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ぼくの楽しいハネムーン
第二十話
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ホテルに到着して部屋へ戻ると、替えの下着をバッグに忍ばせスパに向かう。
スパ用の水着はホテルが貸し出してくれるので、ぼくら宿泊客は身軽のまま脱衣室に向かえばいい。まさに至れり尽くせり、ホスピタリティーは最高だ。
「ほら。秋良色の水着があるよ。これを穿きな」
「うっ……はい」
伊織さんがぼく色と称するのは、ベビーピンクが愛らしいサーフパンツ。どうしてか薔薇のつぼみが刺繍されている。男物に? なぜだ……。
イタリアの温泉のような広々とした空間に、プールのようなバスタブやジャグジー、それにガラス張りの個室には星空のように幻想的なサウナもある。
「まず初めにどこから楽しもうか」
スパ内の中心に立ち周りを見渡すぼくに、伊織さんが優しく問いかけてくる。
「んーと、ええと……じゃあ、まずはサウナから」
「了解」
まるで天の川を歩いているような錯覚を覚える室内に入ると、サウナ特有の蒸した空気が肌に絡みつき、それと同時に肺のなかまで温めてくれるようだ。
大理石のベンチに腰かけ、ふうと息を吐いて伸びをする。
ぼくのとなりで伊織さんも同じように腕を伸ばすと、「秋良を啼かせる以外で汗をかくなんて非効率的だね」と、然もぼくを啼かせるコトが生き甲斐だとばかりの発言をする。
「ちょっと、やめてくださいよ。どうしてすぐに伊織さんは、話を卑猥なほうに持っていくんですか」
「うーん、思ったことを言っただけなんだけど、僕なにか間違ったこと言った?」
「……いえ、忘れてください」
伊織さんに正論を求めたのがそもそもの間違いだ。そろそろ出ましょうかと話を変え、ジャグジーに浸かりに向かうのだった。
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