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新たな世界の物語
1-1『目覚めの時』
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──『彼』が眠りについてから20億年後、世界には『人類』が誕生した。
その10億年後『文明』が大きく進歩し、増えた人類によって『機械の島』が認知された。
更に10億年後、世界は魔法と魔物で満ち溢れた。
人類は長年により住み良くなった世界を開拓、保護を繰り返し、自然との共存戦争の、準備を完了した。
そして、彼が眠りについてから『50億年後』。
世界は静かに恐怖していた。
己の才能に飲まれて自惚れていた『国王』や、世界に絶望し破壊を望む『魔王』、安寧と平穏を望む『妖精王』、娯楽と戦闘を好む『竜王』が。
一様に空を見上げ、機械の島を見る。
誰もが知っている、『封印されし神』の事を。
魔法が発展した世界では島に入る事は容易く、そして城の前の『封印結晶』を見るのだ。
初めてそれ発見したのは、竜王であった。
自らの力でも破壊出来ない浮かぶ島。
強い興味を惹かれた竜王はそこへ向かって飛び、己の身で感じたのだ。
そこに眠る男が、世界の創造主に匹敵するほどの力を持つと。
世界の有名所は全てこの光景を見る。
真偽を確かめるためでなく、自らを戒めるために。
★★──★★
「・・・変化、だと?」
「は!魔法研究ギルドからの報告によると、機械の島に眠る『神』が寝返りを打っていたと」
なんとも馬鹿らしく聞こえる話だ。
全ての国の初代国王から受け継がれる話、機械の島に眠る神。
圧倒的な密度の結界結晶による封印と保護。
島に入り、それを拝むには一定以上の魔力が無いと死に至ると言われる島。
「・・・そうか、引き続き調査を頼んでくれ」
「かしこまりました!失礼致します!」
腰を折り、部屋を出る騎士。
国王は頭を抱える。
ただでさえ、魔王や隣国の傲慢国王をどうにかしなければならないのに、また下らない目覚める発言。
初めて予兆が現れたのは何百年も前、私の7世代前から言われ続けている事だ。
だから、各国の国王は安心していた。
自分の世代では起きないと。
★★──★★
世界に5つの魔王が治める国。
新参の魔王が2人に、古参の魔法が3人だ。
「・・・寝返り、か」
「それってさー、何百年も前から言われてるよねー?神が目覚める?それで何の問題があるのー?」
新参の魔王が馬鹿にしたように話す。
まだ誕生して数百年の若造だ。
齢1億を超えた3人の魔王は、冷や汗を流す。
その昔、まだ3人が若かった頃の話だ。
当時10人だった魔王候補は、魔王を継ぐ為には、機械の島で10日過ごす事が条件だと告げられた。
特別に10人で行く事を許可され、食料や飲料を持って島に来た5人は、魔力を常に吸われながらもなんとか過ごしていた。
そして、5日が過ぎた頃、結界を見に来た5人はそれを見て首を傾げる。
結界の中で上半身を起こし、ボーッとしている男が居たのだ。
男は立ち上がり、焦点の合わない目でこちらを捉えると、フラフラと歩み出した。
結界結晶で行く手を阻まれ、ぶつかる男。
そこで、10人は異変を感じる。
男が10人に向かって指を差した瞬間、前の方に居た5人の頭部が爆ぜたのだ。
その様子から寝惚けて居るのだと思った10人だったが、突然のライバルの死によって現実へ・・・いや、地獄へ引き戻される。
5人は叫び、逃げ出した。
背を向けて、無様に泣き叫びながら。
途中で2人の悲鳴が消えたが、それに気づく事無く走り続ける。
3人はすぐに現魔王の所へ行き、詳細を伝えた。
魔王がそこで見たのは、空中に浮かび、寝ている男。
そして、死体に群がる『何か』の群れ。
3人はただ震えたまま、現魔王を待ち続けた。
「とまぁ、そんな事があった訳」
「・・・先代魔王様は、どうなったのですか?」
3人が交互に話終わり、新参の魔王が恐る恐る聞く。
古参の魔王は悪名も残虐性も強さも言わずと知れている。
その3人が、最も恐れる者。
「帰って来たよ。腕と足を失くして」
「私達に継承の儀式をした後にすぐ死んじゃったけど」
先代魔王、3代目の魔王は初代を超える力に、過去最高の知力を持つと言われる最強の魔王達。
その魔王が、1人とは言え惨敗するなど・・・
「敵じゃない事を・・・願うしか無いかな・・・」
魔王会議、かつて無いほどに緊迫し、静かな会議となった。
★★──☆☆
そろそろか・・・『神』が目覚め、何かが起こるのも・・・
『──聞け、知性ありし生き物よ』
その声は、世界中あらゆる場所に聞こえるもの。
魔王が、賢者が、魔女が、悪魔が、魔王が、天使が、王が、その声を知っている。
『我が名はバハムート、約束の時は来た。3日後、各種族代表を機械の島にて集合とする。訪れない者には天罰が下ると思え』
それは、死刑宣告であり、休戦宣言であり、招集命令。
逆らう者は、裁きをもって竜王が殺害する。
『・・・いよいよ・・・』
竜王は羽ばたき、機械の島に向かう。
その目に、多大な尊敬を讃えて。
☆☆──★★
世界に竜王の言葉が響いて3日。
魔王5人に、人間の王が2人、獣王が2人に精霊王が1人、英雄と呼ばれる強者が3人。
そして、
『・・・集まったか』
白銀の竜。
全種族集まった事を確認し、人間の姿になる。
白く長い髪を降ろし、その金色の目を結晶へと向ける。
「・・・突然の収集、何事でしょうか」
獣王が声を掛ける。
竜王は世界最強の生物。
出生も力量も知られていない。
が、恐れられる存在であった。
『神が、目覚める』
目を向けるでも無く、結晶に目を向け続ける竜王。
誰一人として、結晶から目を離さない。
★★──★★
その日、世界は恐怖した。
ゴーン、ゴーン、ゴーン、と鐘が鳴る音が聞こえたのだ。
その音は、数時間なり続け、ふと止まった。
無意識に見上げる人々。
突然、鼓動が聞こえてくる。
ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・・
自分の腹の中から響くような音。
結晶の中から、響く音。
そして、集った者達は見た。
バリーン、と結晶が割れるのを。
そして、神の目が開かれるのを。
その10億年後『文明』が大きく進歩し、増えた人類によって『機械の島』が認知された。
更に10億年後、世界は魔法と魔物で満ち溢れた。
人類は長年により住み良くなった世界を開拓、保護を繰り返し、自然との共存戦争の、準備を完了した。
そして、彼が眠りについてから『50億年後』。
世界は静かに恐怖していた。
己の才能に飲まれて自惚れていた『国王』や、世界に絶望し破壊を望む『魔王』、安寧と平穏を望む『妖精王』、娯楽と戦闘を好む『竜王』が。
一様に空を見上げ、機械の島を見る。
誰もが知っている、『封印されし神』の事を。
魔法が発展した世界では島に入る事は容易く、そして城の前の『封印結晶』を見るのだ。
初めてそれ発見したのは、竜王であった。
自らの力でも破壊出来ない浮かぶ島。
強い興味を惹かれた竜王はそこへ向かって飛び、己の身で感じたのだ。
そこに眠る男が、世界の創造主に匹敵するほどの力を持つと。
世界の有名所は全てこの光景を見る。
真偽を確かめるためでなく、自らを戒めるために。
★★──★★
「・・・変化、だと?」
「は!魔法研究ギルドからの報告によると、機械の島に眠る『神』が寝返りを打っていたと」
なんとも馬鹿らしく聞こえる話だ。
全ての国の初代国王から受け継がれる話、機械の島に眠る神。
圧倒的な密度の結界結晶による封印と保護。
島に入り、それを拝むには一定以上の魔力が無いと死に至ると言われる島。
「・・・そうか、引き続き調査を頼んでくれ」
「かしこまりました!失礼致します!」
腰を折り、部屋を出る騎士。
国王は頭を抱える。
ただでさえ、魔王や隣国の傲慢国王をどうにかしなければならないのに、また下らない目覚める発言。
初めて予兆が現れたのは何百年も前、私の7世代前から言われ続けている事だ。
だから、各国の国王は安心していた。
自分の世代では起きないと。
★★──★★
世界に5つの魔王が治める国。
新参の魔王が2人に、古参の魔法が3人だ。
「・・・寝返り、か」
「それってさー、何百年も前から言われてるよねー?神が目覚める?それで何の問題があるのー?」
新参の魔王が馬鹿にしたように話す。
まだ誕生して数百年の若造だ。
齢1億を超えた3人の魔王は、冷や汗を流す。
その昔、まだ3人が若かった頃の話だ。
当時10人だった魔王候補は、魔王を継ぐ為には、機械の島で10日過ごす事が条件だと告げられた。
特別に10人で行く事を許可され、食料や飲料を持って島に来た5人は、魔力を常に吸われながらもなんとか過ごしていた。
そして、5日が過ぎた頃、結界を見に来た5人はそれを見て首を傾げる。
結界の中で上半身を起こし、ボーッとしている男が居たのだ。
男は立ち上がり、焦点の合わない目でこちらを捉えると、フラフラと歩み出した。
結界結晶で行く手を阻まれ、ぶつかる男。
そこで、10人は異変を感じる。
男が10人に向かって指を差した瞬間、前の方に居た5人の頭部が爆ぜたのだ。
その様子から寝惚けて居るのだと思った10人だったが、突然のライバルの死によって現実へ・・・いや、地獄へ引き戻される。
5人は叫び、逃げ出した。
背を向けて、無様に泣き叫びながら。
途中で2人の悲鳴が消えたが、それに気づく事無く走り続ける。
3人はすぐに現魔王の所へ行き、詳細を伝えた。
魔王がそこで見たのは、空中に浮かび、寝ている男。
そして、死体に群がる『何か』の群れ。
3人はただ震えたまま、現魔王を待ち続けた。
「とまぁ、そんな事があった訳」
「・・・先代魔王様は、どうなったのですか?」
3人が交互に話終わり、新参の魔王が恐る恐る聞く。
古参の魔王は悪名も残虐性も強さも言わずと知れている。
その3人が、最も恐れる者。
「帰って来たよ。腕と足を失くして」
「私達に継承の儀式をした後にすぐ死んじゃったけど」
先代魔王、3代目の魔王は初代を超える力に、過去最高の知力を持つと言われる最強の魔王達。
その魔王が、1人とは言え惨敗するなど・・・
「敵じゃない事を・・・願うしか無いかな・・・」
魔王会議、かつて無いほどに緊迫し、静かな会議となった。
★★──☆☆
そろそろか・・・『神』が目覚め、何かが起こるのも・・・
『──聞け、知性ありし生き物よ』
その声は、世界中あらゆる場所に聞こえるもの。
魔王が、賢者が、魔女が、悪魔が、魔王が、天使が、王が、その声を知っている。
『我が名はバハムート、約束の時は来た。3日後、各種族代表を機械の島にて集合とする。訪れない者には天罰が下ると思え』
それは、死刑宣告であり、休戦宣言であり、招集命令。
逆らう者は、裁きをもって竜王が殺害する。
『・・・いよいよ・・・』
竜王は羽ばたき、機械の島に向かう。
その目に、多大な尊敬を讃えて。
☆☆──★★
世界に竜王の言葉が響いて3日。
魔王5人に、人間の王が2人、獣王が2人に精霊王が1人、英雄と呼ばれる強者が3人。
そして、
『・・・集まったか』
白銀の竜。
全種族集まった事を確認し、人間の姿になる。
白く長い髪を降ろし、その金色の目を結晶へと向ける。
「・・・突然の収集、何事でしょうか」
獣王が声を掛ける。
竜王は世界最強の生物。
出生も力量も知られていない。
が、恐れられる存在であった。
『神が、目覚める』
目を向けるでも無く、結晶に目を向け続ける竜王。
誰一人として、結晶から目を離さない。
★★──★★
その日、世界は恐怖した。
ゴーン、ゴーン、ゴーン、と鐘が鳴る音が聞こえたのだ。
その音は、数時間なり続け、ふと止まった。
無意識に見上げる人々。
突然、鼓動が聞こえてくる。
ドクン・・・ドクン・・・ドクン・・・
自分の腹の中から響くような音。
結晶の中から、響く音。
そして、集った者達は見た。
バリーン、と結晶が割れるのを。
そして、神の目が開かれるのを。
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