好きな人とエレベーターに閉じ込められました。

蒼乃 奏

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エレベーターに閉じ込められたその後で。

成瀬の家で。②(拓海くんの場合)

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陸が俺を鈍感だとエレベーターの中で言ったけど、そっくりそのままお前に返すよ。

丸山の気持ちには一生気づかないでいいけど、万が一何か起こった時の為に少しは自分の可愛さを自覚してもらわないと困ると思った。

出来れば他の奴には近づかないで欲しいけど、友人関係を決めるのは本人だし俺が口を挟むのはどうかと思う。

とにかく敵に強気で釘を刺すくらいは許してもらいたいし、あいにく負けるつもりなんか全くない。

丸山の家のトイレを借りた後、少し丸山と陸を2人きりにさせてあげたのは別に余裕があるからじゃないけどな。

階段を手を繋いで登ると、陸の手はやっぱり少し熱くてまだ熱がありそうだ。

家に行ったら熱を計ってやらないとな。
冷えピタは人が多くて恥ずかしかったのか、エレベーターを出る時に外したようだった。

「陸はどこに住んでるんだ?」

「あ、ここからそんな遠くはないんだ。歩いて行ける距離だけど、歩いたら30分くらいはかかるかも」

「そんなに?いつも歩いてたのか?」

「普通それくらい歩くだろ…?夏はチャリも使うけど」

「これからは俺が送るからな」

「へ?や、大丈夫だって。今までも大丈夫だったのに」

「これからも大丈夫な保証はないだろ。よく今まで無事だったな」

そこそこ大通りで人が多い道を選んでたのかも。

「よく丸山も途中までとか心配だって言って送ってくれたけど、本当なんでそんな事すんのかな」

……絶対俺が送ると心に決めた。

エレベーターが使えないから仕方ないとはいえ、階段を登り切った頃には陸は少し疲れた様子だった。

エレベーターに3時間近く閉じ込められてストレス溜まってると思うし、少し俺の部屋で休ませてから着替えとか持ってタクシーで送って行こう。

「こんばんは、お名前は?」

「は、はい。伊藤 陸です。はじめまして…」

姉ちゃん、幼児じゃないんだからお名前は?はないだろ…それより、ロウソクはやめてくれ。

災害時にロウソク使って火事になるなんてあり得ないし、家の中は親父が帰って来れなかったみたいであんまり明るくなかった。

停電した時親父に教えてもらったのに、姉はペットボトルライトの作り方をすっかり忘れていたようだ。いや、覚えていても面倒でやらないだけかも。

陸が怖そうな顔をしてるのがわかっているから、なるべく明るくしてあげる。
停電が解消しないと本当にかわいそうだ。

俺の部屋に連れ込むと、やっぱり暗いのでランタンとペットボトルライトを置いて明るくする。

「用意してくるから。1人で大丈夫か?」

部屋の入り口で突っ立ったままの陸は、部屋をぐるりと見渡してなんだか嬉しそうにしてる。

その表情から察すると、陸は俺の部屋に入れたのが嬉しいんだろうなと感じてなんだか俺まで嬉しい。

それにまだ俺のパーカーを着たままの陸と2人っきりになった途端、急に我慢が効かなくなった。

「成瀬…?」

肩を掴んで壁に押し付ける俺を見上げる陸。
エレベーターの中で何度もしたキスが夢だったと思いたくなくて唇を出来るだけ優しく塞いだ。

「…んん、ふ…なるせ…?」

「…声、ちょっと我慢出来るか?姉ちゃんに聞こえるかも…」

少し意地悪して声を我慢させたのは、丸山に無防備過ぎる陸に少しイラッとしたせいかも。

俺がスーパーポジティブだって?
お前は少し俺を過大評価してる。
俺は普通だし、まぁまぁ心も狭いみたいだ。

声を漏らさないように頑張る陸はめちゃくちゃ俺を煽って、その声ごと封じ込めるみたいに唇を塞いだ。

舌をねじ込んでも俺が言った事を守って声を漏らさない陸は、代わりに俺の腕を強く掴んで爪を立てた。それに気づかない位夢中になってると思うと興奮する。

「……ん、上手。もうちょっと我慢な」

「……は、なる、せ、待って…」

俺のベッドに引き寄せて押し倒すと陸が驚いた顔をしてるのがわかったけど、もう少しだけ触りたかった。

首筋に顔を埋めて陸が着てる俺のパーカーのチャックをゆっくり焦らしながら下ろす。

「…あっ」

小さく声を漏らして両手で口を自分で塞いだ陸は、すっかり勃ち上がってしまったモノを隠そうと身体を捩る。

Tシャツの裾から手を入れて背中に手を滑らせると、背を逸らして身体をビクつかせる。

「はぁっ、お願い、待って……?あっん」

「ごめん、ちょっとでやめるから…」

「そ、じゃなくて、俺が駄目なんだって…だってここ…あっ」

嫌がってるとわかってても無言で首筋を舌を這わして胸の突起を摘むと、たまらなく可愛いため息を漏らした。

「このベッド…成瀬の匂い、強くて…その、どうしても勃っちゃうんだって…我慢出来なくなる…」

苦しそうに顔を赤くして目を瞑る陸の両手を掴んでベッドに縫い付けて指を絡めて、唇を塞いで舌を割り入れた。

「ふ…んんっ」

本当は多少声を出してもここからリビングに声なんて届かない。

「声、漏れてる、陸」

「は、だって…成瀬が…あ、だめ…っ」

何度も声を我慢して身体を震わせる陸が可愛くて、時間をかけて腰が立たなくなるようなキスをして唇を離した。

なかなか離せなかったのはお前は俺のだという独占欲からだけど、ちょっとやり過ぎた気もする。

放心状態の陸の衣服を整えて、急いで部屋を出て一直線にトイレに駆け込んだ。

「ちょ、たっくん、やだ、そんなにトイレ我慢してたのー?」

そうじゃないけどその辺は全然察してくれなくていいからな!!姉ちゃん。

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