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第三章 指切
第二十五話
しおりを挟む「なあ、もうやめとけよ。ンな苦しい想いなんて手放しちまえ。おまえをフルようなような野郎なんて俺が忘れさせてやるからさ。だから俺にしとけって、な」
粗野で乱暴な態度と言葉遣いだが、それでも一途が故の愛情が龍哉の言葉から溢れており、傷心する今の遥希には充分すぎるほどにメンタルが潤う。
失恋で弱った相手を絆し落とすのは容易い──女を惹きつけ籠絡するのに手段を選ばないホストの策が脳裡に浮かぶ。
ベタすぎる戦略を真面目にしかけてくるとは、ある意味で龍哉は大物かもしれないと可笑しく思う。涙に濡れる頬を緩めながら遥希は小さく笑う。
ああ、捕まっちゃったな。ったく……このひとには負けるよ。ホストがホストにゲスいテクで落とされるとか、俺も焼きがまわったのかもしんない。でも───
「俺を一番に考えてください。それから俺をあなたの彼女たちのヒエラルキーに加えるのは許さない、俺だけが特別だと約束してください」
龍哉の腕のなかで厚い胸に頬をよせながら遥希が誓約をつけていく。
すると、どうしたことか、龍哉の様子が変化する。それまでおとなしかった彼がひとり言のように「マジで?」「やった」「すげえ」とぶつぶつ、それから力をみなぎらせてガッツポーズ。
遥希をつよく抱きしめると、神に誓うように「ガチ約束するっ、うおっしゃっ! 遥希はお俺のもんだっ!」と天に向かって叫んだ。正しくは天井にだが。
ほんとうに嬉しそうな表情、満面の笑みを浮かべる龍哉が遥希と目線を合せてふたたび告白。
「ぜってえ大切にするからな。遥希、大好きだっ」
「ふふ、あたりまえです。大切にしてくれなかったら承知しませんよ?」
龍哉の背に腕をまわすと、遥希は念を押したあと彼にキスをするのだった。
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