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里親さがし〜母猫から託されたいのち〜

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7月なかばのこと。
子猫を保護した。
自分の死期をさとった母猫が、死力を尽くして運んできたのだ。
『そうとしか考えられないよ』
後に、義母からそう言われた。
情報提供してくださったご近所さんにも同じことを言われた。
私も、おそらくその通りだったのだと
今は思う。

なぜなら子猫を見つけた場所は、
わが家の庭の
道具置き場にしている軒下の一角だったのだから。
そこなら雨に濡れにくい。

雨続きだったころで、
あたりは暗くなりかけていた時分。
小さな毛玉が三つ。
ひとかたまりになって、ふるえながら
ミュウミュウ鳴いていた。

母猫の姿はなかった。

『すぐ近くに子猫が居るよ、助けてあげてよ』
と言うように
ニャンニャン鳴いて私に知らせてくれたのは
うちの猫たちだ。
ほんとに近くで儚い鳴き声がするものだから
傘をさして庭へ出てみた。
そしたら、居た。
小さな毛玉が三つ。
ひとかたまりになって
ふるえながらミュウミュウ鳴いて。

『こんなところに居たら死んでしまうよ。
お母さんはどうしたの?』
聞いたところで、子猫たちは鳴くばかり。
だいぶ弱っていたようで、逃げようともしない。

三匹まとめて抱き上げた。
三匹まとめて、両手にすっぽり収まった。
保護した当初の青ミーよりも、もっと小さかった。

家に入ると早速
古タオルにくるんでからだを拭いた。
それからわが家の猫たちのカリカリ(乾燥フード)に
ミルク状になるまでぬるま湯を加え、
トロトロにしたものを与えた。
子猫たちはむさぼるように食べた。
おなかいっぱいになったら安心したのか
ぐっすり眠ってしまった。

とりあえず、青ミーを保護したころ使っていた鳥かごに
タオルを敷いた空き箱を入れて寝かせた。
小さな空き箱一つに三匹を、
余裕で寝かせることができた。

翌日。
ミュウミュウミャーミャー、ミュウミャー。
昨日とは打って変わってめちゃくちゃ元気な鳴き声に起こされた。
時刻は4時ごろ。まだ夜明け前。
お乳がほしいのだ。
だけどわが家に子猫用のミルクは無い。
なのでその朝もトロトロにしたフードを食べさせた。
次に、排泄介助。
湿らせたコットンパフで、お尻を撫でてあげる。
そうすることで、赤ちゃん猫はオシッコやウンチを出す。

その後、ぬるま湯で初シャンプー。
イヤがりもせず、されるがままの子猫たち。
とても可愛い。

それから
うちの子たちのかかりつけの獣医さんへ連れて行き
ノミ・ダニ駆除と虫下し薬投与。

そしてそれから
子猫たちがもともと居た場所(生まれた場所)と
母猫の情報を求めるため
ご近所の方々に聞き込みを開始した。

(次の日記につづきを書きます)
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