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第二章 耽溺
第二十二話
しおりを挟む「──まだ奥さんのことが好きなんですか。もう別れたんでしょう、なのにどうして彼女の私物が部屋にあるのですか。おふたりは一将さんの浮気が原因で離婚されたんですよね、なのに別れた夫のマンションにあがり込むなんてどうかしてる」
キスが解け顔が離れると透かさず質問された。どう聞いても音稀の言葉は嫉妬だ、やべえ嬉し過ぎる。はやく誤解を解かなきゃなんねえのに、ぷくりと膨らんだ音稀の頬がリスみてえで可愛いニヤけちまう。
そろそろ本気でキレられては敵わねえ、事情を説明したうえで俺の今の気持ちを伝える。
「悪りぃ、俺いまニヤけてんだろ。音稀くんのヤキモチが嬉しくてさ。言い訳させてもらうと、確かに元嫁は部屋にきたけど一度きりだ。
金のことで不手際があったらしくてさ、通帳に金が振り込まれてねえって書類もって乗り込んできたんだよ。けどもう解決はしたし、二度とこの部屋には来ねえよ。
これからも子供とは面会するけど、だからといって元嫁とどうにかなるとか有り得ねえし。もう互いに進む道は違うんだ、これから俺の未来は好きなやつと歩いていきたい」
俺ゲイじゃねえと思うけど、でも音稀に対する気持ちは多分そうじゃねえかと思う。曖昧かも知んねえけど後悔はしたくねえから「俺さ、音稀くんのことが好きかも」と告ってみた。
すると音稀はあからさまにほっとした顔で「なんだ、よかった」とひと言。つづけて「僕も一将さんが好きです。もう知ってますよね」と笑う。
当然ながら俺に対する音稀の好意は初めて逢った日から気づいていた。それが嫌だとか不快だとか感じなかった時点で、俺も音稀のことを受け入れていたように思う。
つか男に欲情するわ、音稀に握られても萎えねえわで、考えりゃその時点で俺もゲイデビューしてんじゃねえか。でも俺の名誉のためつけ加えるが、ゲイなのは音稀専用ってことで。
見つめ合い笑いデコを重ねると、「じゃあ俺らつき合うか」と言ってみる。すぐに「はい。よろしくお願いします」と返事がもらえた。よっしゃ。
年甲斐もなく小躍りしそうな気持ちを抑え、「よろしくな」と想いを留めておく。そして「音稀と呼び捨てて欲しい」と言われ留めた思いが爆発、できたばかりの可愛い恋人を押し倒し──ワセリンを握りしめた。
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