17 / 87
第二章
第17話 去りゆくものは切ないのです。
しおりを挟む
それからの日々は、穏やかに過ぎていき。
お昼寝にはつらい季節は過ぎ去って、日に日に床の冷たさを実感できるようになってきた。――ああ、もうすっかり秋なのね。
「……さみしいわ。これでしばらく、床でのうたた寝ともお別れね」
しんみり呟いてソファへと移動すると、ばりばり働いていた全員が一斉に手を止めた。刺すように冷たい視線を私に向けてくる。
「そもそも床で寝るんじゃないわよ!」
「すぐそこにソファがあるというのに。床に転がっていて、控えめに申し上げても庭に埋めたくてたまりませんでした」
「神聖な執務室を何だとお思いかっ」
メイベル、エリオット、そして変態過労死さんことハロルドから小言が降ってきて、首をすくめて耳を塞いだ。あーあー、何にも聞こえませんー。
……というか、責め立てられるのは理不尽だ。
床に転がっていたのにはちゃんと理由がある。冷たくて気持ちがいいから、だけではもちろんない。
唇を尖らせて反論しようとした瞬間、壁の鳩時計がくるっぽーと鳴いた。げっ。
「――さっ、休憩休憩!」
無表情ながらも高揚した声で叫び、エリオットが書類を投げ出した。机からこぼれ落ちた書類を拾い上げ、メイベルがひくひくと頬を引きつらせる。……はあ、今日もなのね。
ため息をひとつつき、ふかふかソファから腰を上げた。
本来ならソファを明け渡す必要なんてない。
私が寝っ転がって、エリオットが隣に座ったとしても、余りあるぐらいこのソファは広々してるのだ。――だが、しかし。
今日も今日とて、眦を吊り上げたメイベルがエリオットに食ってかかる。
「ちょっと、そこの給料泥棒っ。アンタ一日に何回休憩する気なのよっ?」
「天の声には逆らえません」
「鳩の声でしょーがっ」
やっぱりこうなるのね……。
この二人、飽きもせずに毎回毎回同じ内容で言い争うのだ。全く、おちおち昼寝もできやしない。
ハロルドは注意してくれないのかしら、と上目遣いに様子を窺うと、彼はなぜか前後にぐらぐらと揺れていた。……え、どしたの?
「あの……。ハロルド……?」
「寝てませんっ!!!」
カッと目を見開く。いえ、それは聞いてません。
呆気にとられていると、お茶菓子セットを絶賛広げ中のエリオットが肩をすくめた。
「ああ、コウモリは夜行性ですからね。この時間は眠くて堪らないのでしょう」
「あら。ハロルドはコウモリの獣人だったのね?」
道理で。
私は毎日のように執務室でお昼寝するけれど、彼の姿を見かけたのは片手で余る程度。宰相補佐なのにおかしいとは思っていたのだ。
隈のできた目元を必死で擦るハロルドに、慈愛の笑みを向けてみせる。
「無理しないで。さあ一緒に休みましょう? ぐうたらぐうたら、だらだらだ」
「喝ぁーーーーつ!!! 精霊よ悪霊から我を守りたまえ清めたまえ救いたまえ悪霊退散したまえまえーーー!!!」
……誰が悪霊よ。
可憐なお昼寝精霊リリアーナ、と呼んでくれてもいいぐらいなのに。崇め奉っても構わなくてよ?
「そのように有り難くない精霊は御免こうむります」
休憩を阻止しようとするメイベルと攻防戦を繰り広げながら、エリオットが失礼な口を挟んできた。すかさずメイベルがテーブルを片付けようとする。
その瞬間、エリオットが目にも留まらぬ速さで鞭を繰り出した。
――ピシッ!
「近寄らないでいただきたい。茶褐色第五号が我らの境界線です。ここから先は何人たりとも立入禁止」
おごそかに告げ、まるで線引きするようにソファの上にだらりと鞭を伸ばす。メイベルが真っ赤になって地団駄を踏んだ。
「ああもうっ。アンタの付属品は一体いくつあるのよ!?」
「七十と六あります。まだまだ増えます。そう、付属品とは無限大。限りなどないのです」
どこかで限った方がいいと思うけど。
胸の中でこっそり突っ込みつつ、普段のガイウス陛下の定位置で、今日はぽっかりと空いている赤いビロードの椅子に腰掛けた。執務机に頬杖をつき、仲がいいんだか悪いんだかわからない二人を見比べる。
――この宰相に関しては未だによく掴めない。
わかっているのはディアドラの兄(もしくは弟)であり、鞭とお茶菓子をこよなく愛する、といった程度だろうか。
いい機会なので尋ねてみると、エリオットは無表情に肩をすくめた。
「別に、愛しているのは鞭と菓子だけではありません。わたしはいわば愛の使者。基本、来る者拒まずです」
なかなかのドクズだった。
メイベルと二人で軽蔑の視線を向けたものの、エリオットは全く堪えた様子はない。ぱぱぱ、とクッキーを連続で口に放り込み、あっという間に飲み込んでしまう。
「菓子に限らず食べることは好きですし、鞭に限らず細くて長いものが好き、ということです。特に鞭はあの形がたまりません。わたしは蛇の獣人なので、どうしても細くしなやかなものに惹かれるのです」
「――ええっ? 蛇の獣人、って……。私はてっきり」
ディアドラと同じで、猫の獣人なのだと思っていた。
目を丸くしていると、真横から荒々しく書類の束を押しつけられた。ハロルドが険のある目で私を睨む。
「そこに座るのならば、ぐうたら姫様にも仕事を手伝っていただきたいっ。……全く、メイベル殿はこんなにも有能だというのに、主人である貴女ときたら」
ぶつくさ文句を言いつつも、考え込む私に律儀に説明してくれる。
「獣人は、父母どちらかの種を受け継ぎます。宰相殿は父君が猫、母君が蛇の獣人なのです」
「へぇ……。そうだったの」
感心しながらも、胸中に複雑な思いが溢れる。
獣人について――いや、そもそもランダールという国について、私はまだまだ知らないことばかりだ。これから一生この国で暮らすというのに、さすがにこのままでいいわけがない。
深々とため息をついて、大きな背もたれに体を預けた。
「……私、勉強不足だわ。もっときちんと学ばなくちゃね」
しんみり呟くと、全員が凍りついたように動きを止めた。信じられないものを見る目で私を見る。
真っ青になったメイベルが、いの一番に私に駆け寄った。
「――殿下っ。お加減が悪いのですね!? ああ、大変……! うわ言までおっしゃるなんて!」
「リリアーナ様は、熱があるときの方が正常なのですね」
「だ、大災害の前触れかもしれませんぞっ」
「…………」
見当違いの大騒ぎする一同に、心底あきれ返ってしまう。……全く。皆、私に対する理解が足りなさすぎよ?
きゅっと唇を引き結び、しかつめらしく全員を見回した。
「あのねぇ。私にだって、時には頑張らなくちゃいけないときがあるの。ランダールに嫁ぐと決めたとき然り、今回然り」
努力、気合い、根性。
どれも私とは縁遠い、ぞっとするぐらい嫌いな言葉だ。――けれど。
強い決意とともに、こぶしをぎゅっと握り締める。
「全ては心安らかに、一生楽しくのんびり過ごすため……! 私、見事やり遂げてみせるわ! だって今頑張りさえすれば、この先きっと薔薇色のぐうたら生活」
「さっ、仕事に戻りましょうか」
「賛成ー」
「異議なしですぞー」
最後まで聞きなさいよ。
ぷっとむくれつつも立ち上がり、執務机から退散する。
ふかふかソファへと戻る道すがら、再び空っぽになった赤い椅子を振り返った。誰にともなくぽつりとこぼす。
「……今日は、まだ一度も陛下にお会いしてないわ」
会ったところで、陛下は私に構わず仕事をしているだけだけれど。食事すら滅多に一緒に取れないけれど。
それでも、日に一度は陛下と言葉を交わさないと、なぜだか物足りなさを感じてしまう。すっきりしない気持ちになるのだ。
うじうじいじける私を見かねたのか、エリオットがあきれたような視線を向けてくる。
「仕方ないでしょう。これから迎える秋の収穫祭は、精霊に感謝を捧げるための、一年で最も重要な神事なのですから。無事終了するまでは、準備の視察やら何やらで陛下もお忙しいのですよ」
お昼寝にはつらい季節は過ぎ去って、日に日に床の冷たさを実感できるようになってきた。――ああ、もうすっかり秋なのね。
「……さみしいわ。これでしばらく、床でのうたた寝ともお別れね」
しんみり呟いてソファへと移動すると、ばりばり働いていた全員が一斉に手を止めた。刺すように冷たい視線を私に向けてくる。
「そもそも床で寝るんじゃないわよ!」
「すぐそこにソファがあるというのに。床に転がっていて、控えめに申し上げても庭に埋めたくてたまりませんでした」
「神聖な執務室を何だとお思いかっ」
メイベル、エリオット、そして変態過労死さんことハロルドから小言が降ってきて、首をすくめて耳を塞いだ。あーあー、何にも聞こえませんー。
……というか、責め立てられるのは理不尽だ。
床に転がっていたのにはちゃんと理由がある。冷たくて気持ちがいいから、だけではもちろんない。
唇を尖らせて反論しようとした瞬間、壁の鳩時計がくるっぽーと鳴いた。げっ。
「――さっ、休憩休憩!」
無表情ながらも高揚した声で叫び、エリオットが書類を投げ出した。机からこぼれ落ちた書類を拾い上げ、メイベルがひくひくと頬を引きつらせる。……はあ、今日もなのね。
ため息をひとつつき、ふかふかソファから腰を上げた。
本来ならソファを明け渡す必要なんてない。
私が寝っ転がって、エリオットが隣に座ったとしても、余りあるぐらいこのソファは広々してるのだ。――だが、しかし。
今日も今日とて、眦を吊り上げたメイベルがエリオットに食ってかかる。
「ちょっと、そこの給料泥棒っ。アンタ一日に何回休憩する気なのよっ?」
「天の声には逆らえません」
「鳩の声でしょーがっ」
やっぱりこうなるのね……。
この二人、飽きもせずに毎回毎回同じ内容で言い争うのだ。全く、おちおち昼寝もできやしない。
ハロルドは注意してくれないのかしら、と上目遣いに様子を窺うと、彼はなぜか前後にぐらぐらと揺れていた。……え、どしたの?
「あの……。ハロルド……?」
「寝てませんっ!!!」
カッと目を見開く。いえ、それは聞いてません。
呆気にとられていると、お茶菓子セットを絶賛広げ中のエリオットが肩をすくめた。
「ああ、コウモリは夜行性ですからね。この時間は眠くて堪らないのでしょう」
「あら。ハロルドはコウモリの獣人だったのね?」
道理で。
私は毎日のように執務室でお昼寝するけれど、彼の姿を見かけたのは片手で余る程度。宰相補佐なのにおかしいとは思っていたのだ。
隈のできた目元を必死で擦るハロルドに、慈愛の笑みを向けてみせる。
「無理しないで。さあ一緒に休みましょう? ぐうたらぐうたら、だらだらだ」
「喝ぁーーーーつ!!! 精霊よ悪霊から我を守りたまえ清めたまえ救いたまえ悪霊退散したまえまえーーー!!!」
……誰が悪霊よ。
可憐なお昼寝精霊リリアーナ、と呼んでくれてもいいぐらいなのに。崇め奉っても構わなくてよ?
「そのように有り難くない精霊は御免こうむります」
休憩を阻止しようとするメイベルと攻防戦を繰り広げながら、エリオットが失礼な口を挟んできた。すかさずメイベルがテーブルを片付けようとする。
その瞬間、エリオットが目にも留まらぬ速さで鞭を繰り出した。
――ピシッ!
「近寄らないでいただきたい。茶褐色第五号が我らの境界線です。ここから先は何人たりとも立入禁止」
おごそかに告げ、まるで線引きするようにソファの上にだらりと鞭を伸ばす。メイベルが真っ赤になって地団駄を踏んだ。
「ああもうっ。アンタの付属品は一体いくつあるのよ!?」
「七十と六あります。まだまだ増えます。そう、付属品とは無限大。限りなどないのです」
どこかで限った方がいいと思うけど。
胸の中でこっそり突っ込みつつ、普段のガイウス陛下の定位置で、今日はぽっかりと空いている赤いビロードの椅子に腰掛けた。執務机に頬杖をつき、仲がいいんだか悪いんだかわからない二人を見比べる。
――この宰相に関しては未だによく掴めない。
わかっているのはディアドラの兄(もしくは弟)であり、鞭とお茶菓子をこよなく愛する、といった程度だろうか。
いい機会なので尋ねてみると、エリオットは無表情に肩をすくめた。
「別に、愛しているのは鞭と菓子だけではありません。わたしはいわば愛の使者。基本、来る者拒まずです」
なかなかのドクズだった。
メイベルと二人で軽蔑の視線を向けたものの、エリオットは全く堪えた様子はない。ぱぱぱ、とクッキーを連続で口に放り込み、あっという間に飲み込んでしまう。
「菓子に限らず食べることは好きですし、鞭に限らず細くて長いものが好き、ということです。特に鞭はあの形がたまりません。わたしは蛇の獣人なので、どうしても細くしなやかなものに惹かれるのです」
「――ええっ? 蛇の獣人、って……。私はてっきり」
ディアドラと同じで、猫の獣人なのだと思っていた。
目を丸くしていると、真横から荒々しく書類の束を押しつけられた。ハロルドが険のある目で私を睨む。
「そこに座るのならば、ぐうたら姫様にも仕事を手伝っていただきたいっ。……全く、メイベル殿はこんなにも有能だというのに、主人である貴女ときたら」
ぶつくさ文句を言いつつも、考え込む私に律儀に説明してくれる。
「獣人は、父母どちらかの種を受け継ぎます。宰相殿は父君が猫、母君が蛇の獣人なのです」
「へぇ……。そうだったの」
感心しながらも、胸中に複雑な思いが溢れる。
獣人について――いや、そもそもランダールという国について、私はまだまだ知らないことばかりだ。これから一生この国で暮らすというのに、さすがにこのままでいいわけがない。
深々とため息をついて、大きな背もたれに体を預けた。
「……私、勉強不足だわ。もっときちんと学ばなくちゃね」
しんみり呟くと、全員が凍りついたように動きを止めた。信じられないものを見る目で私を見る。
真っ青になったメイベルが、いの一番に私に駆け寄った。
「――殿下っ。お加減が悪いのですね!? ああ、大変……! うわ言までおっしゃるなんて!」
「リリアーナ様は、熱があるときの方が正常なのですね」
「だ、大災害の前触れかもしれませんぞっ」
「…………」
見当違いの大騒ぎする一同に、心底あきれ返ってしまう。……全く。皆、私に対する理解が足りなさすぎよ?
きゅっと唇を引き結び、しかつめらしく全員を見回した。
「あのねぇ。私にだって、時には頑張らなくちゃいけないときがあるの。ランダールに嫁ぐと決めたとき然り、今回然り」
努力、気合い、根性。
どれも私とは縁遠い、ぞっとするぐらい嫌いな言葉だ。――けれど。
強い決意とともに、こぶしをぎゅっと握り締める。
「全ては心安らかに、一生楽しくのんびり過ごすため……! 私、見事やり遂げてみせるわ! だって今頑張りさえすれば、この先きっと薔薇色のぐうたら生活」
「さっ、仕事に戻りましょうか」
「賛成ー」
「異議なしですぞー」
最後まで聞きなさいよ。
ぷっとむくれつつも立ち上がり、執務机から退散する。
ふかふかソファへと戻る道すがら、再び空っぽになった赤い椅子を振り返った。誰にともなくぽつりとこぼす。
「……今日は、まだ一度も陛下にお会いしてないわ」
会ったところで、陛下は私に構わず仕事をしているだけだけれど。食事すら滅多に一緒に取れないけれど。
それでも、日に一度は陛下と言葉を交わさないと、なぜだか物足りなさを感じてしまう。すっきりしない気持ちになるのだ。
うじうじいじける私を見かねたのか、エリオットがあきれたような視線を向けてくる。
「仕方ないでしょう。これから迎える秋の収穫祭は、精霊に感謝を捧げるための、一年で最も重要な神事なのですから。無事終了するまでは、準備の視察やら何やらで陛下もお忙しいのですよ」
143
あなたにおすすめの小説
二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り
楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。
たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。
婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。
しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。
なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。
せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。
「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」
「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」
かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。
執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?!
見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。
*全16話+番外編の予定です
*あまあです(ざまあはありません)
*2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!
灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ?
天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?
【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。
王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。
教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。
惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。
簡単に裏切る人になんてもう未練はない。
むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる