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14.『大丈夫だ』
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しおりを挟む「…なんだ」
「ヒートが近いでしょう。普段よりも甘い薫りが強いです。一応、飲んでおいて下さい」
「…」
無言で抑制剤を受け取り、ため息を吐きながらシートから錠剤を取り出す理央の髪に触れたが、理央は拒否するどころか甘える猫のように俺の手に頬を押し付ける。
「…理央、」
「っん、」
堪らなくなって口付けた。
「かわいい、」
「…あ、っ、」
グラスが落ちて微かな音と共にラグに水をぶちまける。
軋むほど、華奢な身体を抱き締めた。
唇を離し、制服のシャツの上から触れただけで膨れているのがわかる乳首を指先で撫でる。
「は、…理央、」
「やまと、…っ離し、…っ、」
「…そんな顔、お相手に見せてはいけませんよ」
「っ関係無いだろ、お前には」
「理央」
震える理央の手に口付けた。
舌先で指を辿り、開いた手のひらの上の白い錠剤を唇で挟む。
今にも涙がこぼれ落ちそうなほど潤んだ目を、理央は咄嗟に伏せた。
「…ッン、」
細い顎を掴んで口付けて、抑制剤を理央の口に押し込む。
飲み下したのを確認して抱き寄せ、シャツの裾から手を入れて直に胸に触れた。
「関係あるでしょう」
「やめ、…っあ、」
膨れて尖った胸の先端を挟んで擦る。
「駄目ですよ、その顔は俺の前でだけです」
「…っ離し、離せ、っ、」
「理央」
「っわかっ、…っわかった、から…っ、」
「…本当に、?」
「しない、っほんとに、」
唇を震わせて俺から目を逸らし、俯く理央を思わず抱き締めた。
「…好きです、理央、」
「剱、」
「名前を」
「…大和、ッン、」
俺の名を紡ぐ薄い唇を塞いだ。
エスカレートしているのはわかっている。
それでも俺は日に日にオメガらしさを増してゆく理央に触れたかった。
※
ホテルのフロントで男が頭を下げる。
「伊関雅也です。理央様とは何度か、お会いさせていただきました」
「お久しぶりです、伊関様」
頭を下げる理央を、伊関雅也の隣に立つ伊関利也は呆然と眺めていた。
「本日は私の我が儘をきいていただき、誠に有り難う御座います」
「伊関様にはお世話になっておりますので。これからもよりよい関係をと、父も望んでおります。自分はまだ学生の身。父と違い、至らぬ点も多いと思いますが、宜しくお願い致します」
「顔をお上げ下さい。こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。こちらが息子の利也です。利也、理央様にご挨拶を」
惚けたように口を開け、理央に魅入る伊関利也の背を、父の雅也が手のひらで叩く。
「…っ伊関利也と申します。理央様のお噂はかねがね、…」
「利也!」
失礼とも取れる息子の言葉に雅也が慌てた様子で名を呼んだが、理央は気にする様子もなく、「悪い噂でなければよいのですが」と微笑んで見せた。
「も、勿論!いいものです」
「そうですか、安心しました」
頭痛を耐えるように額に手を当てる父親に気付きもせず、利也は舞い上がっている様子だ。
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