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世界動乱への一歩
レベル12
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「とまぁ、決意を固めた訳なんで・・・まずはどこから行こうか?」
「兄者、ここは無難にニーアスユエア大陸からが良いかと」
ま、それもそうか。
そこから色んな国に伸びるんだもんな。
事前情報はほとんど皆無。
当然だ。
およその位置と名称だけしか伝わっていないのだ。
もし辿り着いたとして、『固有種』に生かされるかどうかはそいつ次第。
まぁ、俺だったら圧倒できる自信あるがな。
だが、魔王達に話を聞いた所、期待以上の情報を得ることが出来た。
それが、以下の物語だ。
☆☆☆
とある所に、その英雄が居たり。
英雄は7人、『誠実』『親切』『不屈』『勇気』『忍耐』『正義』『決意』。
かの7大英雄にちなんで付けられた二つ名は、その者に吸収されるように馴染んだ。
英雄は自らの名を捨て、二つ名を『真名』として生きる事を決意した。
ある日、別々の大陸に住む英雄達の目の前に、『邪神』が現れた。
『邪神』は言った。
『我無限に生きる者。我が主君を見つけ出すまで──』
──世界を凍らせてやろう。
かくして、大陸の一つは氷に覆われた。
分厚く、硬く、綺麗な氷。
大陸の名は・・・
☆☆☆
「・・・ヒリュアスティ・・・」
天空大陸、不倒のヒリュアスティだ。
現在、厚さ10cmの『魔道氷』と呼ばれる氷に覆われ、まさに『氷の大陸』状態。
「・・・うーん、絶対アイツだよなぁ・・・」
つーか、邪神って・・・
まぁ、性格と性根は邪神のそれだけど・・・
「お兄様、テルミーアちゃんを迎えに行くのですか?」
テルミーア。
ゲームでの設定ではサテラの実妹で、めちゃくちゃ仲良し。
3回目のガチャアップデートでサテラとエルドラド同様の超激レアとして登場し、俺は1発で当てた。
つまり、運命!
なんて、ポジティブに考えることも出来るが、実際の性格は『ヤンデレ』もしくは『超ヤンデレ』で、俺は運悪く『超ヤンデレ』のテルミーアに当たってしまった。
いや、容姿は物凄く可愛いし、猫なで声もとても耳心地がいい。
だから、ある意味当たりなんだが・・・
「・・・ま、殺して私の物に系じゃなくて、私を認めて系のヤンデレだから・・・つっても、俺は関係なく大好きだがな」
「カッカッカッ!あやつは相当な兄様ラブじゃからのぅ・・・」
ありがたいやら・・・ありがたやー。
「さて、じゃあまずは、天空大陸の場所と行き方を調べるか」
「そうですね。私達も行ったことありませんし・・・そもそも、この世界に他の大陸がある事を知りませんでした」
「そうじゃのう・・・この大陸がデカすぎるんじゃ」
なるほど、確かに、今俺達が居るのは大陸の離島の一つ。
『大陸』一つだけじゃないのだから、そう思っても無理はない。
「まぁ、1つの大陸で地球一個分ありそうだよなぁ・・・」
「実際、少し小さい程度ですが・・・」
まじかよ・・・どんだけ・・・
まぁあんなゲーム作る神だしなぁ・・・あいつが創造神なのかどうかは知らんが・・・
「・・・ま、取り敢えず情報収集かねぇ・・・」
「といっても、資料漁りですが・・・」
まぁ、それだよなぁ・・・
☆☆☆
体が冷たいのは、死んでいる証拠。
体が凍っているのは、生き返る証拠。
・・・・・・♪
誰が聞いても、鼻歌だと答える音。
そして、氷が削れる独特な音。
・・・♪・・・・・・♪
手元にある素材は苦悩に歪んだ顔のエルフ。
久々の良質素材に機嫌を更に良くした少女は、エルフの胸の辺りにメスを入れる。
「ふふ、思った通り、綺麗な心臓ね♪」
手に持たれているのは、凍っているが故にピクリとも動かない切り取られた心臓。
血液は一切流れておらず、周囲の床や机なども汚れてはいない。
「・・・さて、これで40個目・・・お兄様はこれで満足してくれるかしら・・・?」
少女には分かっていた。
こんな事をしなくても、どんなに小さい事でも、望は全力で喜んでくれると。
私は認められるだけじゃなくて、愛されてすらいるのだと。
「・・・あぁ・・・お兄様・・・早く・・・お会いしたいです・・・」
この世界でも、また、認めて貰えなかった。
だから、私達兄妹以外は必要ない。
・・・・・・♪
鼻歌は響き続ける。
その、凍った洞窟に。
時が止まった、世界に。
☆☆☆
「周期?」
「はい。5年に1度、魔王城の上空を通過するようで、丁度1ヶ月後に現れるそうです」
やっぱり、動くんだな・・・
魔王城に居座り続けて四日目。
食料の提供と、虐殺の禁止を条件に泊めて貰ってるが・・・
後1ヶ月・・・ちょっとキツイなぁ・・・
「・・・寝過ごすのも嫌だし・・・」
「軌道を予測致しますか?」
え?サテラってそんなこと出来るの?
俺の顔から読み取ったのだろう。
コクリと頷くと、1週間は掛かるとのこと。
「うーん・・・よし、じゃあそうしてくれ。見つかったらすぐに向かうとしよう」
「かしこまりました」
俺の妹達は皆優秀だな。
元CPUなんだから当たり前だが、もしかしたら建国してる奴も居たりして・・・?
なんて、ありえないか・・・
「・・・そんな事してたら、一発殴らねぇとな」
「あ、兄者?怖い顔ですよ?」
・・・・・・ま、そんな事ある訳ねぇか。
「兄者、ここは無難にニーアスユエア大陸からが良いかと」
ま、それもそうか。
そこから色んな国に伸びるんだもんな。
事前情報はほとんど皆無。
当然だ。
およその位置と名称だけしか伝わっていないのだ。
もし辿り着いたとして、『固有種』に生かされるかどうかはそいつ次第。
まぁ、俺だったら圧倒できる自信あるがな。
だが、魔王達に話を聞いた所、期待以上の情報を得ることが出来た。
それが、以下の物語だ。
☆☆☆
とある所に、その英雄が居たり。
英雄は7人、『誠実』『親切』『不屈』『勇気』『忍耐』『正義』『決意』。
かの7大英雄にちなんで付けられた二つ名は、その者に吸収されるように馴染んだ。
英雄は自らの名を捨て、二つ名を『真名』として生きる事を決意した。
ある日、別々の大陸に住む英雄達の目の前に、『邪神』が現れた。
『邪神』は言った。
『我無限に生きる者。我が主君を見つけ出すまで──』
──世界を凍らせてやろう。
かくして、大陸の一つは氷に覆われた。
分厚く、硬く、綺麗な氷。
大陸の名は・・・
☆☆☆
「・・・ヒリュアスティ・・・」
天空大陸、不倒のヒリュアスティだ。
現在、厚さ10cmの『魔道氷』と呼ばれる氷に覆われ、まさに『氷の大陸』状態。
「・・・うーん、絶対アイツだよなぁ・・・」
つーか、邪神って・・・
まぁ、性格と性根は邪神のそれだけど・・・
「お兄様、テルミーアちゃんを迎えに行くのですか?」
テルミーア。
ゲームでの設定ではサテラの実妹で、めちゃくちゃ仲良し。
3回目のガチャアップデートでサテラとエルドラド同様の超激レアとして登場し、俺は1発で当てた。
つまり、運命!
なんて、ポジティブに考えることも出来るが、実際の性格は『ヤンデレ』もしくは『超ヤンデレ』で、俺は運悪く『超ヤンデレ』のテルミーアに当たってしまった。
いや、容姿は物凄く可愛いし、猫なで声もとても耳心地がいい。
だから、ある意味当たりなんだが・・・
「・・・ま、殺して私の物に系じゃなくて、私を認めて系のヤンデレだから・・・つっても、俺は関係なく大好きだがな」
「カッカッカッ!あやつは相当な兄様ラブじゃからのぅ・・・」
ありがたいやら・・・ありがたやー。
「さて、じゃあまずは、天空大陸の場所と行き方を調べるか」
「そうですね。私達も行ったことありませんし・・・そもそも、この世界に他の大陸がある事を知りませんでした」
「そうじゃのう・・・この大陸がデカすぎるんじゃ」
なるほど、確かに、今俺達が居るのは大陸の離島の一つ。
『大陸』一つだけじゃないのだから、そう思っても無理はない。
「まぁ、1つの大陸で地球一個分ありそうだよなぁ・・・」
「実際、少し小さい程度ですが・・・」
まじかよ・・・どんだけ・・・
まぁあんなゲーム作る神だしなぁ・・・あいつが創造神なのかどうかは知らんが・・・
「・・・ま、取り敢えず情報収集かねぇ・・・」
「といっても、資料漁りですが・・・」
まぁ、それだよなぁ・・・
☆☆☆
体が冷たいのは、死んでいる証拠。
体が凍っているのは、生き返る証拠。
・・・・・・♪
誰が聞いても、鼻歌だと答える音。
そして、氷が削れる独特な音。
・・・♪・・・・・・♪
手元にある素材は苦悩に歪んだ顔のエルフ。
久々の良質素材に機嫌を更に良くした少女は、エルフの胸の辺りにメスを入れる。
「ふふ、思った通り、綺麗な心臓ね♪」
手に持たれているのは、凍っているが故にピクリとも動かない切り取られた心臓。
血液は一切流れておらず、周囲の床や机なども汚れてはいない。
「・・・さて、これで40個目・・・お兄様はこれで満足してくれるかしら・・・?」
少女には分かっていた。
こんな事をしなくても、どんなに小さい事でも、望は全力で喜んでくれると。
私は認められるだけじゃなくて、愛されてすらいるのだと。
「・・・あぁ・・・お兄様・・・早く・・・お会いしたいです・・・」
この世界でも、また、認めて貰えなかった。
だから、私達兄妹以外は必要ない。
・・・・・・♪
鼻歌は響き続ける。
その、凍った洞窟に。
時が止まった、世界に。
☆☆☆
「周期?」
「はい。5年に1度、魔王城の上空を通過するようで、丁度1ヶ月後に現れるそうです」
やっぱり、動くんだな・・・
魔王城に居座り続けて四日目。
食料の提供と、虐殺の禁止を条件に泊めて貰ってるが・・・
後1ヶ月・・・ちょっとキツイなぁ・・・
「・・・寝過ごすのも嫌だし・・・」
「軌道を予測致しますか?」
え?サテラってそんなこと出来るの?
俺の顔から読み取ったのだろう。
コクリと頷くと、1週間は掛かるとのこと。
「うーん・・・よし、じゃあそうしてくれ。見つかったらすぐに向かうとしよう」
「かしこまりました」
俺の妹達は皆優秀だな。
元CPUなんだから当たり前だが、もしかしたら建国してる奴も居たりして・・・?
なんて、ありえないか・・・
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