14 / 16
世界動乱への一歩
レベル14
しおりを挟む
転移門を開き、俺達はそこへ辿り着いた。
「・・・おいおい、マジかよ・・・」
確かに大陸が全て凍ってるとは言っていたが・・・
確かにこの魔力氷では俺以外は展開できねぇな。
「──そっちか」
鼻歌が、聞こえてきた。
氷の中を反響し、この大陸全てに響いているようだ。
常人離れした聴覚でそれを聞き、そちらへ歩く。
テルミーアは恐らく、絶望しているのだ。
彼女は誰にも認められない、信じてもらえない、必要とされない、『可哀想』な存在なのだ。
だから、早く。
早く、抱きしめてやらねば。
「兄様や。誰かおるぞ」
「なに?」
エルドラドの指す方を見る。
するとそこには、不思議な雰囲気の人間?が。
ローブを深く被り、顔が見えない。
角がないから人間だとは思うが・・・
そんな事を考えている間に、転移したのかフッと消える人型。
「お兄様、追跡致しますか?」
「いや、何もしなくていい」
とにかく、今はテルミーアだ。
先を急ごう。
☆☆☆
暫く進んていると、氷の城が現れた。
入り口は開け放たれており、中からは先程の鼻歌が聞こえてくる。
「・・・♪・・・♪」
「・・・これは、テルミーアちゃん相当絶望してますね・・・」
そう、サテラが言う。
この鼻歌は、俺が彼女に教えた『感情の歌』というものだ。
感情を表現することが苦手な彼女のために、俺が贈った物だ。
これは、絶望の歌。
よく響くのが特徴の、悲しみとは別の歌だ。
「──テルミーアッ!!」
大声で、その名を呼ぶ。
俺達の中で1番繊細で、1番愛らしくて、1番可哀想で、1番寂しがり屋な・・・
そんな妹の、名を。
「──はいっ!お兄様っ!」
バンッ!と音を立てて、2階から扉を開けてこちらへ飛び込んでくる少女。
人形のように整った顔。
空色の髪は長く、しかしとても綺麗に揃えられ、その赤紫色の瞳は涙を湛えてこちらを見つめている。
「お兄様ー!!」
「テルー!!」
愛称で呼ぶと、今度こそ大粒の涙を流しながらこちらに飛び込んで来る少女。
それを優しく、衝撃を完全に殺しながら受け止める。
ぎゅっと、首に手を回して抱き締められる。
負けじと腰の辺りに腕を回し、ぎゅっと抱き締める。
その弱さを守るように。
その隙間を埋めるように。
「悪かった・・・待たせたな」
「はい・・・!待って・・・ました・・・!」
嗚咽を零しながら、涙を拭う事も忘れ、テルミーアは泣き続けた。
その数千年の寂しさを埋めるために。
その虚無を埋め尽くす為に。
☆☆☆
「なるほどな。お前は三千年位前にここに来て、そんで俺を探したが居なかったからそれまでこうして待ってたと」
「はい!沢山の種族の心臓を集めてました!お兄様に捧げる為に!」
その言動所作こそお嬢様然としたものだが、その本性自体は酷く残忍で冷酷なものだ。
俺や姉妹以外には、だが。
こんなに笑顔で表情豊かなテルーだが、残念ながらその設定上少し・・・というかかなり繊細で、少し嫌な事があるとすぐに病んでしまう。
が、その対策として俺がいる。
というか、これもまた設定だが、主人が何ものにも勝る精神安定剤になるのだ。
「おいで」
「はいっ!」
ニコニコと、それこそ犬のように擦り寄るテルー。
腰の辺りを持ち、肩に乗せる。
肩車だ。
テルーはこれをよく好み、何故かと問うと、
『お兄様と同じ目線に立てるから』
というなんとも可愛らしい理由が返ってくる。
「お兄様お兄様!」
「なんだ?」
「あちらへいらして下さいな!」
そう言われ、指された方に目を向ける。
入り口から左手奥にある両開きの扉だ。
あぁ、はーと?収集部屋か。
俺のテルーは収集癖がある。
それは例えば、ドロップ品だったり。
バトルにこいつを連れて行くだけで、何回かに1回レアドロップがインベントリに入っている。
それは、愛の証。
どのレアドロップでも名称が『愛骸』と称されることから、一部のプレイヤーからは『愛テム』などと呼ばれることもある。
「ほうほう、こっちか?」
「はい!そちらです!」
ルンルンと聞こえるような雰囲気で体を揺らすテルー。
ちなみに、エルドラドとサテラとカルマは空気を読んで外で待っている。
優しい奴らだ。
「お兄様、降ろしてもらってよろしいですか?」
「ん?おう」
優しくその場に降ろす。
すると、トテトテと扉まで歩き、その両手で扉を開けた。
瞬間、物凄い冷気が俺を襲う。
魔力氷の動力源はテルーの魔力ではあるが、その実消費するMPは実は発動時のみで、しかもそのコストは10というなんとも安いものだ。
まぁその代わり、使用中は魔力氷が使えないんだけど。
「ほら!見て下さいな!」
そうして、見せられたモノ。
それは──
──out作者──
どうも皆さん!お久しぶりですねー!
一応言い訳として言わせてもらうと『受験』と『バイト』と『勉強』という具合で!
まぁつまり、スマホの没収ですね( ´∀`)ハハハ
またゆっくりと書かせて頂きますので、気が向いたら読んで下さい!
ちなみに、サテラとテルミーアの口調の違い、きちんと似せてみたんです。
サテラはガッチガチ、テルミーアは少し緩め。
と言った感じです!
かなり久々に書いたので違和感あるかもしれないですし、誤字脱字があれば仰ってください!
では!これからもどうぞよろしく!!
最強願望者でした!
「・・・おいおい、マジかよ・・・」
確かに大陸が全て凍ってるとは言っていたが・・・
確かにこの魔力氷では俺以外は展開できねぇな。
「──そっちか」
鼻歌が、聞こえてきた。
氷の中を反響し、この大陸全てに響いているようだ。
常人離れした聴覚でそれを聞き、そちらへ歩く。
テルミーアは恐らく、絶望しているのだ。
彼女は誰にも認められない、信じてもらえない、必要とされない、『可哀想』な存在なのだ。
だから、早く。
早く、抱きしめてやらねば。
「兄様や。誰かおるぞ」
「なに?」
エルドラドの指す方を見る。
するとそこには、不思議な雰囲気の人間?が。
ローブを深く被り、顔が見えない。
角がないから人間だとは思うが・・・
そんな事を考えている間に、転移したのかフッと消える人型。
「お兄様、追跡致しますか?」
「いや、何もしなくていい」
とにかく、今はテルミーアだ。
先を急ごう。
☆☆☆
暫く進んていると、氷の城が現れた。
入り口は開け放たれており、中からは先程の鼻歌が聞こえてくる。
「・・・♪・・・♪」
「・・・これは、テルミーアちゃん相当絶望してますね・・・」
そう、サテラが言う。
この鼻歌は、俺が彼女に教えた『感情の歌』というものだ。
感情を表現することが苦手な彼女のために、俺が贈った物だ。
これは、絶望の歌。
よく響くのが特徴の、悲しみとは別の歌だ。
「──テルミーアッ!!」
大声で、その名を呼ぶ。
俺達の中で1番繊細で、1番愛らしくて、1番可哀想で、1番寂しがり屋な・・・
そんな妹の、名を。
「──はいっ!お兄様っ!」
バンッ!と音を立てて、2階から扉を開けてこちらへ飛び込んでくる少女。
人形のように整った顔。
空色の髪は長く、しかしとても綺麗に揃えられ、その赤紫色の瞳は涙を湛えてこちらを見つめている。
「お兄様ー!!」
「テルー!!」
愛称で呼ぶと、今度こそ大粒の涙を流しながらこちらに飛び込んで来る少女。
それを優しく、衝撃を完全に殺しながら受け止める。
ぎゅっと、首に手を回して抱き締められる。
負けじと腰の辺りに腕を回し、ぎゅっと抱き締める。
その弱さを守るように。
その隙間を埋めるように。
「悪かった・・・待たせたな」
「はい・・・!待って・・・ました・・・!」
嗚咽を零しながら、涙を拭う事も忘れ、テルミーアは泣き続けた。
その数千年の寂しさを埋めるために。
その虚無を埋め尽くす為に。
☆☆☆
「なるほどな。お前は三千年位前にここに来て、そんで俺を探したが居なかったからそれまでこうして待ってたと」
「はい!沢山の種族の心臓を集めてました!お兄様に捧げる為に!」
その言動所作こそお嬢様然としたものだが、その本性自体は酷く残忍で冷酷なものだ。
俺や姉妹以外には、だが。
こんなに笑顔で表情豊かなテルーだが、残念ながらその設定上少し・・・というかかなり繊細で、少し嫌な事があるとすぐに病んでしまう。
が、その対策として俺がいる。
というか、これもまた設定だが、主人が何ものにも勝る精神安定剤になるのだ。
「おいで」
「はいっ!」
ニコニコと、それこそ犬のように擦り寄るテルー。
腰の辺りを持ち、肩に乗せる。
肩車だ。
テルーはこれをよく好み、何故かと問うと、
『お兄様と同じ目線に立てるから』
というなんとも可愛らしい理由が返ってくる。
「お兄様お兄様!」
「なんだ?」
「あちらへいらして下さいな!」
そう言われ、指された方に目を向ける。
入り口から左手奥にある両開きの扉だ。
あぁ、はーと?収集部屋か。
俺のテルーは収集癖がある。
それは例えば、ドロップ品だったり。
バトルにこいつを連れて行くだけで、何回かに1回レアドロップがインベントリに入っている。
それは、愛の証。
どのレアドロップでも名称が『愛骸』と称されることから、一部のプレイヤーからは『愛テム』などと呼ばれることもある。
「ほうほう、こっちか?」
「はい!そちらです!」
ルンルンと聞こえるような雰囲気で体を揺らすテルー。
ちなみに、エルドラドとサテラとカルマは空気を読んで外で待っている。
優しい奴らだ。
「お兄様、降ろしてもらってよろしいですか?」
「ん?おう」
優しくその場に降ろす。
すると、トテトテと扉まで歩き、その両手で扉を開けた。
瞬間、物凄い冷気が俺を襲う。
魔力氷の動力源はテルーの魔力ではあるが、その実消費するMPは実は発動時のみで、しかもそのコストは10というなんとも安いものだ。
まぁその代わり、使用中は魔力氷が使えないんだけど。
「ほら!見て下さいな!」
そうして、見せられたモノ。
それは──
──out作者──
どうも皆さん!お久しぶりですねー!
一応言い訳として言わせてもらうと『受験』と『バイト』と『勉強』という具合で!
まぁつまり、スマホの没収ですね( ´∀`)ハハハ
またゆっくりと書かせて頂きますので、気が向いたら読んで下さい!
ちなみに、サテラとテルミーアの口調の違い、きちんと似せてみたんです。
サテラはガッチガチ、テルミーアは少し緩め。
と言った感じです!
かなり久々に書いたので違和感あるかもしれないですし、誤字脱字があれば仰ってください!
では!これからもどうぞよろしく!!
最強願望者でした!
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる