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生方蒼甫の譚
冒険者ギルドへ
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異常だな。
王都周囲にめぐらされた壁の高さは近くで見ると20mはあるだろうか。高さ自体は6階建ての建物程度なので、現代日本の感覚からすればそれほど高くは無いはずなんだが問題はその距離だ。
上空から王都の全景が見えたわけではないから正確な大きさは判らない。が、あの高度から見て地平線まで街は続いていた。
そして、おそらくその全周をこの壁が取り囲んでいる。そう考えると威圧感が半端ない。
これ一人で作ったの?
頭おかしくない?何年かかるのさ。いやはや、正気の沙汰とは思えないね。
そんなことを考えながら、王都入り口へと街道を進む。
近づくにつれて周囲が騒がしくなってきた。
街道の先にある城壁にはバカでかい扉が見える。あのサイズの扉開けることあるの?
高さは壁同様20mほど。観音開きで全開すれば幅50mほどかな。流石に普段は開けないらしく、人々はその扉の下側にある小さい扉……と言っても幅・高さとも10mほどの扉から出入りしている。入り口には甲冑を着た衛兵と思しき輩が数名、出入りする人々を睨んでいる。
睨むだけで通行許可証とか要らなそうだな。助かるね。
流石は王都と言うべきか、城壁の扉の前には黒山の人だかり。出てくる人と入る人、ここに居る人数だけでもウサカの人口くらいは居るんじゃなかろうか。エンドゥが栄えていると思っていたが、とんだ思い違いだったらしい。
行きかう人たちを眺めながら、衛兵の横を通り過ぎる。特に何を言われることも無く王都に入ることが出来た。衛兵も含めてここに居る全員がNPCなのは確認済みだ。
言いがかりを付けられたら「好感度」を弄ってやり過ごそうと思っていたがその必要もなくて助かった。
にしても、これだけ人数が居て「ユーザー」が一人もいないってどういうこと?エンドゥやウルサンの比率からすると、この時点でかなりの数の「ユーザー」に会うと思うんだが。
まあいいか。
さあて、王都の中はどんなかな。
はぁ~。
なるほど。
門をくぐった先には中世ヨーロッパの様な街並みが広がっていた。中央を貫通する大通りの道幅は50m近くあるんじゃなかろうか。その大通りが地平線まで続いている。これは決して比喩ではなく、本当に地平線まで伸びている。おそらく王都の反対側まで続いてるんだろうな。
大通りに面した建物はほとんどが3~4階建てで、趣のあるレンガ造りの街並みだ。高い城壁に囲まれているが、広さのためか閉塞感は全くない。よくもまあこんなものを作ったもんだ。
どうやら俺は口を半開きにして上の方ばかり眺めていたようで、周囲を歩く王都民からくすくすと笑われていた。
お上りさん丸出しか。
そうだよなぁ。ここ10年ほどは大学の周りしか出歩かないし、うちの大学自然に囲まれてるしなぁ……。
さて、気を取り直して「ユーザー」を探すか。
道行く人々のステータスを確認するが今のところ全員NPCのようだ。王都に「ユーザー」が全くいないって言うのは考えられないしなぁ。どこかに集まってるのか?
とすると……可能性が高いのはギルドだろうな。
というわけで、道行くNPCを捕まえて冒険者ギルドの場所を聞いてみよう。
「あ、ごめん。冒険者ギルドってどこにある?」
やっぱり話しかけるならかわいいお姉ちゃんが良いよね。
年のころは20歳くらい。健康的な美女に話しかける。
当然「好感度」は上げれるだけ上げている。
「はい?冒険者ギルドですか」
好感度を上げていても怪訝そうな顔だ。ちょっと説明が足りなかったか?
「俺エンドゥから来た冒険者なんだけどさ。王都の冒険者ギルドの場所がわからなくって」
「そう言うことですか。王都は初めてですか?」
「ああ」
「そうですか。それはお困りでしょう。わかりました。私がご案内しましょう」
やべ、「好感度」上げすぎたか?ちょっとめんどくさい。
「いや、いいよ。場所さえ教えてくれたら……」
「まあ、そうおっしゃらずに」
意外にぐいぐい来るね。まあいいか。
俺は諦めて、王都美女と冒険者ギルドまでつかの間のデート気分を味わうことにした。
王都周囲にめぐらされた壁の高さは近くで見ると20mはあるだろうか。高さ自体は6階建ての建物程度なので、現代日本の感覚からすればそれほど高くは無いはずなんだが問題はその距離だ。
上空から王都の全景が見えたわけではないから正確な大きさは判らない。が、あの高度から見て地平線まで街は続いていた。
そして、おそらくその全周をこの壁が取り囲んでいる。そう考えると威圧感が半端ない。
これ一人で作ったの?
頭おかしくない?何年かかるのさ。いやはや、正気の沙汰とは思えないね。
そんなことを考えながら、王都入り口へと街道を進む。
近づくにつれて周囲が騒がしくなってきた。
街道の先にある城壁にはバカでかい扉が見える。あのサイズの扉開けることあるの?
高さは壁同様20mほど。観音開きで全開すれば幅50mほどかな。流石に普段は開けないらしく、人々はその扉の下側にある小さい扉……と言っても幅・高さとも10mほどの扉から出入りしている。入り口には甲冑を着た衛兵と思しき輩が数名、出入りする人々を睨んでいる。
睨むだけで通行許可証とか要らなそうだな。助かるね。
流石は王都と言うべきか、城壁の扉の前には黒山の人だかり。出てくる人と入る人、ここに居る人数だけでもウサカの人口くらいは居るんじゃなかろうか。エンドゥが栄えていると思っていたが、とんだ思い違いだったらしい。
行きかう人たちを眺めながら、衛兵の横を通り過ぎる。特に何を言われることも無く王都に入ることが出来た。衛兵も含めてここに居る全員がNPCなのは確認済みだ。
言いがかりを付けられたら「好感度」を弄ってやり過ごそうと思っていたがその必要もなくて助かった。
にしても、これだけ人数が居て「ユーザー」が一人もいないってどういうこと?エンドゥやウルサンの比率からすると、この時点でかなりの数の「ユーザー」に会うと思うんだが。
まあいいか。
さあて、王都の中はどんなかな。
はぁ~。
なるほど。
門をくぐった先には中世ヨーロッパの様な街並みが広がっていた。中央を貫通する大通りの道幅は50m近くあるんじゃなかろうか。その大通りが地平線まで続いている。これは決して比喩ではなく、本当に地平線まで伸びている。おそらく王都の反対側まで続いてるんだろうな。
大通りに面した建物はほとんどが3~4階建てで、趣のあるレンガ造りの街並みだ。高い城壁に囲まれているが、広さのためか閉塞感は全くない。よくもまあこんなものを作ったもんだ。
どうやら俺は口を半開きにして上の方ばかり眺めていたようで、周囲を歩く王都民からくすくすと笑われていた。
お上りさん丸出しか。
そうだよなぁ。ここ10年ほどは大学の周りしか出歩かないし、うちの大学自然に囲まれてるしなぁ……。
さて、気を取り直して「ユーザー」を探すか。
道行く人々のステータスを確認するが今のところ全員NPCのようだ。王都に「ユーザー」が全くいないって言うのは考えられないしなぁ。どこかに集まってるのか?
とすると……可能性が高いのはギルドだろうな。
というわけで、道行くNPCを捕まえて冒険者ギルドの場所を聞いてみよう。
「あ、ごめん。冒険者ギルドってどこにある?」
やっぱり話しかけるならかわいいお姉ちゃんが良いよね。
年のころは20歳くらい。健康的な美女に話しかける。
当然「好感度」は上げれるだけ上げている。
「はい?冒険者ギルドですか」
好感度を上げていても怪訝そうな顔だ。ちょっと説明が足りなかったか?
「俺エンドゥから来た冒険者なんだけどさ。王都の冒険者ギルドの場所がわからなくって」
「そう言うことですか。王都は初めてですか?」
「ああ」
「そうですか。それはお困りでしょう。わかりました。私がご案内しましょう」
やべ、「好感度」上げすぎたか?ちょっとめんどくさい。
「いや、いいよ。場所さえ教えてくれたら……」
「まあ、そうおっしゃらずに」
意外にぐいぐい来るね。まあいいか。
俺は諦めて、王都美女と冒険者ギルドまでつかの間のデート気分を味わうことにした。
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