好きな人とエレベーターに閉じ込められました。

蒼乃 奏

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好きな人とエレベーターに閉じ込められたら、人はどうなりますか。

密室で何をしますか?(陸くんの場合)※

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成瀬が俺の事を好きだと言った。

俺だけが成瀬を好きなんだとずっと思ってたのに、そうじゃなかった。

どうしてだろう?
俺、ストーカーみたいにただ見てるだけだったと思うのに、俺をいつ見つけてくれたんだろう?

そんな疑問も、今はちょっと慣れて来た大人のキスで頭がぼーっとしてるから答えなんか出てくるわけがない。

「んん…っ、あ…なるせ…」

ずっと呼びたかった名前をキスの途中で何度も声に出す。

『成瀬 拓海』って名前、俺みたいな『伊藤』なんて平凡な苗字と名前もありふれてるんじゃなくて、響きがなんだかすごく好きで。

『拓海』って呼び捨てにもしてみたいとは思ってたけど、俺はずっと成瀬を苗字で呼んでみたかったんだ。

「うん、俺の苗字って…陸に呼ばれるとなんか、いいな」

耳元でそう囁きながら、成瀬の手は俺のシャツの裾を捲って侵入して来て、脇腹を撫でられてくすぐったい。

「家に帰れば俺なんか『たっくん』て呼ばれてるからな…」

「……ふふ、たっくん、可愛いね。俺も呼ぼうか?」

「んー、それなら成瀬がいい、うん」

成瀬の手が冷たくてついビクついてしまうけど、成瀬に撫でられてると思うだけで異常に感じてしまう。

目を瞑れば俺の嫌いな暗闇なのに、目を開けてる事が難しくて感じるままにぎゅっと瞑る。

そうか、成瀬がそばにいるから怖くないんだって気付いた。

「成瀬の…手、つめた…もしかして寒い…?」

「俺が冷たいんじゃないぞ、お前が熱いんだって…。具合悪くないか?」

ほら、さっきまでふざけてたと思ったらそうやって心配してくれる。

押しつけじゃなく自然に誰にでも気遣える成瀬のそういうところが好き…。多分、成瀬のそういう無自覚な優しさに触れたら、この人の事嫌う人なんていないんじゃないのかな。

「大丈夫…」

「首も、熱いな」

首筋に成瀬の唇が触れて、甘く吸われる。
成瀬の少し荒い息遣いが、男の俺に欲情してくれてると思うと何となく嬉しい。

「はっ…ん、やだ、舐めないで…」

「なんで?淫らな行為、していいんだろ?」

俺の右の耳に成瀬の熱い舌がねじ込まれて、俺は急に襲われる快感に驚いて成瀬の腕を強く握る。

「…あっ…んんっ、耳やだ…ッ」

思わず逃げを打って反対を向いた俺の身体を逃さないように後ろから抱きしめて、成瀬は俺のシャツをたくし上げて右の胸の突起を摘んだ。

「ちょ、そんなとこ…うぁ、や、痛…い」

「ん、いい声…お前の声、好き…可愛い」

好きって耳から吹き込まれるだけで、胸の刺激がビリビリと下半身に響くようで、さっきよりも俺自身が張り詰めて小刻みに身体が震える。

「はー可愛い…。俺、どうにかなりそうだ」

成瀬が俺の胸の突起をグリグリと押したり摘んだり弄ぶ度に、エレベーター内に俺の声とは思えない甘さを含んだ喘ぎ声が響いた。

「わかる…?お前がそばにいるだけでやばいのに、煽るからこうなる」

俺のお尻に成瀬自身を押し付けて揺らすから、成瀬と繋がってる気分になって全身が熱くなる。

成瀬と繋がるなら体格的にも間違いなく俺が下だけど、でもそれでもいいと思ってる自分に驚く。

成瀬に求められるなら受け入れたい。

「成瀬…あ、当たってる…ってば…。そんな事されると…はぁっ…俺頭おかしくなるって…ばか…っ」

「陸、触って欲しい…?ココ」

胸を触ってない方の手で俺の張り詰めた前を意地悪く撫でる成瀬の手に、もどかしくて太腿を擦り合わせる。

「あっ、あ…っんん、成瀬…成瀬、触って…?」

成瀬の手は俺の前を何度か撫でるように何度か触って、ベルトを片手で器用に外す。

「あ…だめ、どうしよ、成瀬…」

「だめなの?」

「触られたら出そう…無理、だって…成瀬に、触られてるって思っただけでイキそう…」

成瀬は素早くベルトを外して、息を乱しながら俺のチャックを下ろして下着の上から張り詰めたモノを触った。

「ふぁっ、んんーーーっ、だめ、出ちゃう、から、早く脱がして、あっ…」

下着が汚れちゃったら消臭スプレーを使っても匂いが消えるとは思えなくて、俺はすごくカッコ悪いけど成瀬に懇願した。

「大丈夫…寒いけど、ブランケット取るから、もうちょっと我慢して」

成瀬はあっという間に俺の履いてた下着とズボンをずり下げて、俺自身を握る。

「あ…あ、ん、ふぅ…なる、せ…、はぁっ、だめ、んんっーーーーッ!」

後ろから抱き抱えられて、成瀬の右手で自身を何度か擦っただけで俺はイッてた。

「くっ……はぁっ、はぁっ、んんっ、なるせ」

白濁は成瀬の手とアルミシートの上にかかって、成瀬は後ろから俺が白濁を出し切るように優しく萎えた性器を前後に動かしてる。

「陸、俺の事煽るの上手過ぎなんだけど…困るなぁ…ちょっと、エロ過ぎ」

「あ、ふ、拭かないと…なるせ、離して…」

俺が虚ろな目で白濁を見つめてると、成瀬が起き上がってポケットティッシュでアルミシートと手を拭ってた。

仰向けに寝かされて、イッた余韻が消えなくて肩で息をしながら力なく成瀬を見つめると、唇を塞がれてまた舌が入り込む。

どこもかしこも性感帯みたいになってるせいか、気持ち良くて仕方ない。

「んん…、は、ふぅ…ん、成瀬…もっと…」

「もっと、何?陸」

「いっぱい、キスして…?」

「ん、いいよ、じゃあ…」

頰を撫でられてまた唇を荒々しく塞がれる。
いつの間にか下は何も履いてなくて、靴下まで脱がされてた。

「もっといっぱい俺の名前呼んで?」

エレベーターの中に響く俺達のキスの淫らな水音で頭がおかしくなりそう。

「成瀬…、んん、ふぅ、好き…なる、せ」

好きな人とするキスが気持ち良過ぎて、名前を呼びたくてもキスが激し過ぎて上手く言えなくて、ただ成瀬と何度も息を乱して唇を重ねた。



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