数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

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第三章『地下ダンジョンと禁忌の実験』

三話『本物の使い魔』

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「えーと、君の名前はレヴィアタンって言うんだね?」

『はい。わたくしはお父様の作り出したこの器に入り込んだ悪魔でございます』

おい、今またサラッと新しい情報出てきたぞ。
一旦整理しよう・・・
この子の名前はレヴィアタン。
僕が作り出した体に宿った精霊みたいなものだ。
実際悪魔らしいが・・・悪魔なんてとっくの昔に絶滅している。

「えーと、レヴィ?性別とかあったりするの?」

『いいえ。私達精霊や悪魔には性別は存在しません。しかし、お父様が望むのであればどちらにでもなれます』

「いや・・・うん。わかった」

とりあえず気を使う理由は無さそうだ。
僕は質問を終え、つくもを見る。
始終驚愕している様子のつくも。
僕だって困惑している。
しなくていい質問までしている。

「とりあえず・・・君は消えないの?」

『お望みであれば消えます。私の器は魔力が源ですが、その本質は精霊の肉体のようなものなので、とても曖昧かつ自由な物です』

聞いたことがある。
魔力でできた体を持つ魔物がいると。 
それは思念体って言うか、幽霊っていうかっていう感じの魔物らしいが・・・
それに近しいものなのだろうか。

「・・・うーん。とりあえず消えなくていいや。ご飯とかは食べるの?」

『食事は必要ありませんが、お父様の魔力を頂けば御身を御守りする程度の力は付くでしょう』

「なるほどね、本物の使い魔だ」

「・・・流石としか言えないな、アダムよ」

興味深げに黒雷の蛇を見つめるつくも。
ベルもつくもを見つめ、そして僕に鎌首をもたげて聞いてきた。

『これは食べてもよろしいのですか?』

「ダメだよ!?」

『失礼致しました』

つくもも微妙な顔をしている。
・・・うん。
なんか、うん。
仲間が増えましたとさ。

§

微睡みの中、私はそれを感じた。
強く、暖かく、優しい。
そんな魔力。
私を眠りから覚ましてくれた『お父様』は、とても若い御方だった。
数億年前に神共に殺され、魂は虚無の空間に投げ捨てられていた。
私はもう二度と、自由にはなれないと思っていた・・・しかし。

「やっぱり!出来たぞつくも!」

そう声が聞こえたと思えば、目の前には数億年ぶりの『外』があった。
霊体だが器もある。
意識もある。
しかし、腹が減った──
目の前に、高純度の魔力の塊がある。
・・・美味そうだ。
どうやら食べて良いと言われているようだ。
有難く頂こう。
すぐに食べ尽くし、お父様の元へ戻る。
グルグルと胴体を登り、その首元から顔を見た。
あまりにも若い。
私からすれば幼子にも満たない年齢だと感じた。
だが、その瞳からは、強い『闇』を感じる。
これは、そう。
まるであの『男』のような──
諦観したかのような、絶望したかのような・・・
そんな瞳。

ふと指輪を見つけ、そこに居る仇敵を見つけた。
あれは・・・あの時の小僧か。
なぜお父様の御指に──!!
喰らってやろうと近づくと、お父様に窘められる。
叱られた・・・だが、その声色はとても優しいものだった。
数億年孤独にさまよっていた私にとって、その声だけで身震いするような心地がする。
そして、体の奥底で理解した。
この御方が、かつて私が探し続けた主なのだと。
決して逆らえず、決して逆らわず、命に変えて御守りするべき御方。
決めた。
元よりその他の選択はない。
しかし、ここまで満足に従属できるなど、悪魔にとってこれ以上ないほどの至福。
私は。
この御方について行こう。

§

「・・・わぁ、でかくなったね」

『お父様の魔力は強大で御座います。故にそれに比例して私も成長するのです。もちろん、与えられた魔力も関係しますが』

とりあえず敵意はないし、様子見だ。
大きくなったレヴィは少し体の輪郭もハッキリしていて、鱗のような物も少し確認できた。
つぶらな瞳も確認できる。
・・・うーん。
蛇だ。
非の打ち所のない蛇だ。

「その蛇みたいな体は変えられないんだ?」

『お父様がお造りになられた器の形がこの形でしたので・・・お望みであればお好きな形に──』

「いやいいよ。僕、実は蛇好きなんだよね」

『──左様ですか』

くねくねと動くレヴィ。
・・・喜んでる、のかな?
つくもがすごく大人しい。

「どうしたのつくも。顔が青いよ」

「い、いや──」

『喋るな。誰が許可したのだ』

・・・え?
つくもがビクリと震えた。
・・・・・・え?
上下関係・・・?

「えーと、いいよ。話させてあげよう」

『かしこまりました。楽にせよ』

「・・・レヴィアタン。思い出した・・・我が種族を絶滅寸前まで追い詰めたとされる大悪魔・・・」

「え、そうなのレヴィ?」

『はい。お父様のお役に立つために、私は数々の魔力を喰らい、力をつけました』

結果論じゃん・・・
・・・なるほど、だから怖いのか。
でも魂だけだから・・・と思ったけど、魔力っていうのは魂に宿るものだ。
つまり、そういう事か。
・・・なんか、僕じゃなくて僕の仲間強すぎじゃない?
自信なくなってきた。

「まぁなんでもいいけど、つくももなんとも思ってないんでしょ?」

「う、うむ。私が産まれる何億年も前の話だ・・・気にしてはいないが・・・本能的に、な」

「なら、レヴィも仲良くしてね?」

『かしこまりました。ヨロシク、ツクモ』

最後が片言だったが・・・
さて、なんか使い魔を手に入れてしまった。
しかもまだ完全体じゃないと来た。
・・・なんだか、ワクワクしてきたなぁ。
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