泣いて謝っても許してあげない

あおい 千隼

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第二章 耽溺

第二十一話

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 やっぱあれか。男だからかツボ押えてやがる。痒いとこに手が届くっつの? 的確なポジションに舌を這わされ早々に撃沈しそう。

 情けねえ。俺ただ「ううっ」やら「ああっ」なんて音稀のテクに声をあげさせられてるし。年下の男に翻弄されるなど初めての経験だ。けど悪くはねえな。

 ヤバい、そろそろギブだ。「ちょっ……もうやべ、出そ」と言ってみる。

「──んっ、いいですよ……イって」

 くぐもった声で喋られると、それだけでも気持ちがいい。なら遠慮なく───

「ううっ」

「──ご馳走さま」

 なんてことでしょう。しれっと言いやがって。のどが上下した。迷いなく飲むとか……。

「……お粗末さまでした」

 ああもう俺バカじゃねえの、もっと気の利いたこと言えって。

 柄にもなく照れまくる俺は両手で顔を隠す。ふふと笑う音稀に翻弄されつつ、いつもの主導権はどうしたよ俺と自分に言い聞かせ行動に移す。

「ごめ……男ってローション使うんだよな。悪りぃけど、そんな気の利いたモンねんだ」

 と謝りつつも今度こそ音稀のチノパンを脱がす。すると──

「ハンドクリームとかってありますか。なければ料理に使う油でも」

 ぐっ、どっちもねえ。けど、そっか、いいもの思いだした。言ってみる。

「元嫁の忘れ物だけど、ワセリン? だかならあるぜ」

 異常な乾燥肌だとかで、夏でも顔や腕に塗りまくるため常に二・三個は買い置きしていた。バックにも入れ持ち歩き、このあいだ金のことで書類を確認しろとやってきたとき腕に塗ってテーブルに置いたまま放置、忘れて帰ったという代物。

 ちなみに俺の部屋がエアコン効きすぎで乾燥するからとの処置だ。

 だが音稀からすれば、どうして別れた嫁が元夫の部屋にくるのかと不快に思ったようで、それまでにこやかだった顔から笑みがなくなり俺を見る目が若干冷たい。

 やべえ、もしかしなくても勘違いしてるか、弁解しねえと。焦り口をひらいたところで音稀が俺に抱きつき強引にキスをする。
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