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1.アルファのようなオメガ
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「理央はただでさえ暁としての血が濃い。一族、ひいては一般人をも惹き付ける。アルファでありながら、オメガの中のオメガのようなものだ。上等なオメガを欲しがるアルファは山程いる。しかも暁の後継だ。これがどういうことかわかるか、大和」
暁を欲しがる家は無数に存在している。
考えただけで恐ろしい。
「理央様は、俺がお護りします」
そう告げて頭を下げた俺に、理聖様は「耐えられるか」と静かに問う。
「抑制剤がありますから、」
「そうではなく」と理聖様が俺の言葉を遮った。
「番えるオメガが目の前にいて、だがお前は絶対に番にはなれない。暁と剱では互いの特性を殺す。後継が生まれなくなるからだ。必然的に理央には別のアルファがあてがわれる。そこまではいいとしても、お前は理央の番がアルファのオスで納得できるのか。オメガの理央を許せるか?もしも、理央がお前の運命だったとしても?」
言われて呆然とした。
運命云々の確率話はどうでもいい。
理央が、アルファメールと番うという可能性にぞっとする。
吐き気がした。
落ち着こうと、拳を握り締める。
純粋で美しく、高潔で気高い俺の主。
その理央が、アルファとはいえ、全くの他人に所有されるなど。
「……今は、……答え、られません。考えてみます。少し、時間をいただけませんか」
それが俺の精一杯の答えだった。
暁本家を出て理央の邸に戻り、ティーセットを片手に理央の部屋を訪れた。
形だけのノックをして、ドアを開ける。
「お茶を、理央」
「ああ」
「……今朝は失礼しました」
「もういい」
俺は理央の部屋に自由に入ることを許されていた。
部屋だけでなく、寝室のカードキーも渡されている。
タブレットから暁のデータベースを眺め、人事資料に目を通す理央の横顔を見つめた。
「……バース性の話、理聖様から聞きました」
「ああ。オメガだった。笑える話だ」
「抑制剤があります」
「そんなことはわかってんだよ。だが今の婚約は破談になる。面倒なことに変わりはない」
デスクにソーサーを置き、温めたカップに紅茶を注いだ。
「大した問題ではないでしょう」
「だが暁の次期当主がオメガってのはいいゴシップだ」
「理央が俺の主人であることに変わりはありません。俺がお護りします。……必ず」
いつもなら一つ落とすシュガーキューブを入れずに、理央はティーカップを持ち上げ、口に運ぶ。
俺はその薄い唇を無心で見つめた。
「……それは」と理央がカップの中を見つめながら呟く。
「俺が他のアルファの番になってもか」
「……理央」
理聖様と同じ言葉を紡ぐ理央に戸惑いを隠せなかった。
「現実問題として。オメガのオスはメスと変わんねーんだよ。実際アルファのオスと番うほうがうまくいく。アルファのメスと番うのはレアケースだ」
「……俺は、許されるならば……理央の側に居たいと思っています」
「そうか」と呟いて、理央がソーサーにカップを置く。
ティーカップを離した細い指がシュガーポットの蓋を持ち上げた。
「お前はアルファだろう、剱」
「はい」
理央が落としたシュガーキューブが沈んでカップの底で形を崩してゆくのを眺めながら、そこに紅茶を注ぐ。
理央が好むアールグレイの香り。
「……俺がオメガでも、お前は何も思わないのか」
「どういう意味ですか、?」
「何でもない、……忘れろ」
「理央、」
ティーカップに唇を付け沈黙した理央に、俺はそれ以上何も訊くことができなかった。
暁を欲しがる家は無数に存在している。
考えただけで恐ろしい。
「理央様は、俺がお護りします」
そう告げて頭を下げた俺に、理聖様は「耐えられるか」と静かに問う。
「抑制剤がありますから、」
「そうではなく」と理聖様が俺の言葉を遮った。
「番えるオメガが目の前にいて、だがお前は絶対に番にはなれない。暁と剱では互いの特性を殺す。後継が生まれなくなるからだ。必然的に理央には別のアルファがあてがわれる。そこまではいいとしても、お前は理央の番がアルファのオスで納得できるのか。オメガの理央を許せるか?もしも、理央がお前の運命だったとしても?」
言われて呆然とした。
運命云々の確率話はどうでもいい。
理央が、アルファメールと番うという可能性にぞっとする。
吐き気がした。
落ち着こうと、拳を握り締める。
純粋で美しく、高潔で気高い俺の主。
その理央が、アルファとはいえ、全くの他人に所有されるなど。
「……今は、……答え、られません。考えてみます。少し、時間をいただけませんか」
それが俺の精一杯の答えだった。
暁本家を出て理央の邸に戻り、ティーセットを片手に理央の部屋を訪れた。
形だけのノックをして、ドアを開ける。
「お茶を、理央」
「ああ」
「……今朝は失礼しました」
「もういい」
俺は理央の部屋に自由に入ることを許されていた。
部屋だけでなく、寝室のカードキーも渡されている。
タブレットから暁のデータベースを眺め、人事資料に目を通す理央の横顔を見つめた。
「……バース性の話、理聖様から聞きました」
「ああ。オメガだった。笑える話だ」
「抑制剤があります」
「そんなことはわかってんだよ。だが今の婚約は破談になる。面倒なことに変わりはない」
デスクにソーサーを置き、温めたカップに紅茶を注いだ。
「大した問題ではないでしょう」
「だが暁の次期当主がオメガってのはいいゴシップだ」
「理央が俺の主人であることに変わりはありません。俺がお護りします。……必ず」
いつもなら一つ落とすシュガーキューブを入れずに、理央はティーカップを持ち上げ、口に運ぶ。
俺はその薄い唇を無心で見つめた。
「……それは」と理央がカップの中を見つめながら呟く。
「俺が他のアルファの番になってもか」
「……理央」
理聖様と同じ言葉を紡ぐ理央に戸惑いを隠せなかった。
「現実問題として。オメガのオスはメスと変わんねーんだよ。実際アルファのオスと番うほうがうまくいく。アルファのメスと番うのはレアケースだ」
「……俺は、許されるならば……理央の側に居たいと思っています」
「そうか」と呟いて、理央がソーサーにカップを置く。
ティーカップを離した細い指がシュガーポットの蓋を持ち上げた。
「お前はアルファだろう、剱」
「はい」
理央が落としたシュガーキューブが沈んでカップの底で形を崩してゆくのを眺めながら、そこに紅茶を注ぐ。
理央が好むアールグレイの香り。
「……俺がオメガでも、お前は何も思わないのか」
「どういう意味ですか、?」
「何でもない、……忘れろ」
「理央、」
ティーカップに唇を付け沈黙した理央に、俺はそれ以上何も訊くことができなかった。
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