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第二章 耽溺
第三十話
しおりを挟む「ふふ、ごめんなさい。だって一将さん、あまりにも必死なんだもの。ふふ、あはは。ごめ、ぷ、ふふ……ああ、可笑しかった」
つか、そんな笑うこたねえだろ。笑った意味を教えてくれんじゃねえのかよ。笑った意味が笑いそのものってオチとかだったら、目のまえのテーブルひっくり返すぞ。
恥かしいがぐっと堪え待つ。鼻の穴を広げ待つ。はやく言え。
「あのね。これ、ありがとう。それって同棲、ってことでいいのかな」
両手で鍵を包み込みながら上目づかいで俺に問う。
「ああ。俺と一緒に暮らして欲しい」
「嬉しい。もちろん僕も一将さんと一緒に暮らしたい」
「マジ? いいの? やった……やった!」
喜びと興奮のあまり音稀に抱きつき押し倒す。誓って言うが狙った訳じゃねえ、勢いあまって倒れ込んだってのが正しい。兎にも角にもやった、万事オッケー。俺勝利じゃん。
ってことで、せっかくのポジショニングを無駄にはできねえ。喜びを行動に現すのは男のたしなみだ、なぜか俺に組み敷かれる音稀を美味しく頂くことにした。
それからは計画的に行動した。
くだんのストーカー被害により音稀は大学にいくことも儘ならず、よって今は許すかぎり休学扱いとなっている。警察に訴えるも、男からの被害届は軽んじて受け取ってくんねえ。
一応の処置として名前の記入と、焼け石に水程度の巡廻の強化は約束してくれた。音稀の親も弁護士に相談し、ストーカー野郎の両親に被害に通告をしてもらったそうだ。
けど実際に危機的被害を被ったわけでもねえってんで、知らぬ存ぜぬで馬耳東風とのこと。被害なら大学を休学してる自体で被ってるだろ、じゃあ襲われろとでも言うのかよ。
ったく頭に来るぜ。理不尽このうえねえ。けど男と女じゃそれだけの差があるってこと、ようは性差別の変化球ってところか。ふざけんな。
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