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第二章『学園と黒竜』
二話『入学式と波乱』
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「初めまして。かな?私の名前はアルス・ミストヴェールだ。ここの学園長をしている。今年の君たちの担任を努めさせてもらう」
学園長というワードが出た瞬間にざわめく。
・・・クラスメイトは5人しか居ないのか。
少し青春を期待していたから悲しい。
まぁいいや。フールいるし。
「とりあえず初日ということで、入学式を行う。その後は1度ここへ戻って──」
初日で結構色々やるんだな・・・
Sクラスはほかのクラスに比べてかなり優遇されている。
金で入ることも出来るが、序列戦というもので負けると有無を言わさず降格になる。
そして序列戦というのは、2人1組のものだ。
Sクラスの優遇の最もたるものは、授業の免除にあるだろう。
他のクラスへ行って授業を受けてもいいし、図書館や研究室で研究してもいい。
『自由』それが、Sクラスの持つ権限だ。
上級生のSクラスは割と自由に研究しているらしい。
まぁ、ここの正式名称は『魔術特殊研究学園』だからな。
通称魔研だ。
しかし、ここにいる『留学生』は様々なジャンルが居る。
剣術学園や同じ魔術学園。
他にも回復専門やらなにやら。
魔物専用の研究学園もあるらしい。
少しだけ興味がある。
ちなみに、フールの学園は魔剣士と呼ばれる魔法と剣に命をかけた学園だ。
昔からフールは剣が好きだったなあ・・・
僕は技術と力では勝てないが、速さでねじ伏せていたので負けはなかった。
たった一度を除いて。
「めんどくさいねぇ、僕新入生代表だってよ?」
「ボクも留学生挨拶あるよー」
何故、フールが1年生で留学しているか。
それは、法皇からの指示らしい。
どうやら学園に入ったのは自分の意思らしいが、皇国での修行にも限界があると法皇が言ったらしい。
法皇様ありがとー。
「まぁいいや、適当に終わらせよう」
§
「いいか。油断はするな。学生だからと言って侮るな。今年の新入生にはレベル6とレベル7が居る。確実に殺せ」
王国の時計台から学園を睨む影。
それに連なる無数の黒ずくめの男と女。
今年は数年ぶりに国王が学園の入学式に出席する。
その情報を得た『上』が暗殺を命令してきた。
報酬は望むものと言われている。
さすがに国王の暗殺だ。
チャンスは1度だ。
入学式の挨拶の瞬間。
数瞬だけ来賓に向けられた目をくぐり抜ける。
「・・・・・・・・・護衛が少ない、な。学園の生徒にそこまで信頼を寄せているのか・・・?」
あるいは、教師に、か。
まぁいい。
「散開!」
殺ればなんでもいいのだ。
§
面倒だなぁ。
なんで今年に限って国王なんか居るんだよ。
フールは気付いてないみたいだけど、ここ殺意と戦意が渦巻きすぎでしょ。
いや、気付いてて僕に集中してるのかな・・・
「新入生代表。アダム」
「(がんばって!)」
名前を呼ばれ、壇上へ上がる。
何だか初めての感覚だ。
どうすればいいのかは聞いていたから何となくわかるが、初めてというのは緊張するものだ。
つくもが頭の上で丸くなっている。
正直すげぇ可愛い。
あともふもふいいね。
「皆さんこんにちは。この度新入生代表に選ばれたアダムと申します。本日は天気も良く、実に祝福されていると感じております。また、国王陛下もお越し頂き、新入生一同代表して、感謝申し上げます。つきましては──」
バリィンと、窓が割れる音がする。
続々と黒ずくめの男女が現れる。
どうやら新入生にも混ざっていたようだ。
その手には刀や両刃の剣。
その他色々な武器が握られている。
ざわめきが広がる。
「──不躾な輩に、罰を与えるとしましょう」
一斉にこちらに目が集まる。
・・・一人黄色い声援があるのはなんなのだろうか。
君も手伝ってよ・・・
「つくも。よろしく」
『私がやるのか?全く・・・短い付き合いだが貴様はそういう所があるよな・・・』
そう愚痴りつつ、つくもは僕の背後へ降りた。
小さかったつくもの体は人間になり、その女性が現れる。
白い髪に白い肌。
目は赤く、その背には。
13の尾が揃っていた。
加えて、前回までは全裸だったが、僕の指示(というかお願い)によって、東国の『着物』とやらを来ている。
正直凄く似合っている。
僕も着てみたいのは秘密だ。
「馬鹿な──人になる使い魔だと!?」
その声を出したのは誰だったのか。
人になる使い魔とはつまり、神獣と呼ばれるものだ。
そしてつくもはそんなものではなく。
『神』に名を連ねるものだ。
「控えよ。人間」
途端に、重圧。
僕より下の足場にいる人間全てに対する、プレッシャー。
つくもは人型だと何故か強くなる。
というのも、狐の体より人間の体の方が魔力が練りやすいからだそうだ。
と、唐突につくもが背後から僕に撓垂れ掛かってくる。
首の前に回された腕を感じながら、僕は首謀者を探す。
「愚民ども。我が主の晴れ舞台に良くぞのこのこと現れたな」
少し怒っているように聞こえる。
僕が指示したのは時間稼ぎだ。
その証拠に、全員がつくもを見ている。
目を離せないのだろう。
さて、と。
どうやって犯人探そうかな。
学園長というワードが出た瞬間にざわめく。
・・・クラスメイトは5人しか居ないのか。
少し青春を期待していたから悲しい。
まぁいいや。フールいるし。
「とりあえず初日ということで、入学式を行う。その後は1度ここへ戻って──」
初日で結構色々やるんだな・・・
Sクラスはほかのクラスに比べてかなり優遇されている。
金で入ることも出来るが、序列戦というもので負けると有無を言わさず降格になる。
そして序列戦というのは、2人1組のものだ。
Sクラスの優遇の最もたるものは、授業の免除にあるだろう。
他のクラスへ行って授業を受けてもいいし、図書館や研究室で研究してもいい。
『自由』それが、Sクラスの持つ権限だ。
上級生のSクラスは割と自由に研究しているらしい。
まぁ、ここの正式名称は『魔術特殊研究学園』だからな。
通称魔研だ。
しかし、ここにいる『留学生』は様々なジャンルが居る。
剣術学園や同じ魔術学園。
他にも回復専門やらなにやら。
魔物専用の研究学園もあるらしい。
少しだけ興味がある。
ちなみに、フールの学園は魔剣士と呼ばれる魔法と剣に命をかけた学園だ。
昔からフールは剣が好きだったなあ・・・
僕は技術と力では勝てないが、速さでねじ伏せていたので負けはなかった。
たった一度を除いて。
「めんどくさいねぇ、僕新入生代表だってよ?」
「ボクも留学生挨拶あるよー」
何故、フールが1年生で留学しているか。
それは、法皇からの指示らしい。
どうやら学園に入ったのは自分の意思らしいが、皇国での修行にも限界があると法皇が言ったらしい。
法皇様ありがとー。
「まぁいいや、適当に終わらせよう」
§
「いいか。油断はするな。学生だからと言って侮るな。今年の新入生にはレベル6とレベル7が居る。確実に殺せ」
王国の時計台から学園を睨む影。
それに連なる無数の黒ずくめの男と女。
今年は数年ぶりに国王が学園の入学式に出席する。
その情報を得た『上』が暗殺を命令してきた。
報酬は望むものと言われている。
さすがに国王の暗殺だ。
チャンスは1度だ。
入学式の挨拶の瞬間。
数瞬だけ来賓に向けられた目をくぐり抜ける。
「・・・・・・・・・護衛が少ない、な。学園の生徒にそこまで信頼を寄せているのか・・・?」
あるいは、教師に、か。
まぁいい。
「散開!」
殺ればなんでもいいのだ。
§
面倒だなぁ。
なんで今年に限って国王なんか居るんだよ。
フールは気付いてないみたいだけど、ここ殺意と戦意が渦巻きすぎでしょ。
いや、気付いてて僕に集中してるのかな・・・
「新入生代表。アダム」
「(がんばって!)」
名前を呼ばれ、壇上へ上がる。
何だか初めての感覚だ。
どうすればいいのかは聞いていたから何となくわかるが、初めてというのは緊張するものだ。
つくもが頭の上で丸くなっている。
正直すげぇ可愛い。
あともふもふいいね。
「皆さんこんにちは。この度新入生代表に選ばれたアダムと申します。本日は天気も良く、実に祝福されていると感じております。また、国王陛下もお越し頂き、新入生一同代表して、感謝申し上げます。つきましては──」
バリィンと、窓が割れる音がする。
続々と黒ずくめの男女が現れる。
どうやら新入生にも混ざっていたようだ。
その手には刀や両刃の剣。
その他色々な武器が握られている。
ざわめきが広がる。
「──不躾な輩に、罰を与えるとしましょう」
一斉にこちらに目が集まる。
・・・一人黄色い声援があるのはなんなのだろうか。
君も手伝ってよ・・・
「つくも。よろしく」
『私がやるのか?全く・・・短い付き合いだが貴様はそういう所があるよな・・・』
そう愚痴りつつ、つくもは僕の背後へ降りた。
小さかったつくもの体は人間になり、その女性が現れる。
白い髪に白い肌。
目は赤く、その背には。
13の尾が揃っていた。
加えて、前回までは全裸だったが、僕の指示(というかお願い)によって、東国の『着物』とやらを来ている。
正直凄く似合っている。
僕も着てみたいのは秘密だ。
「馬鹿な──人になる使い魔だと!?」
その声を出したのは誰だったのか。
人になる使い魔とはつまり、神獣と呼ばれるものだ。
そしてつくもはそんなものではなく。
『神』に名を連ねるものだ。
「控えよ。人間」
途端に、重圧。
僕より下の足場にいる人間全てに対する、プレッシャー。
つくもは人型だと何故か強くなる。
というのも、狐の体より人間の体の方が魔力が練りやすいからだそうだ。
と、唐突につくもが背後から僕に撓垂れ掛かってくる。
首の前に回された腕を感じながら、僕は首謀者を探す。
「愚民ども。我が主の晴れ舞台に良くぞのこのこと現れたな」
少し怒っているように聞こえる。
僕が指示したのは時間稼ぎだ。
その証拠に、全員がつくもを見ている。
目を離せないのだろう。
さて、と。
どうやって犯人探そうかな。
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