数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

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第一章『雷の可能性』

二話『その力とは』

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冒険者になり、3年が経った。
僕は15歳になり、フールも15になっているだろう。
噂だと、フールは皇国という神聖国家に引き取られ、修行をしているのだそうだ。
冒険者としての力も既に僕よりも上だ。
僕は冒険者ランクはB。
フールは、Aだ。
フールは名のあるパーティーである『皇魔騎士団』に入り、その力を高めている。
皇魔騎士団はランクSで、Sランクの中でも上位に位置するパーティーだ。
そういう僕はパーティーには所属せず、ちまちまと功績を上げている。
僕は元いた街を離れ、王都であるここ、リアリスにて修行を続けている。
ここらはいい。
魔物もそれなりに強く、ダンジョンまである。

「お疲れ様ですアダム君。本日の報酬です」

「ありがとうございます」

ここは王都のギルド。
僕はBランクだけあってそれなりに一目置かれている。
15で、しかもソロでBは中々らしい。
ちなみに、認定レベルというものがある。
これは簡単に言えば名声のようなもので、ギルドが噂やクエストクリアの評価などからレベルを決定する。
フールは既に6だが、僕はまだ5だ。
いつも1歩先を行くんだよなあ、フールは。
認定レベルは普通に功績や依頼をこなしたり、緊急依頼の奉仕度で上がったりする。
ランクはレベル6になればAになる。
わりとわかりやすい制度だ。 

「・・・さて、と」

僕はこれから修行だ。 
近くにオークの村がある。
そこへ突入しよう。

試してみたいこともある。

§

僕は1年かけて研究をした。
そして、この魔法の特性を完全にとは行かないが、それなりに理解出来た。

『雷』

それは、麻痺や火傷、打撲や裂傷、後遺症などの状態異常を確率で付与できる。
当て方によっては確実性も狙える。
全ての魔法よりも速度が上であり、格下であれば確殺の魔法となる。
しかしその速度は、魔力量によるものだとわかった。
魔力の込める量により、この魔法の威力は上がるのだ。
そして僕の魔力量は・・・
無限に等しい。
魔力量と言うのは基本的に生まれてから死ぬまで変わらない。
しかし、僕の魔力は『成長』するものだった。
これは『大賢者』と同じ特性であり、僕自身驚いたものだ。
そしてその成長力は、使ったそばから増える一方で。
1使ったとしよう。 
すると100増えるのだ。 
そう。
頭がおかしい。
そのせいで常に頭が痛いし、この成長は限界が見えないほどに無限に続いている。
だから、僕がそれなりの魔力を込めた雷魔法の初期魔法である『落雷』も。

「・・・やっぱすげぇな・・・」

一撃でオークの村が消え、クレーターができる程度には、強力になる。
・・・乱戦では使えないなぁ。
調整の練習したいからダンジョンにでも潜ろうかな。

§

俺はAランクパーティーのリーダー。
今回何故かギルドに呼び出され、酒場で話を聞いている。

「オークの村が出来た事は知っていますか?」

「当たり前だろ?だけどオークの村って言ってもそんな大したもんじゃねぇはずだが。ジェネラルでも出たか?」   
 
オークの村はBランク、引いてはCランクのパーティーでも攻略できるようなものだ。
普通のオークだけなら、だが。
オークジェネラルやオークキングなどが居て、統率が取れていたりすると、それはもはやSクラスパーティーが出るほどの驚異となる。
だが、ギルドは『村』と言い切っている。
それはつまり、少なくともキングではないということ。
ジェネラルなら俺らでも何とかなるはずだ。

「いえ・・・それが、突然消えたのです」

「・・・誰かが討伐したのか?」

それなら俺たちが呼ばれた理由がわからない。
パーティーメンバーも首を傾げる。
討伐依頼では無いなら、何故?

「いえ、そうではなくて・・・」

「わかんねぇな。はっきり言いやがれ」

「ですから、消えたのです。村ごと、跡形もなく」

どういうことだ?
討伐された後に他の魔物に食い荒らされた・・・という話でも無さそうだ。
跡形もなく・・・?
何かの比喩でも無さそうだ。
・・・わからないな。
いや、ギルドも分かっていないのだろう。
だから呼ばれた、か。

「その場所の調査が依頼ってとこか?」

「えぇ、話が早くて助かります」

「まぁそれはいいがよ・・・目撃者は?」

跡形もなく消えたなんて断定するくらいだ。
誰かが目撃したのではないのか?

「それが・・・」

チラリと、俺らの後ろを見る。
そこには、 魔物が書いてある本を読んでいる少年が居た。
下手に見積もっても15、6くらいか。
身長は高いし、隙もない。
中々の手練と見ていいか。
と、ギルドの職員が少年を呼ぶ。

「アダム君。ちょっと」

アダム・・・2年前頃にこっちに来たソロBランクのレベル5か。
なるほど、手練とも頷ける。

「なんですか?アンナさん」

ギルド職員の名だ。 
なるほど、お抱えの冒険者って感じか?
少年は俺たちに一礼してから前を通る。
ふいに、ゾクリとした感覚が背中を走った。
・・・?風邪かな・・・

「君が言っていたオーク村の消滅を捜査してくれる『紅の刃』の方々です。お話が聞きたいらしいですよ」

「ですから、あれは僕がやったと何度説明すれば・・・」

「アダム君、確かに消滅を伝えてくれたのは功績です。ですが、そこまで欲を張る必要はありませんよ」

「はぁ・・・分かりましたよ・・・」

諦観した様子でこちらを見る少年。
そして改めて頭を下げ、自己紹介を始めた。
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