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好きな人とエレベーターに閉じ込められたら、人はどうなりますか。
俺の名前を知っていますか?(陸くんの場合)※
しおりを挟む俺は成瀬としている行為をどこか夢なんじゃないかと頭の片隅で思いつつ、完全に快感に溺れていた。
このキスが長いのか短いのかも経験がない俺にはよくわからなくて、成瀬がいつやめてくれるのか掴めなくて息が保たない。
「んんっ…ふ、もう…だめ、なるせ…」
そう言っても成瀬はなかなかやめてくれないんだけど、とにかく気持ち良過ぎて俺自身がかなりヤバい。
キスがこんなに気持ち良いなんて知らなかった。
成瀬の柔らかい唇に触れるだけでたまらないのに、舌が俺の口内を隅々まで動き回っていて、俺は感じ過ぎてすっかり勃起してしまった。
キスだけでこんなになるなんて俺、頭がおかしいか相当欲求不満だと思われちゃうんじゃないだろうかと心配になった。
でも成瀬のアソコも固くなっている事はわかっていたから、俺だけじゃないんだという謎の安心感もあって、俺は成瀬の膝の上で出来るだけこれ以上自身を刺激しないように耐えた。
成瀬のお腹に押し付ける形になってる俺のモノは、少しの刺激でも快感を拾ってしまうから。
それなのに成瀬は時々、下から俺のお尻に固くなったモノを押し付けてくるからもう頭がおかしくなりそうだった。
「はぁっ、ん、もう力…入らない、なるせ」
そうキスの合間に途切れ途切れに伝えると、成瀬は唇を離して俺をぎゅっと抱きしめてくれる。
俺の首元に顔を埋めて俺の息が整うのを待って、成瀬はアルミシートの上にゆっくり俺の身体を押し倒した。
「な、成瀬……?何してんの?」
「うん。伊藤熱あるから、やっぱ横になってた方がいいと思って」
ここで終わりなのかなって思うと成瀬の身体が離れていくのがなんだか惜しくて寂しいと思った。
勃ってしまったアソコを見られないように、少し身体を捩るとブランケットを引っ張って掛けてくれる。
周りの余計な物をエレベーターの壁際に押しやって空間を作って、ランタンはひとつ災害チェアの上に置くと、成瀬はまた壁際に座ると思ったら今度はそうしなかった。
俺の隣に横になって、使ってなかったアルミシートも一緒に掛けて2人で並んで横になる。
「な、成瀬…?も、寝るの?」
「いや、俺全然眠くないから、エレベーター動くまでこうしてようかと…」
いやいや、成瀬が隣にいるだけで俺は全く眠れませんけど!?
「あのさ、伊藤は俺の名前知ってる?」
「え?成瀬の…下の名前って事?」
「そう。下の名前」
「知ってるよ、拓海…だろ?成瀬 拓海」
嬉しそうに成瀬は笑ってて、俺は首を傾げる。
「な、なんでそんな笑ってんの?」
「おかしいと思わない?」
「どこが…?」
「普通は隣のクラスの奴のフルネームなんか覚えてないだろ。なんで知ってんの?」
そういえばそうだ。
俺達は同じクラスになった事もなくて全く接点がないのに、俺が成瀬の下の名前を知ってるのは不自然と言えば不自然で俺は言葉に詰まる。
「じゃあ、誕生日は?俺の」
「え?しが…」
4月18日…でも知ってるのが不自然だから口をつぐむ。
「し、知らない…」
「そう?あ、俺も知ってるよ。伊藤の下の名前」
「え?」
「陸だろ。伊藤 陸」
「あ、えと…覚えてる事だってあるよな、たまたま…」
「誕生日は10月13日」
え?なんで知ってんの?
「たまたまとかじゃないよ。ちゃんと調べたから知ってただけ」
成瀬が言ってる事が一瞬理解出来ずに固まる。
「俺、伊藤の事、前から好きで、好きだから知ってる。好きな人の事知りたくて、隣のクラスの奴に聞いた」
え?成瀬、何言ってんの?
「キスする前に言うべきだったんだけど、ちょっと順番間違えた。ごめん」
やっぱり夢なのかなって思うと、自然に目頭が熱くなって訳わかんなくなって、涙が溢れそうになる。
「陸」
耳元で俺の名前を呼ばれて、身体がビクッと反応してすごく胸が苦しくなった。
「キスしてたら陸の気持ち、伝わって来た気がするんだ。間違ってたらそれでもいいから教えて?」
成瀬は俺の手を取ってぎゅっと握って、俺に聞いてくれた。
後から考えるとそれは告白としてはかなりの自意識過剰な台詞だったんだけど。
スーパーポジティブな成瀬らしい告白だとも思う。
「お前も俺の事、好きだろ?」
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