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第三章 指切
第五十四話
しおりを挟む「悪いな、純平には心配をかけっぱなしで。うん……よく、はない。というよりか、もう俺には気持ちがないかもな。けどそれは龍哉が悪いわけじゃない、俺の責任だから」
「だからさ、もう──」訊かないでくれと言いかけて、話し終えるまえに意識は第三者の許に向かう。
「遥希……誰だよ、その男」
遥希の話を遮り意識を奪ったのは一大だった。
どこから現れたのか遥希と純平も気がつかず、声をかけられ息を呑むほどに驚く。まえを立つ一大はどこか疲れたように頼りなく、覇気を感じられずにひとが変わったようだった。
何日も着替えてないといった印象に見て取れるくたびれたスーツ、血色が悪く目の下にはクマもできている。鍛え引き締まった体格のいい男だが、けれど今はげっそりやつれて見る影もなかった。
険しい表情で返事を待つ一大に遥希がつぶやく。
「一大……どうして……どうして」
「いいから俺の質問に答えろっ、そいつは誰なんだっ!」
戸惑う遥希には構わず、尚も一大となりに立つ純平の素性を問い質す。どうやら一大は純平を遥希のあらぬ関係だと勘違いしてるようだ、龍哉以外にも男がいるのかと激昂している。
それは彼の表情から手に取るように読み取れた。
一大の存在は知らないが、けれど勘のいい純平は聡悟した。やれやれ面倒だと思うもの、ここは関係を明かさないと後々ややこしくなると考えた純平、ならば先制をと口をひらく。
「あーっと、その。俺は遥希さんと同じ店で働いてる後輩でして、あなたが考えているような間柄じゃないっすよ。いつも遥希さんは仕事終わりに俺ら後輩たちに飯おごってくれるんす。
今日はたまたま俺がこっちのほうに用事があったんで、同じ方向に家がある遥希さんにくっついて歩いてたっつか。とにかく俺と遥希さんは何でもないんで」
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