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4.抗う術
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白い項が殊更血管を浮き上がらせ、興奮による体温上昇により首筋まで充血して赤かった。
自分のものにしろと頭の奥で本能が囁く。
……二条が理央なら、噛み付いていた。
浴室を出て理央の部屋に向かう前に厨房に寄った。
「宮野」
「はい」
「理央様の食事は」
「お出ししましたが一切手をつけられませんでした」
「……一切?」
「はい。お陰でメイドの賄いです」
溜め息を吐き、理央の好きなものを選んで食事を用意した。
サーモンをバターでソテーしてレモンを搾る。
「三十分経ったらティーカップを温めておいて」
「はい、わたしが」と答えたメイドに目をやる。
以前、一度抱いたことを思い出した。
ちょうどいい。
今日は二条のヒートにあてられたせいでいまだに胃の辺りが浮わついている心地がする。
また相手をしてもらおうと自分勝手に決めた。
「入ります、理央」
ノックしてキーを挿し込み、ドアを開けた。
「……遅い」
「申し訳ありません」
ダイニングのカウンターテーブルに皿をのせる。
だが理央は動く気配がない。
理央のデスクに足を向けた。
足下に膝をつき、理央の手を取る。
手首と手のひらに口付け、理央を見上げた。
「……何があった」
「……」
「剱」
「……二条が突然ヒートに入りまして、……対応に手間取りました。申し訳ありません」
眉を寄せた理央が拳を握り締め、俺は目を閉じて歯を食い縛った。
予想通りの衝撃に眼帯が解けて床に落ちる。
それを冷静に眺めていた。
「……俺より二条を優先したのか。ふざけるなよ」
「……申し訳ありません。しかし、放置するわけにもいかないと判断しました」
それしか言えなかった。
何を言おうと言い訳にしかならない。
「何をした」
「……抑制剤を飲んでくれなかったので口移しで飲ませました。それだけです」
妬いてくれているのかと一瞬考え、いや、二条、ひいては別のオメガの存在が気に障るだけだと思い直した。
床に落ちた自分の血液を眼帯で拭く。
手の甲で生温い口元を拭った。
治りかけていた傷が開いたのだろうとぼんやりと考える。
「……」
沈黙してしまった理央の手を握った。
口付けては俺の血液で汚してしまう。
「理央、……食事を摂ってください。……俺が作りましたから」
「……どうして、……」
「……?、理央、」
「……悪かった」
俺の切れた口端を理央の白く細い指が拭った。
後頭部を抱き寄せられて戸惑う。
嗚呼。
先日も似たようなことがあった気がする。
「……理央、服を汚してしまいます」
「すまない、……剱」
「……理央は何も、悪くありません。謝らないでください」
理央は俺の傷に唇を押し付けた。
「俺が悪い、……。お前が二条に触れたと思うと腹が立つ」
俺の血液が理央の唇を赤く染める。
自分のものにしろと頭の奥で本能が囁く。
……二条が理央なら、噛み付いていた。
浴室を出て理央の部屋に向かう前に厨房に寄った。
「宮野」
「はい」
「理央様の食事は」
「お出ししましたが一切手をつけられませんでした」
「……一切?」
「はい。お陰でメイドの賄いです」
溜め息を吐き、理央の好きなものを選んで食事を用意した。
サーモンをバターでソテーしてレモンを搾る。
「三十分経ったらティーカップを温めておいて」
「はい、わたしが」と答えたメイドに目をやる。
以前、一度抱いたことを思い出した。
ちょうどいい。
今日は二条のヒートにあてられたせいでいまだに胃の辺りが浮わついている心地がする。
また相手をしてもらおうと自分勝手に決めた。
「入ります、理央」
ノックしてキーを挿し込み、ドアを開けた。
「……遅い」
「申し訳ありません」
ダイニングのカウンターテーブルに皿をのせる。
だが理央は動く気配がない。
理央のデスクに足を向けた。
足下に膝をつき、理央の手を取る。
手首と手のひらに口付け、理央を見上げた。
「……何があった」
「……」
「剱」
「……二条が突然ヒートに入りまして、……対応に手間取りました。申し訳ありません」
眉を寄せた理央が拳を握り締め、俺は目を閉じて歯を食い縛った。
予想通りの衝撃に眼帯が解けて床に落ちる。
それを冷静に眺めていた。
「……俺より二条を優先したのか。ふざけるなよ」
「……申し訳ありません。しかし、放置するわけにもいかないと判断しました」
それしか言えなかった。
何を言おうと言い訳にしかならない。
「何をした」
「……抑制剤を飲んでくれなかったので口移しで飲ませました。それだけです」
妬いてくれているのかと一瞬考え、いや、二条、ひいては別のオメガの存在が気に障るだけだと思い直した。
床に落ちた自分の血液を眼帯で拭く。
手の甲で生温い口元を拭った。
治りかけていた傷が開いたのだろうとぼんやりと考える。
「……」
沈黙してしまった理央の手を握った。
口付けては俺の血液で汚してしまう。
「理央、……食事を摂ってください。……俺が作りましたから」
「……どうして、……」
「……?、理央、」
「……悪かった」
俺の切れた口端を理央の白く細い指が拭った。
後頭部を抱き寄せられて戸惑う。
嗚呼。
先日も似たようなことがあった気がする。
「……理央、服を汚してしまいます」
「すまない、……剱」
「……理央は何も、悪くありません。謝らないでください」
理央は俺の傷に唇を押し付けた。
「俺が悪い、……。お前が二条に触れたと思うと腹が立つ」
俺の血液が理央の唇を赤く染める。
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