数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

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第三章『地下ダンジョンと禁忌の実験』

一話『その小悪魔、生徒会長につき』

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翌日、人間の姿のつくもと共に街へ買い物へ行こうとすると、寮門の前で生徒会長が誰かと話していた。
・・・あ、タナカ?君だ。
青髪と爽やかな髪は印象的だからね。
僕でも覚えてしまった(?)。
イトウ?君はこちらに気付くと嫌そうな顔をしたが、つくもを見て人が変わったかのように爽やかな笑みを浮かべた。
そして、僕の傍を通り過ぎ、斜め後ろのつくもへ近付く。

「美しい方、お名前を──」
「ペッ」

つくもに唾を吐かれ、固まるサトウ?君。
あー、あれはガチの拒否反応だ。
まぁ仕方ないね。
これは僕のものだし。
・・・なんてね。

「こんにちは。アダム君」

「こんにちは。生徒会長」

にこやかに話しかけてくる生徒会長。
その顔には人懐っこい笑顔がくっ付いていた。
これだ。
この顔は、フールが僕と2人の時に見せる顔にすごく似てる。
・・・うーん。
意図せずしてフールが恋しくなってしまう・・・
今頃何してるかなぁ──

「へくしゅっ!あぁ!アダムの目が・・・」

──僕は挨拶の勢いのまま横を通り過ぎようとする。
その腕を生徒会長が掴もうとして──つくもの尾に叩かれた。
つくもが油断なく生徒会長を見る。
生徒会長はつくもを特に感情の篭らない目で見つめ、すぐに歩く僕の横へ並んだ。
つくもは僕と生徒会長の真ん中の真後ろ。
生徒会長が触れようとすれば叩き落とすつもりだろう。
それを分かっているのか、微妙に近くもなく遠くもない距離を保つ会長。

「待って下さいよアダム君。急ぎの用事ですか?」

「いぇ──はい。少し買い出しへ・・・」

「・・・私もついて行っちゃダメですか?」

うるうるとした目でこちらを見上げてくる。
・・・うーん。何が目的なんだろう。
生徒会には元々入るつもりだし、それはあっちも分かっているだろう。
・・・本当にお詫びの気持ち・・・なのか?
つくもをチラリと見た。
あ、機嫌悪そう・・・

「すみません。今日はこの子と二人で行こうと思っていたんです。またの機会でよろしいですか?」

「──・・・そうですか。それは失礼しました。では、今度、お食事でもどうでしょうか?」

「えぇ、そのうち」

僕は曖昧に返事をして言葉を濁す。
こういうのは当たり障りない言葉で巻くのが1番なのだ。
・・・フールに対する扱いも、昔はこんな感じだったなぁ。
なんだか懐かしいや。

そのまま別れ、つくもがさっきまで会長の居た右側に並ぶ。
尾で嫌そうに僕の右半身を叩く。
モフモフだぁ・・・

「臭いメスだ。貴様はあんなのが好みなのか?」

「きな臭いってこと?僕的には興味すらわかないけど・・・前も言わなかったっけ、僕フールにしか興味無いんだよね」

どうしても、欲情というものが僕には存在しない。
初めて人型のつくもを見た時も、全裸だったにもかかわらず僕は赤面すらしなかった。
そこは少し反省しているが、直前に殺しあった相手に欲情するのもどうかと思うんだ・・・
だけど、最近気付いたのだが、フールと一緒に寝るといつもより4秒寝付きが遅いのだ。
・・・これは、緊張だな!と思っていたが、つくもには微妙だったらしい。

「・・・貴様はそのままでいてくれ」

「?変わるつもりは無いけど・・・」

フールが他の人と・・・って言うなら、まぁ多少は興味でも湧くんじゃないかな。
逆に完全に無欲になるかも?
基本、強さに飢えてるから。
それ以外は切り捨ててきた。
そのツケとやらだろうか・・・

「まぁいい。あの女はいけ好かない。あの女の匂いが染み付いた貴様には尾を触らせないからな」

「・・・・・・・・・え?」

§

第一接触失敗。
あの狐ちゃんはどうやら鼻が良いらしい。
けど、肝心のアダム君はそこまで敏感じゃないのかも?
戦闘職の人は戦意や殺意には敏感だと聞くけど、こう言うのはそこまでなのかな?
・・・うーん。
まぁいいや。
とりあえず強引に約束を付けてきたから、後は今度会った時にでも・・・
チャンスはまだあるはず。
時間もまだある。
焦る必要は無い。
私の後・・・3年間を、無駄にしないために。
彼は手中に収める必要がある。

「・・・狐ちゃん厄介だなぁ」

フールちゃんには本能的に危機を感じたから、あの子が居る間は手を出さなかった。
副会長に帰ってくるように言ってフールちゃんも帰せたのは幸運だった。
でも、あんなにガードの固い狐ちゃんが居るなんて・・・
アダム君は満更でも無さそうだから、一人きりの時なら何とか・・・?

「様子見かなぁ」

恋する乙女のように、毎日寮の前で待っててもいいかもしれない。
なんなら1年Sクラス用の寮へ転居も・・・
いや、それはやりすぎか。
変な噂が立つのもまだ早いし、噂の度もある。
1度痛い目を見てからは自粛してるのだ。
来年も会長になるために、ね?

「彼を手に入れたら・・・ふふ!楽しくなりそうね!」

ウキウキと、彼女の歩みは軽くなる。
周りから見た彼女はまさに、小悪魔が如く。
しかし、彼女は知らない。
アダムという男を。
馬鹿みたいに純粋フール一筋な男を。
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