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第一章 変貌
第十二話
しおりを挟む既読することはなかったもの、表示されている文を読んでしまう。
そこに書かれていた内容は『おはよう。寝坊してない? 昨日は藤隆がいなくて淋しかった』とある。途中までしか表示されておらずつづきが気になるが、それより気になることが周防にはあった。
きっとlineの送り主は彼の妹だろう。フランクな内容から身内であるのは一目瞭然。けれど果たして妹が兄を名前で呼び捨てるだろうか。
もちろん世の中には様々な家族の有り様はあるだろうが、少なくとも周防は一度として弟妹に呼び捨てにされたことはなかった。
しかも西園寺が不在で淋しいなどと、まるで恋人にでも向けるような言葉な気がしてならない。彼から聞く範囲で想像できる妹の性格であれば、あり得ない話でもないのか……。
間違いなく兄に依存しているのは確かなので、総合的に考えるならばブラコン気味な妹が寄こしたlineということになるが。
けれども周防はなぜかすっきりとしない、まるでのどにつかえた小骨のようなひっかかりが拭えず、いつまでもスマホのディスプレイから目が離せずにいた。
そんな周防の気配を感じたのか西園寺が目を覚ます。
「──おはよう。早起きだな、櫂」
「! あっ、ああ、うん。おはよう。あの、さ……lineきてるよ」
「あ? あ、ああ……すまん、着音で起こしたか」
「いや……」
それよりも先に目を覚ましていたし、表示された内容だけど読んでしまったしと、つづく言葉を心でつぶやく周防。微妙な空気を感じ取ったのか、西園寺はもう一度「すまん」と言い残すとスマホ片手にベッドを去る。
その様子をただ黙って見守るしかない周防、考えたくはないが彼の表情態度行動から嫌でも元彼を彷彿とさせるが、いや疑ってはいけないと自分を戒め目を伏せるのだった。
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