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第三章 指切
第五十三話
しおりを挟むひとり帰途に就こうと足を進めたところで、後輩ホストの純平が追いかけてきて遥希に声をかける。
「遥希さん。俺も途中までいっすか」
くりくりとした猫目が印象的な母性本能をくすぐるタイプの純平が、遥希のとなりに陣取ると顔をのぞき込むようにして帰宅の便乗を求める。
目を瞠る遥希。すぐに微笑むと純平に返す。
「なに気を遣ってるんだよ、後輩に心配されるほど俺は子供じゃない。それに純平のアパートって逆方向だろう、遠まわりしてないでさっさと帰っておとなしく寝な」
「あー、そうでしたっけ? てかさっき遥希さん言ってたじゃないですか、帰ったら筋トレしろって。だからウォーキングでもしようかと思って」
丁重に断ったつもりだったが、からからと笑いながら純平はそれを拒否。毒気を抜かれた遥希はもう断る理由がでてこず、「じゃあ純平の健康に貢献してやるか」と肩を並べた。
龍哉との関係は表沙汰にはなっていないが、後輩ながら頼り甲斐のある忠犬属性の純平にはつき合っていることを伝えてある。当然ながら同棲してることも打ち明けた。
くだんの傷害事件は高峻どまりで他の者には知られていない。だから純平は遥希と龍哉のすれ違いを知るところではないはずだが、けれどふたりの様子に思うところがあったようだ。
もとより人懐っこく情に篤い温厚な性格をした純平。態度には現さないが遥希の淋しさを感じ取り、持ち前の世話焼き魂に火がついた。瑣末な話から徐々に本題に首をつっ込む。
「──聞いてもいいか分かんねっすけど、ほら俺って溜め込むのって苦手なんで。最近ちょっとあれ? って感じたんでぶっちゃけて訊きます。龍哉さんと何かありました?」
今しがたまで理想な女の胸のサイズを熱弁していたかと思えば、単刀直入に龍哉とのことを訊かれて面を喰らってしまう。
ああ、なるほど。それを訊くために連れ立ったというわけか。
腑に落ちると今度はお節介な後輩に呆れと感謝が生まれる。どれだけ不甲斐ないのだろう、先輩として情けないと恥ずべきことだ。苦笑しながら説明をする。
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