食事を廻し、俺は腹が減らないから余った数個だけ貰った。
「・・・これは・・・なんだ?」
「これは僕の家に代々受け継がれている料理で、ザングと言います」
ザング・・・見た目はケバブのように、野菜と肉をパンで挟んである。味は・・・かなり甘い・・・
「リチャードさん、これ、辛くしてもいけると思います」
「おー!その発想はありませんでした!後日挑戦してみます!」
明日は辛いのか・・・ケバブあんまり好きじゃないんだけどな・・・
王族とは違うテントで寝り、朝になると、王女様に起された。
「申し訳ありません、お手数をお掛けしてしまい・・・」
「いえ、大丈夫です!むしろスライム様の違うお姿が見れて満足です!」
あ、なんか興奮してる。なに?そんなに俺って幼い?ちょっと凹む・・・
──馬車の中にて──
「スライム様、スライム様はどうしてそんなにお強いのですか?」
「それは・・・どういう意味でしょうか?」
意図が読めん・・・強さの秘訣?いやいや、魔物食って空手やればこれくらい強くなるって。1回死ななきゃいけないけどね(泣)
「えっと・・・名高い冒険者様なのかと・・・」
「いえ、私はしがない旅人ですよ、強さは・・・紛い物です」
紛い物・・・運良く転生して、運良くゴーレムを吸収して、運良くモンスターを倒せて、運良く騎士団の地下だった。
自分の力だが、自分が手に入れた力じゃない。
運も実力の内という言葉が俺は信じていない。
前世で師匠に出会ったのも偶然、俺がモンスターに転生したのも偶然、運が良かった。
それだけだ、それしか残らない。
だから、信じていない、信じてはいけない。
もし、本当に運が実力の内なら、俺は、運が実力になってしまう。
そんなことを考えていると、王女様が黙ったままこちらを見ていた。
えっ?なに?続きを話せってか?
「ですので、私は全く強くありません」
運が良かっただけだ。
それからは、王妃様共々黙り込んだまま、スライム一行は王都へ辿り着くのであった。
王族は関所を素通りする権利があるらしく、その代わり従者、メイド、護衛は全員外に出ないと駄目らしい。
「それでは王妃様、王女様、短い間でしたが、ありがとうございました」
王様は報酬を貰う時に会うからいいとして、2人は多分、もう会うことはないからな。
「はい、スライム様にとってはつまらない道のりだったでしょうが、私達はとても楽しかったですよ」
と、王妃様が微笑を浮かべて笑いかけてきた。
う~ん・・・エルフの血が流れてるんじゃね?
耳普通だけど・・・
「えっと・・・色々質問してしまい、申し訳ありませんでした・・・またの機会に、旅のお話をお聞かせください」
と、王女様がたどたどしく語り掛けてきた。
・・・上目遣いなんて使われたの初めてだわ。
前世含めて・・・(哀)
「はい、もちろんです」
そう言って外に出て、馬車馬の横に並び、鬣を撫でながら歩く。
報酬は何かな・・・出来ればお金がいいなぁ・・・
「スライム様、オークの肉は干し肉や、煮込み等で食べると美味しいのですよ?」
料理をしてくれているリチャードさん、手伝っていると、結構仲良くなった。
「リチャードさんって料理スキルを持っているんですか?」
だって、そこら辺にいる主婦よりも上手だから。
「いえいえ、僕は子供の頃から母に仕込まれましてね、長期間同じ事を繰り返していると、スキルがなくてもできるようになりますよ」
へー、じゃあ俺の空手の技術はスキルがなくてもいいんだ。
あ、だから剣術スキルがなくても出来たのか!
「あっ、スライム様、お料理が出来たので、皆さんを呼んできてください」
「わかりました」
配膳のように皆に食事を廻し、俺は腹が減らないから余った数個だけ貰った。
「・・・これは・・・なんだ?」
「これは僕の家に代々受け継がれている料理で、ザングと言います」
ザング・・・見た目はケバブのように、野菜と肉をパンで挟んである。味は・・・かなり甘い・・・
「リチャードさん、これ、辛くしてもいけると思います」
「おー!その発想はありませんでした!後日挑戦してみます!」
明日は辛いのか・・・ケバブあんまり好きじゃないんだけどな・・・
王族とは違うテントで寝り、朝になると、王女様に起された。
「申し訳ありません、お手数をお掛けしてしまい・・・」
「いえ、大丈夫です!むしろスライム様の違うお姿が見れて満足です!」
あ、なんか興奮してる。なに?そんなに俺って幼い?ちょっと凹む・・・
──馬車の中にて──
「スライム様、スライム様はどうしてそんなにお強いのですか?」
「それは・・・どういう意味でしょうか?」
意図が読めん・・・強さの秘訣?いやいや、魔物食って空手やればこれくらい強くなるって。1回死ななきゃいけないけどね(泣)
「えっと・・・名高い冒険者様なのかと・・・」
「いえ、私はしがない旅人ですよ、強さは・・・紛い物です」
紛い物・・・運良く転生して、運良くゴーレムを吸収して、運良くモンスターを倒せて、運良く騎士団の地下だった。
自分の力だが、自分が手に入れた力じゃない。
運も実力の内という言葉が俺は信じていない。
前世で師匠に出会ったのも偶然、俺がモンスターに転生したのも偶然、運が良かった。
それだけだ、それしか残らない。
だから、信じていない、信じてはいけない。
もし、本当に運が実力の内なら、俺は、運が実力になってしまう。
そんなことを考えていると、王女様が黙ったままこちらを見ていた。
えっ?なに?続きを話せってか?
「ですので、私は全く強くありません」
運が良かっただけだ。
それからは、王妃様共々黙り込んだまま、スライム一行は王都へ辿り着くのであった。
王族は関所を素通りする権利があるらしく、その代わり従者、メイド、護衛は全員外に出ないと駄目らしい。
「それでは王妃様、王女様、短い間でしたが、ありがとうございました」
王様は報酬を貰う時に会うからいいとして、2人は多分、もう会うことはないからな。
「はい、スライム様にとってはつまらない道のりだったでしょうが、私達はとても楽しかったですよ」
と、王妃様が微笑を浮かべて笑いかけてきた。
う~ん・・・エルフの血が流れてるんじゃね?
耳普通だけど・・・
「えっと・・・色々質問してしまい、申し訳ありませんでした・・・またの機会に、旅のお話をお聞かせください」
と、王女様がたどたどしく語り掛けてきた。
・・・上目遣いなんて使われたの初めてだわ。
前世含めて・・・(哀)
「はい、もちろんです」
そう言って外に出て、馬車馬の横に並び、鬣を撫でながら歩く。
報酬は何かな・・・出来ればお金がいいなぁ・・・
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