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エレベーターに閉じ込められたその後で。

お風呂は2人で入るものじゃないんですか?(拓海くんの場合)※

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真夜中にタクシーを走らせて陸の家に向かうと、この辺りの停電は解消されてたようで街並みは少しずつ明るくなっていった。

信号がついてる所とついてない所があって、電気の大切さをひしひしと感じていたのでホッとする。

ランタンは実は俺のリュックに入れて来たけど、もう出番はなさそうで良かった。

マンションの階段を降りてる時もタクシーに乗ってる間も、俺達はこっそり手を繋いだ。

陸がちゃんと告白してくれた事も大きかったけど、さっきまでの丸山の事のモヤモヤとかはどうでもいいくらい気にならなくなっていた。

さっきトイレで一度出しておいたのに全く意味がないくらい、俺は今ものすごく陸を抱きたいと思ってる。

陸の家は一軒家で、誰もいないので家の明かりはついていなかった。

「本当に誰も家にいないんだな」

「うん。親、旅行中だし、兄ちゃんはもう家出てるんだ」

「陸、兄弟いたんだ?」

「成瀬のお姉さんと同じ歳だよ。俺の7つ上」

「へー、今度挨拶しなきゃな」

「え?い、いいよ。うちの兄ちゃんちょっと頭おかしいから」

陸がすっごく嫌そうにそう言ったので、仲があまり良くないのかなってちょっと思った。

「成瀬、今明かりつけるから…」

スイッチに手を伸ばす腕を掴んで、後ろから陸を抱きしめる。

そういう行為をする時って普通、照明は消してすると思うんだけど、暗所恐怖症の陸を抱く時は照明はつけといていいんだろうか。

きっと明るい中でそういう行為をする事を陸は死ぬほど恥ずかしがると思うんだけど、その辺わかってるのかちょっと心配になる。

「な、成瀬?電気…つけてから」

「…目を瞑ってれば同じだろ。怖いか?」

探りを入れるように暗闇を怖がったらやめようと思いつつ、陸の腕を掴んでその場で押し倒した。

いや、いくら俺が鬼畜でもこんなとこでは抱かないけど、我慢のピークに達してるのでとにかく身体が勝手に動く。

何も言わずに唇を塞いで、もう誰も邪魔する奴もいないんだと思うともう止まらなくて、頭を固定して陸をその気にさせるような本気のキスをする。

「あ…んんっ、…ふぁ、なるせ、待って…」

「ごめん、待てない」

興奮してると陸が待ってと言ってもなかなか自制出来ない。

「な、るせ、待って、俺、ちゃんと準備…しないと」

「準備?」

俺が思ってるより陸は男同士に詳しい気がして、もしかしてって思ってた事が頭をよぎった。

時折感じる違和感を総合すると陸は元々、性の対象が男なんじゃないだろうか。

デリケートだから聞いていいか迷って、やっぱりやめておく。どっちでも俺が陸を好きなんだから関係ないし。

どっちかっていうと両刀の俺の方が陸は嫌じゃないだろうか。普通に女の子と付き合ってたしな…。

「成瀬もお風呂入ってからがいいでしょ…?」

電気がないとシャワーは使えないからここではお風呂に入れるし、もちろん入りたいけど。

一緒に入るのを断られた…。
なんでだよ。お風呂は2人で入るもんじゃないの?

お風呂の中であんな事やこんな事をしてるのを妄想してまたあそこが張り詰める。

陸が入ってる時にわざと入って行こうか?
いやだめだ、多分陸は俺を先に風呂に入らせるだろう。

陸は自分が入った後の風呂に他人を入らせるタイプでは絶対ないから、諦めるしかない。

いや、一度入って出た後、陸が入ってからまたわざと入っていってもいいんじゃ…。
いや理由づけが難しいな。

………どんだけ一緒に入りたいんだ俺は。

家中の電気を煌々とつけて陸の部屋に押し込まれて、陸は風呂を沸かしに行ってしまった。

陸の部屋は俺の部屋と違って物もごちゃごちゃしてないし綺麗に整頓されてて、俺は珍しくてあちらこちら見ながら歩き回った。

部屋の基調が青と白なのが、やっぱり陸の見た目がいくら女の子っぽくても中身は男なんだと納得する。

友達や家族と並んで写ってる写真も几帳面に写真たてに入れて飾ってて、少し幼い頃の陸もやっぱりものすごく可愛かった。

「成瀬、お風呂沸いたから入って…って、ちょ、人の部屋入ったらあちこち見るもんじゃないだろ!座っててって言ったのに!!」

「座っててなんて、陸、言ってなかったぞー」

「言ってないかもだけど!遠慮って言葉知ってる?成瀬」

振り返ると陸は部屋着なのか白のTシャツとハーフパンツを履いてて、いきなり露出が多くなっててちょっと目のやり場に困る。

「…おい、熱あるのにその格好はないだろ」

「え?だって暖房つけたから少しあったまったでしょ?俺、家の中では年中こんな格好だから他に着るもんないんだけど…」

うちの親父が年中タンクトップとトランクス履いてるのと同じ感覚だと思えばいいのか?
いや、全く思えないぞ。うん。

「成瀬のパーカーは洗って返すね?」

「ん?いいよ。別に洗わなくても」

「だめだよ。ちゃんと綺麗にして返すから」

陸がスリッパを履いてバスルームまでの廊下を歩いてる後ろ姿を見てるだけで、俺はこれからの展開を期待してしまう。

「お客さん用のバスタオル置いてあるから使って?」

「陸、やっぱ一緒に……」

「絶対、いやだ」

食い気味に断られた。
なんでだよ…風呂は2人で入るから楽しいんじゃん。違うの?

恋人同士がイチャコラする為に風呂はあるんじゃないのか!?って俺は心の中で叫んだ。
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