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第三章 指切
第四十話
しおりを挟む正午からの挙式に間に合うよう完徹のまま式場に向かう遥希。所持するスーツはどれもホスト仕様の派手なものが多く、招待状が届いた後すぐにオーダーした。
遥希は身長こそ高いが肩幅が狭く腰が細い。既製品ではシルエットが崩れてしまって不格好なのだ。そこで知り合いの仕立て屋を介して、イタリアのテイラーメイドで世話になっている。
上品なネイビーのダブルスリーピースとベージュのシャツ。光沢のあるシルバーグレーのネクタイと対のポケットチーフ。同じ生地で仕立てられているが、ベストの色がグレーというのが遥希なりのお洒落だ。
英国式スタイルのスーツは痩身の遥希にとても似合っていて、すれ違いざまに女性がため息をこぼすほどに凛とした美しさだ。
あくびをかみ殺す遥希のとなりに、同じく眠そうな顔をした龍哉がタクシー後部座席を陣取っている。出発間際になり心配性の彼が「俺もいく」と言いだしたのだ。
そうはいっても龍哉は招待されていないではないかと断われば、終わるまで式場のカフェで待つと言い張り一歩も引かない。
もう時間もない。押し問答しても無駄だと悟った遥希、「わかった。はやく仕度して」と了承するしかなかった。
式場につくとドレスに身を包む女性やシックなスーツで決める男性参列者でひしめき、そのなかへ遥希は孤軍で乗り込んでいく。宣言通り龍哉はロビーのカフェで待機する。
指示どおり一大の挙式が催される会場に向かう。すると懐かしい顔ぶれに声をかけられ、彼らのグループに加わり一行をともにした。
「──久しぶりだな、相楽。元気にしてたのかよ」
「ああ、なんとかね」
遥希に声をかけるのは、中高と同じ部活で汗を流したクラスメイトの太田 嘉彦だ。
遥希は高校陸上の短距離でパートリーダーを務め、彼にはメニューなど考えるのを手伝ってもらったりと一番長く時間を過ごしていた。だが彼は他県の大学に進学したこともあり、今日まで疎遠になっていだのだ。
太田が声をかけたことで周りの空気が柔らかくなり、そわそわと声をかけるタイミングをうかがっていた女性たちが挙って遥希に声をかける。
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