数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

文字の大きさ
32 / 65
第三章『地下ダンジョンと禁忌の実験』

五話『ダンジョン突入』

しおりを挟む
しばらく寮門に先輩を見かけないと思ったが、どうやら寝込んでしまっているらしい。
どうしたんだろう・・・体弱いのかな。
これでつくもに触れなくなるリスクが減った。
触れられないと・・・比喩なく死ねる自信がある。
僕は最近至福というものを見つけたのだ。
ベット上でつくもを枕にして寝て、お腹の上にレヴィを乗せる。
もしくは、レヴィのとぐろに緩く座って小さくなった狐のつくもをお腹に乗せる。
これが最高なのだ・・・
交互にやると死ぬほど幸せだった。

「・・・幸せだ・・・これでフールが居ればなぁ・・・」

『心中お察しします』

「悲しい訳じゃないけどさぁ・・・」

どっちかって言うと幸せだ。
この温もり・・・
雨の日に寄り添って寝ていたのを思い出す。
とても安心するんだ・・・あれは。

「そういえば、そろそろダンジョン解放日だよね?」

「あぁ、その事なんだが。ついさっき副会長とやらが尋ねて来てな。貴様は寝ていたから私が対応したのだが、貴様には特別に最下層へ直接降りる許可が出たそうだ」

「・・・ふーん。多分、生徒会長がその情報を片手に約束こじつけようとしてたのかな」

『そのような所でしょう。あの臭い人間はお父様に近付く権利すらありません。本来ならその御姿を拝見することさえ・・・』

「はいはい。でもまぁ、なら明日にでも行ってみようか?」

僕は研究室も持ってないし、勉強も図書館である程度した。
文字の読み書きはできるし、1年の内容はほぼ完璧と言って相違ないだろう。
ここ暫くは修行がてらレヴィの適切な魔力量を調整してたからなぁ。
最終的には僕の魔力の半分を上げた。
・・・まぁ成長で元より増えたんだけどね。
それでも少し倦怠感はある。

「・・・体、動かしたいよね」

『そうですね・・・私がお父様の御身体を御守り致します』

「私がサポートか。あまり手は出さないからな」

「うん。レヴィも気持ちは嬉しいけど、これは僕の修行だから。どっちかって言うと魔具の見落としがないか一緒に探してね」

『かしこまりました』

そうして明日の準備を果たし、僕らは床に付いた。

翌日、朝早くに副会長が訪れた。
最初はつくもが対応していたが、僕を出せとうるさいらしい。
・・・もう少し寝たかったなぁ。
意外と朝に弱いレヴィを寝かせ、僕はつくもの側へ寄る。

「・・・貴様、なんだその体たらくは。男としての恥を──」
「で、何の用ですか?」

「我が主よ。どうやら迎えのようだぞ」

・・・?迎え・・・?
え、地下ダンジョンの?

「え?一緒に行かなきゃなんですか?」

「その通りだ。昨日は伝え忘れたが、迎えに行けばいいと結論づけた」

・・・・・・この人、アホだ。
前に生徒会長が『脳筋が』と言っていたのを思い出す。
そのまんまの意味なのか・・・

「はぁ・・・分かりましたよ・・・少し待っててください」

「私に男の部屋に入れ──」
「部屋には入れません」

口を紡ぐ副会長。
ほんとに面倒な人だな・・・

§ 

目の前にある大きな扉。
金の縁に彩られ、そして真ん中には扉と同じく巨大な魔法陣が描けれている。
僕らが到着すると、学園長が扉に手をかざし、魔力を流した。 
・・・たしかに常人じゃ無理な量ではあるが、僕からすれば全く問題のないものだ。 

『この程度の扉ならば食べれますね』

「食べないでね」

『承知致しました』

僕らはそう軽口を叩き合い、開いた扉の少し奥に見える塔に近付いた。
・・・なるほど、これで下まで行くのか。
魔力を流して最後に行った階層まで飛ぶ感じかな。
だから同伴なのかな?

「本来ならば会長が赴く筈だったが、今日は少し体調が優れないようでな」

副会長がレヴィを見ながら言う。
というか、副会長だけじゃなく、周りの殆どの人間はレヴィを見ている。
・・・まぁ蛇だし、見方によっては僕が襲われてるように見えるのかも? 
じゃあ助けようとしてよ・・・

「・・・じゃあお願いします」

「うむ。柱に手をつけろ」

瞬間、副会長が魔力を流すのがわかった。
視界が一瞬白く染まり、収まるとそこは。
宮殿のような場所だった。

「・・・・・・入り口とは随分と雰囲気が違うようだ」

「そうだね」

扉が開いた所は洞窟のような場所だった。
だがここは、そんなことを感じさせるような雰囲気はない。
むしろ、陽の光が──

「空がある・・・?」

『お父様、これは空間魔法の1種です。外の時間と連動し、外の天気を再現します。ダンジョンのコアにもよりますが、ここは相当レベルが高いようですね』

レヴィがそう言うならそうなのだろう。
そもそも最下層が見つかってないダンジョンだ。
それはもちろん、魔物が強くて先へ進めないことも関係している。
・・・まぁ、そうだな。
とりあえず・・・

「副会長・・・どこ?」

行方不明者を探そうか。

§

奥には進まず、ホールのようなこの場所を見渡すが、やはり副会長は見えない。
そこで僕ら・・・というか、僕はいくつかの仮説を立てた。
1つは、そもそも、僕らだけを送るつもりだったというもの。
あれは僕の知識にもレヴィの知識にもなかったから、どんな効果があるのからわからないけど、生徒会の先輩だし、もしかしたら出来てもおかしくない。
2つめは、別々の階層への転移。
まぁ別におかしなことじゃない。
元々僕はこのダンジョンに入ったことなんてない。
けど、イレギュラーであることには変わりはないだろう。
生徒会側がこのリスクを理解してない訳が無い。
だからこそ。

「・・・まぁいいや」

「うむ。問題はあるまい」

『私達であればこの階層レベルなら問題ないでしょう』

「だね」

未だにモンスターが現れないのが不思議だが、もしかしたらセーフゾーンなのかもしれない。
それならこの装飾にも頷ける。
ぴくりと、レヴィが反応した。

『・・・そんな・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・同胞の気配・・・?』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...