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魔王の譚
対話
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「さて、ようやく落ち着いて話が出来そうだな」
「せやな」
カルロスに気負った様子はない。敵陣で自由を奪われ、「魔王」を前にしてもこの胆力だ。勇者か魔王か、それともただのバカか。まあ、後者ってことは無いだろう。
「まずお前は何モンだ?」
「逆に聞くけど、「お前は何もんや」って聞かれてなんて答える?魔王やとでも答える気ぃか?
なんて言いたい所やけどなぁ、まあ、俺の今の状況では素直に答えとかんと後が怖いもんなぁ」
なかなか食えんな。こいつは。
「時間は十分にあんねやろ?まあのんびり行こうや。なあ、ウルフさんよ」
「そうかよ。じゃあ、なんでハルマンの体を乗っ取ってあんな事したんだ?」
「のんびり行こう……言うたところやないか。なんやねん。単刀直入やな。まあええけど。ハルマンの体か。前のセフィ〇ス気に入っててんけどな、サトシらぁに姿見られてるしなぁ。あいつら神罰を退けるどころか撃退しよったやろ?あり得んぞ。あんなん。それに目ぇ付けられてんねんで、あの身体じゃ恐ろして思て歩かれへんよ」
何ともまあ、それらしい理由を付けてくるねぇ。
「お前の実力でサトシたちが怖いってか?」
「そりゃそうやろ。「創造主(クリエイター)」持ちと訳の分からん能力持ちの禿坊主やで?」
「禿は関係ねぇだろ?」
カルロスはぎょっとした表情をして言いよどむ
「あ、おう。関係ないな。ってかなんやねん。急に「魔王」らしなって。恐ろし奴っちゃな。どこにスイッチ有るんかさっぱりわからんわ」
などと訳の分からんことを言っているが、俺は無視して続ける。
「で、訳の分からんってのは?」
「あのルークスや。お前も知ってんねやろ?あいつは俺らの常識の外に居(お)る。抜けたようなフリしとるけど、どこまでがホントかよう分らん」
ルークスをかなり警戒してるらしいな。
ただの抜けた奴なんだけどな。
……
それとも俺も騙されてるのか?
「常識の外って言うと?」
「なんや?わかってるんやろ?人が悪いな。あ、人やないか。魔王やもんな」
ウザいな。こいつ。
「まあ、そんな顔しいなや。こっちは体の自由奪われてんねんで」
「その割には余裕じゃねぇか」
「余裕が無いから口数増えるんやんか。わからんかぁ?これやからヒエラルキーの頂点に居る奴はあかんなぁ。もっと弱者に寄り添いぃ」
ん。ウザイ。
「せやからその表情やめてぇな。結構傷つくわ。まあええ。あんたも会(お)うたんやろ?ルークスに。どんなこと話した?自分のこと話してたか?」
「どうかな」
「おいおい。この状況の可哀そうな魔法少女にその冷たい態度はあかんでぇ。そんなんやとモテへん……あ、そやからその表情めてぇな」
「ならテキパキ話せよ」
「なんやねん。ノリ悪いなぁ。囚われの身の俺には、こっから楽しいことなんて無いねんで、後は魔王の手下どもに肉……」
「いいから!だいたい、そんなことしねぇよ!」
「あれぇ?どんなことしようと思たんかなぁ?」
うわぁ。ウザ。こいつ本当にやっちまおうかな。
「ああ、こりゃ限界か。失礼。そろそろ真面目に答えましょ。さ、なんやったっけ?質問は。あ~。ルークスか。せやな。「常識の外」っちゅう話やったな」
ようやく話が聞けそうだ。俺は顎をしゃくって話を続けるように促した。
「なら、ちょっと確認したいんやけど、君幾つ?」
は?という表情が奴に伝わったんだろう。俺が何かを発する前に説明を始めた。
「いや。別に君の情報聞き出そうとしてる訳やない。前提条件のすり合わせや。わかってることをだらだら話されんのやら、知らんことをつらつら言われるのは君かて嫌やろ」
なるほどな。それにしてもこいつのコミュニケーション能力は異常だな。相手の表情を読むということに関しては俺やオットー以上だ。いや。俺達はスキルを使ってその人物の前に表示される情報から読み解いているが、こいつは違う。純粋に俺の表情からそれらを読み解いている。これはこの世界で与えられたスキルではなくもともと持っている能力(ギフト)なんだろうな。
「まあええ。君が答えたないならそのまま黙っててくれたらええで。俺は好きなようにしゃべるから」
「せやな」
カルロスに気負った様子はない。敵陣で自由を奪われ、「魔王」を前にしてもこの胆力だ。勇者か魔王か、それともただのバカか。まあ、後者ってことは無いだろう。
「まずお前は何モンだ?」
「逆に聞くけど、「お前は何もんや」って聞かれてなんて答える?魔王やとでも答える気ぃか?
なんて言いたい所やけどなぁ、まあ、俺の今の状況では素直に答えとかんと後が怖いもんなぁ」
なかなか食えんな。こいつは。
「時間は十分にあんねやろ?まあのんびり行こうや。なあ、ウルフさんよ」
「そうかよ。じゃあ、なんでハルマンの体を乗っ取ってあんな事したんだ?」
「のんびり行こう……言うたところやないか。なんやねん。単刀直入やな。まあええけど。ハルマンの体か。前のセフィ〇ス気に入っててんけどな、サトシらぁに姿見られてるしなぁ。あいつら神罰を退けるどころか撃退しよったやろ?あり得んぞ。あんなん。それに目ぇ付けられてんねんで、あの身体じゃ恐ろして思て歩かれへんよ」
何ともまあ、それらしい理由を付けてくるねぇ。
「お前の実力でサトシたちが怖いってか?」
「そりゃそうやろ。「創造主(クリエイター)」持ちと訳の分からん能力持ちの禿坊主やで?」
「禿は関係ねぇだろ?」
カルロスはぎょっとした表情をして言いよどむ
「あ、おう。関係ないな。ってかなんやねん。急に「魔王」らしなって。恐ろし奴っちゃな。どこにスイッチ有るんかさっぱりわからんわ」
などと訳の分からんことを言っているが、俺は無視して続ける。
「で、訳の分からんってのは?」
「あのルークスや。お前も知ってんねやろ?あいつは俺らの常識の外に居(お)る。抜けたようなフリしとるけど、どこまでがホントかよう分らん」
ルークスをかなり警戒してるらしいな。
ただの抜けた奴なんだけどな。
……
それとも俺も騙されてるのか?
「常識の外って言うと?」
「なんや?わかってるんやろ?人が悪いな。あ、人やないか。魔王やもんな」
ウザいな。こいつ。
「まあ、そんな顔しいなや。こっちは体の自由奪われてんねんで」
「その割には余裕じゃねぇか」
「余裕が無いから口数増えるんやんか。わからんかぁ?これやからヒエラルキーの頂点に居る奴はあかんなぁ。もっと弱者に寄り添いぃ」
ん。ウザイ。
「せやからその表情やめてぇな。結構傷つくわ。まあええ。あんたも会(お)うたんやろ?ルークスに。どんなこと話した?自分のこと話してたか?」
「どうかな」
「おいおい。この状況の可哀そうな魔法少女にその冷たい態度はあかんでぇ。そんなんやとモテへん……あ、そやからその表情めてぇな」
「ならテキパキ話せよ」
「なんやねん。ノリ悪いなぁ。囚われの身の俺には、こっから楽しいことなんて無いねんで、後は魔王の手下どもに肉……」
「いいから!だいたい、そんなことしねぇよ!」
「あれぇ?どんなことしようと思たんかなぁ?」
うわぁ。ウザ。こいつ本当にやっちまおうかな。
「ああ、こりゃ限界か。失礼。そろそろ真面目に答えましょ。さ、なんやったっけ?質問は。あ~。ルークスか。せやな。「常識の外」っちゅう話やったな」
ようやく話が聞けそうだ。俺は顎をしゃくって話を続けるように促した。
「なら、ちょっと確認したいんやけど、君幾つ?」
は?という表情が奴に伝わったんだろう。俺が何かを発する前に説明を始めた。
「いや。別に君の情報聞き出そうとしてる訳やない。前提条件のすり合わせや。わかってることをだらだら話されんのやら、知らんことをつらつら言われるのは君かて嫌やろ」
なるほどな。それにしてもこいつのコミュニケーション能力は異常だな。相手の表情を読むということに関しては俺やオットー以上だ。いや。俺達はスキルを使ってその人物の前に表示される情報から読み解いているが、こいつは違う。純粋に俺の表情からそれらを読み解いている。これはこの世界で与えられたスキルではなくもともと持っている能力(ギフト)なんだろうな。
「まあええ。君が答えたないならそのまま黙っててくれたらええで。俺は好きなようにしゃべるから」
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