数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

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第四章『過去と試練』

第十三話『それは約束された約束』

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「恐らくここが・・・セーフゾーンかな・・・」

「ふぃ~・・・やっと来れたか~・・・」

そこは、大理石の間。
床は大理石。
椅子も大理石。
壁も大理石。
天井も大理石。
光はやはりないが、ベットや水道?がある。
不思議な空間だ。
ここだけ、空気が違う。

「さて、みんな少し休憩をしよう。イヴは悪いけど、マッピングのやつ、見せてくれる?」

「了解しました』

僕とフールはベットで横になり、ソファには命が寝ている。
イヴはもう一つのマップを見て何か考えているようだ。
とりあえず、今わかること。
それを整理しよう。

「僕らが今居るセーフゾーンは、一応東端にある。これ以上東があるかはわからないけと、恐らくそうだ。ゴールは北にあると見れば、西端にもセーフゾーンがあるだろう。中央はモンスターの寝床かな」

「なるほどねー。なら後1回で行かないとやばいかも?」

「いや、そうでも無い。ここを拠点に、しばらくはモンスターを減らす・・・ってのも悪くない」

幸い、ここじゃあから。
水があればいいしね。
まぁ、喉も乾かないわけなんだけども。
気分的に水は欲しいよね。
とはいえ、体力は有限、魔力も有限だ。
減らすとしたら2体が限度だろう。
それも、すごく上手く一体を討伐して、だ。
僕としては・・・やりたくない。

「いや、やっぱりやめよう。そうだなぁ。これまでのルートからマップの予想立ててみようかな」

「そんなこと出来るの?」

「うーん。イヴが居ないと無理かな。アレを書いたのもイヴだしね」

「そっかぁ。頑張って!」

「うん」

僕はベットから起き上がり、寝転がるフールを置いてイヴの元へ向かう。
大理石のテーブルに、彼女は座っていた。
・・・恐らく、言わなくてもマップの予想を立てているのだろう。
優秀だなぁ。

「イヴ、今のうちにマップの予想図書きたいんだ」

「かしこまりました』

イヴの書いた迷路の図は、一本道ではなかった。
運良くここまで1本道で来ていたはずだけなんだけど・・・
とはいえ、この図の道は僕でもある程度合っていると分かる。
何回左右どちらに曲がったか。
そういうのさえ覚えていれば、なんとなくわかる。
右手法とかいう、右から行けばなんとかなるみたいな方法もあるが、そもそもあれはダンジョンだと意味をなさない。
姿形が変わるダンジョンだってあるからだ。
幸い、ここは動くダンジョンではない。
というのも、動くダンジョンには共通点がある。
それは、音だ。
常に動き続けるダンジョンと、たまに動くダンジョンがあるのだが、それでも大体5分おきに大きなものを引きずる音がするものだ。
約2時間か。
ここまで長く音がしないなら、動かない。
迷路だし、動いたらもう無理なんだけども。
ただ。
おかしいのは、この難易度。
偶然とはいえ、相当なスピードだろう。
簡単すぎる・・・そう思わざるを得ない。

モンスターが同時に現れた最大数は、4。
つまり、どこかで道が交差してる筈なんだ。
でないと、あんな風にはならない。
4体とも顔を合わせた後に、回れ右で戻って行ったのだから。
だけど、このマップにはそんなものは無い。
これは多分、イヴが奥まで見に行ってないからだろう。
イヴも暗視の魔法は要らないから、きっと僕らよりも奥を見れてると思う。
だからこそのこのマップなのだろう。
・・・?じゃあ、これは。
の、完成度は?
もはやこれは、性能という、言い訳が出来ない。
・・・まぁ、今はいいか。

「ありがとう、イヴも少しは休んでね」

「かしこまりました』

命はまだ眠っているようだ。
少し気を張らせ過ぎたかな・・・
僕はまだ不甲斐ないからね。
主人と呼ばれるのに、相応しくなりたいな。
・・・友達でも、居たいけど?
まぁいいや。

「あれ?もう終わったの?」

「うん」

「そっか!おかえりー」

「ただいま」

僕はフールの横に寝転がり、向き合った。
僕と同じ・・・目も、身長も同じ。
体重はフールの方が軽いかな?
じっと、顔を見つめた。
・・・綺麗な顔だ。
傷一つない。
僕のために、ここまで来てくれた。
3年も暮らしていた国を捨てて。
仲間を捨てて。
僕のためだけに、駆け付けてくれた。
僕にはそれだけで・・・十分なのに。
彼女は僕を支えてくれる。
この笑顔で。
この温かさで。
・・・この愛で。

「大丈夫?怖い顔してるよ?」

「・・・そう?緊張してるのかな・・・」

フールに言われ、僕は仰向けになって顔を揉む。
・・・緊張、か。
どちらかと言うと、不安かな。
僕が命を預かっているっていう、不安。
別にリーダーのつもりでは無い・・・とは言えない。
僕が仕切ってるし、僕が指示してるし、僕が導いてる。
そういう自覚は、ある。
だからこそ、僕は円滑に、円満に、素早く行動指示しないといけない。
・・・つくづく。
僕は上には向いてないよ。

「少し眠ったら?私も眠るから」

いつの間にか、というか、こちらで最初に会ってから変わっていた一人称。
だけど僕には、そっちの方が。
彼女らしくて、好きだった。

「うん。おやすみ」

「おやすみ」

§

ぁああああ!!
なんて可愛い顔なの!
もぉもぉもぉ!
私をキュン死させる気なの!?

「──すぅぅぅぅう・・・はぁああぁぁあ・・・」

邪魔者は居ないし・・・2人っきり・・・
思いっきり抱きついて匂い嗅いでも誰にもバレないし・・・
最っ高・・・!
もう一生ここで生きててもいいや・・・
いやいや。
ここはもしかしたら時間が止まってるかもだから。
一生っていうか永遠だ。
最高じゃん!?
私の最終目標がアダムと離れない事だから・・・
・・・でも、ここから出ても、きっと離れずに済むよね。
もうあっちには帰らなくていいし。
私を拘束しようとか・・・
寝言は寝て言えってね。

「ん・・・フール・・・これ・・・美味しいね・・・」

「──!!!!????」

あーもう!
これだからアダムは!
可愛いしかっこいいし!
ダメだ。好きが抑えられない。
今までは寝てる時にこっそりキスしてたけど・・・
これからは堂々しちゃおうかな・・・?
銀ちゃんとかつくもちゃんとか、レヴィちゃんとかイヴちゃんとかもいるし。
正妻は譲れない!
・・・まぁ、でも。
アダムは最後には、私を選んでくれるかな。
・・・なんて、ね?

§

広い闇だ。
そこには何も無いし、何も存在しない。
いや、そこには『僕』がいた。
僕はそこに居るし、僕はここにいる。
僕はきっと、この闇そのものなんだろう。

『そろそろ・・・歩きたいな』

歩き続けて幾億年。
されど地面を歩いたことは無い。
そうして、僕は想像した。

『歩く場所』を。

そしてそれは、叶った。
大地を生み出したのだ。
大地の名は『ガイア』。
何も無い不毛の地だが。
僕にとってこれは、歓喜に値するものだった。
ようやく。
僕以外の『概念』が現れたのだから。

そしてまた、数億の年月が経ち、大地が生まれ、大空が生まれ、光が生まれ、大海が生まれ、自然が生まれ、生き物が生まれ、人間が生まれ、冥界が生まれ、何もかもが生まれた。
『神』や『悪魔』や『魔物』や『人間』など。
様々な物を想像して、創造した。
それらは僕を『混沌カオス』と呼んだ。
僕はその名前が、あんまり好きじゃなかった。
だから、名前を変えたくて、存在を変えたくて。
新たな『転生』を想像した。
魂の質に応じて、転生する期間が伸びてしまうけど、ちゃんと記憶も消えるし、存在は完全に変化する。
そして、それを発生させるために。
『転生の心臓』を作り出した。
僕はそれを、僕の仲間に預けた。
それらは『虚無の使者』と言われていたけど。
彼らは、僕の友達。
僕の、家族なんだ。
だから、彼らにそれを預けた。
そしてそれは、僕に『感情』を教えてくれた人が、取り込んだ。
彼女の名は、フール。
僕が唯一、愛した女性。
僕に感情を与えてくれた女性。

彼女は僕を見捨てないと言った。
彼女は僕を守ると言った。
彼女は僕を愛してると言った。

だから、僕も。
僕も転生の心臓それを、取り込んだ。
僕らの運命は常に混ざり合い、常に同じ道を歩み、常に隣に息吹を感じる。
そういう、呪いだ。

「さぁ眠ろう」
「さぁ逝こう」
「目が覚めればきっと」
「目が覚めたらきっと」

は必ず、君を見つけるから」
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