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旅の始まり〜冒険者入門編〜
冒険者試験
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ユイと王都を散策した日から2日後、昇格試験の日程が決まったとギルドから連絡が届いた。
噂によると、魔物や薬草の知識を問われ、軽い戦闘能力審査があるそうだ。
ま、別に大丈夫だろう。先生から教えて貰ってたし。
「さて、と…これで大丈夫かな」
独り言を言い、準備を完了する。
少し緊張しているのか強ばっている体をほぐしつつギルドに向かっていった。初めての事は緊張するな。
~
「はい、ケイさんですね。では、あちらの試験室で知識に関する試験を行います。答えは口頭でお願いします。」
返事をし、指された方の部屋へ入っていく。何人か人がいる中、用意されていた椅子に座り少しの間待っていると、試験官らしき人が部屋に入ってきた。
「おう。10人全員揃ってるな。では、これより知識の試験を開始する。1人づつ俺の後に来てくれ。」
そう言って、先頭にいた人を連れていく。
何これすげぇ緊張するんだけど?
しばらくして、ーーと言っても10分程だかーーさっきの連れていかれた人と試験官が帰ってきた。心無しか冒険者はぐったりしている気がする。自信ないのかな?
「じゃあ、次」
そうやってまた1人、また1人と試験を終えて行き、ついに俺の番となった。
「お前で最後か。よし、着いてこい。」
そう言って連れてこられたのは質素な部屋だ。
そこからは、色々なことを聞かれた。
やれこの魔物の弱点がどうの、やれこの薬草の採り方がどうのと。
まぁ思ったより簡単だった。
そして、これが最後の問いと言われ問われたのは、なぜ冒険者になったのか。
「妹を救うためです。」
「ほう?…まぁ、詮索はせんが、事情を話してくれれば出来る限り手は貸すぞ?」
「…では、一つだけ。魔剣の効果を打ち消すようなスキルや方法を知りませんか?」
「うーむ…結論を言うと、知らん。だがまぁ…恐らくそんなスキルを持ったやつはいる。これは断言出来る。だが、当然誰がどんなスキルを持っているかなど俺達は知らん。」
まぁ、そうだよな。
でも、いる、と断言してくれたのは少し不安も減ってくれた気がする。
「ま、探しとくよ。じゃあっちの部屋で待っててくれ」
そう言われたので、さっきの部屋に戻る。
なんか謎に緊張したな。緊張してた分内容は拍子抜けだったし…これでおちてたらどれだけレベルが高いんだって感じだな。
さっきの部屋に戻ると、みんな緊張した面持ちで待っていた。
気持ちが痛いぐらいわかる。なんでこんなに試験ってだけで緊張するんだろうな。
謎だ。
さて、次は実技試験らしいが、俺はオル師匠のおかげで免除らしい。
まぁやるだけ無駄だろうしな。
このくらいの級だったらよっぽど弱くない限りはうかるらしいからな。
さて、試験も終わったし暇になったな。
結果はすぐもらえるとのことなので、受かってたら討伐依頼でもうけてみるか。
少し楽しみだ。
最近は採取だとかしかやってなかったしな。魔物が発生しても直ぐに上のランクの人が倒してしまったし。
「ケイさーん、結果が出ましたよー」
俺の担当をしてくれているミーシャさんが呼んでいる。大丈夫かなぁ。
「おめでとうございます、ケイさん。E級合格です!」
「ありがとうございます」
愛想よくミーシャが合格を告げる。ケイは胸を撫で下ろすようなしぐさと言葉でそれに応え、すこしのわらいがうまれた。
「おう、合格したのか、おめでとう」
そう暖かな言葉を送ってくれたのはダイル先輩だ。
やっぱりいいひとだなぁ
「合格祝いだ、やるよ」
そい言って渡されたのは指が出ているタイプの手袋だ。
「そいつは魔力浸透率が高くてな。属性付与だとかスキル付与だとかに使いやすい素材だ。丈夫だし、役立つと思うぞ。」
ありがたい。魔力浸透率が高い素材はスキル付与がしやすいし付与したスキルの発動も早い。
そのくせ貴重なものだから値段もそこそこする。
欲しいと思ってたんだよなぁ。
「喜んでもらえて何よりだ。じゃあ俺は依頼いってくるわ」
その場から立ち去る先輩の後ろ姿を見送りながら、ケイはふと考える。
俺、ダイン先輩にお世話になりっぱなしじゃね?と。
今度何かお返ししなきゃな。何がいいだろうか。
なんかやんちゃそうなものがいいよな。
ま、おいおい考えるか。
~
さて、暇だし折角だから討伐にでも行くか。
E級初めての依頼だし、なんかいい感じのがいいよな…
「なら、これなんてどうでしょう?」
ミーシャさんに相談すると、とある依頼を渡してくれた。
「ゴブリンの巣の調査?」
「はい。最近とある街の近くでゴブリンが大量発生しているのですが、調査したところ巣があったらしいんです。そこで、新人の育成も兼ねて大規模遠征が行われるんですよ。その街は温泉で有名なので、いい思い出になるんじゃないですか?」
「なるほど…いいですね、それ!やらせてください!」
と、言うことで大規模遠征に参加することとなった。
それに向けての準備をしなきゃな。
詳しく話を聞くと、規模は約100人程で、片道で一週間かかるらしい。出発は一週間後で勇者学院の試験が二ヶ月後だから全然間に合うし、楽しみだ
2日後にミーティングがあるらしいので2日後にギルドの集会室にいかなきゃならないから、その日は空けておくとしてどうしようか。
ギルドのルールとして、一度に受けることのできる依頼は一つまでと決まっている。
別に魔物や薬草の素材の買取は受け付けてくれるのだが、依頼報酬の方が高いし依頼をクリアしていても依頼を受けている時にしか依頼報酬はもらえないから、正直このまま魔物狩りをするのは気が引ける。
どうしよう、暇だ。
図書館にでも行くか?しかし、ろくなものがないだろうな…スキルに関する書物など、簡単には見せてくれないだろうし。
…魔物、狩るかぁ!
しょうがないよね!やることないし、平原で魔物でも狩りつつスキル付与の練習とか色々すれば最高だよね!
ケイの理性は本能に敗北した。
本来、最もいいのはアイテム等の物色だ。しかし、ケイはそう言った細々したものは好かない。
理性ではやらなくてはならないと感じていたが、本能がそれを許さなかった。
ケイはもともと争い事を好む性である。
普段は先生の教えである「争いは避けるべき」に隠れているが理性に隙が見られればこの性格が顔を出す。
昔はケイも大人しく、いじめられていた時期もあったが今ではこの有様だ。
そんなことは意に返さずケイは南にある平原へと向かうのであった。
噂によると、魔物や薬草の知識を問われ、軽い戦闘能力審査があるそうだ。
ま、別に大丈夫だろう。先生から教えて貰ってたし。
「さて、と…これで大丈夫かな」
独り言を言い、準備を完了する。
少し緊張しているのか強ばっている体をほぐしつつギルドに向かっていった。初めての事は緊張するな。
~
「はい、ケイさんですね。では、あちらの試験室で知識に関する試験を行います。答えは口頭でお願いします。」
返事をし、指された方の部屋へ入っていく。何人か人がいる中、用意されていた椅子に座り少しの間待っていると、試験官らしき人が部屋に入ってきた。
「おう。10人全員揃ってるな。では、これより知識の試験を開始する。1人づつ俺の後に来てくれ。」
そう言って、先頭にいた人を連れていく。
何これすげぇ緊張するんだけど?
しばらくして、ーーと言っても10分程だかーーさっきの連れていかれた人と試験官が帰ってきた。心無しか冒険者はぐったりしている気がする。自信ないのかな?
「じゃあ、次」
そうやってまた1人、また1人と試験を終えて行き、ついに俺の番となった。
「お前で最後か。よし、着いてこい。」
そう言って連れてこられたのは質素な部屋だ。
そこからは、色々なことを聞かれた。
やれこの魔物の弱点がどうの、やれこの薬草の採り方がどうのと。
まぁ思ったより簡単だった。
そして、これが最後の問いと言われ問われたのは、なぜ冒険者になったのか。
「妹を救うためです。」
「ほう?…まぁ、詮索はせんが、事情を話してくれれば出来る限り手は貸すぞ?」
「…では、一つだけ。魔剣の効果を打ち消すようなスキルや方法を知りませんか?」
「うーむ…結論を言うと、知らん。だがまぁ…恐らくそんなスキルを持ったやつはいる。これは断言出来る。だが、当然誰がどんなスキルを持っているかなど俺達は知らん。」
まぁ、そうだよな。
でも、いる、と断言してくれたのは少し不安も減ってくれた気がする。
「ま、探しとくよ。じゃあっちの部屋で待っててくれ」
そう言われたので、さっきの部屋に戻る。
なんか謎に緊張したな。緊張してた分内容は拍子抜けだったし…これでおちてたらどれだけレベルが高いんだって感じだな。
さっきの部屋に戻ると、みんな緊張した面持ちで待っていた。
気持ちが痛いぐらいわかる。なんでこんなに試験ってだけで緊張するんだろうな。
謎だ。
さて、次は実技試験らしいが、俺はオル師匠のおかげで免除らしい。
まぁやるだけ無駄だろうしな。
このくらいの級だったらよっぽど弱くない限りはうかるらしいからな。
さて、試験も終わったし暇になったな。
結果はすぐもらえるとのことなので、受かってたら討伐依頼でもうけてみるか。
少し楽しみだ。
最近は採取だとかしかやってなかったしな。魔物が発生しても直ぐに上のランクの人が倒してしまったし。
「ケイさーん、結果が出ましたよー」
俺の担当をしてくれているミーシャさんが呼んでいる。大丈夫かなぁ。
「おめでとうございます、ケイさん。E級合格です!」
「ありがとうございます」
愛想よくミーシャが合格を告げる。ケイは胸を撫で下ろすようなしぐさと言葉でそれに応え、すこしのわらいがうまれた。
「おう、合格したのか、おめでとう」
そう暖かな言葉を送ってくれたのはダイル先輩だ。
やっぱりいいひとだなぁ
「合格祝いだ、やるよ」
そい言って渡されたのは指が出ているタイプの手袋だ。
「そいつは魔力浸透率が高くてな。属性付与だとかスキル付与だとかに使いやすい素材だ。丈夫だし、役立つと思うぞ。」
ありがたい。魔力浸透率が高い素材はスキル付与がしやすいし付与したスキルの発動も早い。
そのくせ貴重なものだから値段もそこそこする。
欲しいと思ってたんだよなぁ。
「喜んでもらえて何よりだ。じゃあ俺は依頼いってくるわ」
その場から立ち去る先輩の後ろ姿を見送りながら、ケイはふと考える。
俺、ダイン先輩にお世話になりっぱなしじゃね?と。
今度何かお返ししなきゃな。何がいいだろうか。
なんかやんちゃそうなものがいいよな。
ま、おいおい考えるか。
~
さて、暇だし折角だから討伐にでも行くか。
E級初めての依頼だし、なんかいい感じのがいいよな…
「なら、これなんてどうでしょう?」
ミーシャさんに相談すると、とある依頼を渡してくれた。
「ゴブリンの巣の調査?」
「はい。最近とある街の近くでゴブリンが大量発生しているのですが、調査したところ巣があったらしいんです。そこで、新人の育成も兼ねて大規模遠征が行われるんですよ。その街は温泉で有名なので、いい思い出になるんじゃないですか?」
「なるほど…いいですね、それ!やらせてください!」
と、言うことで大規模遠征に参加することとなった。
それに向けての準備をしなきゃな。
詳しく話を聞くと、規模は約100人程で、片道で一週間かかるらしい。出発は一週間後で勇者学院の試験が二ヶ月後だから全然間に合うし、楽しみだ
2日後にミーティングがあるらしいので2日後にギルドの集会室にいかなきゃならないから、その日は空けておくとしてどうしようか。
ギルドのルールとして、一度に受けることのできる依頼は一つまでと決まっている。
別に魔物や薬草の素材の買取は受け付けてくれるのだが、依頼報酬の方が高いし依頼をクリアしていても依頼を受けている時にしか依頼報酬はもらえないから、正直このまま魔物狩りをするのは気が引ける。
どうしよう、暇だ。
図書館にでも行くか?しかし、ろくなものがないだろうな…スキルに関する書物など、簡単には見せてくれないだろうし。
…魔物、狩るかぁ!
しょうがないよね!やることないし、平原で魔物でも狩りつつスキル付与の練習とか色々すれば最高だよね!
ケイの理性は本能に敗北した。
本来、最もいいのはアイテム等の物色だ。しかし、ケイはそう言った細々したものは好かない。
理性ではやらなくてはならないと感じていたが、本能がそれを許さなかった。
ケイはもともと争い事を好む性である。
普段は先生の教えである「争いは避けるべき」に隠れているが理性に隙が見られればこの性格が顔を出す。
昔はケイも大人しく、いじめられていた時期もあったが今ではこの有様だ。
そんなことは意に返さずケイは南にある平原へと向かうのであった。
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