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17.何も感じなかった
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大事をとって神木を呼んで紫香楽に連絡し、それから風紀に通報した。
液体が揮発性であることも考え、多目的フロアを出て階段へ出てから理央をおろし、被せていた自分の制服を取る。
「理央、何も吸っていませんね?」
「…?、ああ、」
「遅くなって申し訳ありません…」
「一人でなんとかなったと思うが、」
階下へ下り、エレベーターのボタンを押した。
「誘発剤を使われれば終わりです。あれは安物の方でしたので抑制剤で抑えられたかもしれませんが、…それでももっと気を付けて下さい、」
「避妊薬は飲んでるし、チョーカーもしてる」
「…本気で言っているんですか」
気付けば理央の肩を掴んでいた。
「…っ、」
「こんな下らないことで、あんな連中に抱かれてもよかったと?…冗談でも許せませんよ、俺は」
「そうは言ってねーだろ。けど俺は男だし、そこまで気にする必要は――」
理央の口端の血液を親指の腹で拭う。
「気にして下さい。あなたはオメガである事実をもっと、…真剣に受け止めるべきです。…ご自分を大切になさって下さい。あなたが許すとしても、俺は絶対に許しませんので」
「…」
沈黙した理央の背を手のひらで押し、到着したエレベーターに乗って一階へ下りた。
横を歩く理央は酷く疲弊して見える。
心中で自分の愚鈍さを罵りながら、既に正門前に停車している車の後部ドアを開けた。
運転席の神木を目で確認して理央の手を引き、後部座席に乗せる。
「主治医に連絡しましたので確認を」
「かしこまりました」
俺の手を離さない理央の髪を手のひらで撫で、目を閉じた理央の瞼に口付けた。
「…剱、」
「後処理が終わったら戻りますので」
そう告げて手を離し、ドアを閉める。
車を見送り、先程から五月蝿く震えている携帯端末を手にとって通話をタップした。
「…はい」
『何があった』
苛立ちを隠さずに話す吉良に苦笑する。
「理央様は一応ご無事でしたのでご安心を。少々の怪我は御座いましたので大事をとって神木の医師を呼びましたが」
『…それで』
「二条弟と、南、矢田です。風紀に連絡しましたので回収されているとは思います」
『ああ、それなら保健室で治療した後生徒会室に連れてくるよう手配した』
「事情を聞き次第、退学していただきます」
『落ち着け。お前も一先ず生徒会室に来い』
「主人に傷を付けられました。許すつもりはありません。ああ、それから、会長」
『なんだ』
生徒会室へ足を向けながら、冷静に現状を反芻した。
「…二条兄はそこにいらっしゃいますか?」
『いない。…弟はいるが』
「でしたら弟は風紀に預けて、兄を喚んでおいて下さい。確認したいことがありますので」
『…いいだろう。ゆっくり来い』
液体が揮発性であることも考え、多目的フロアを出て階段へ出てから理央をおろし、被せていた自分の制服を取る。
「理央、何も吸っていませんね?」
「…?、ああ、」
「遅くなって申し訳ありません…」
「一人でなんとかなったと思うが、」
階下へ下り、エレベーターのボタンを押した。
「誘発剤を使われれば終わりです。あれは安物の方でしたので抑制剤で抑えられたかもしれませんが、…それでももっと気を付けて下さい、」
「避妊薬は飲んでるし、チョーカーもしてる」
「…本気で言っているんですか」
気付けば理央の肩を掴んでいた。
「…っ、」
「こんな下らないことで、あんな連中に抱かれてもよかったと?…冗談でも許せませんよ、俺は」
「そうは言ってねーだろ。けど俺は男だし、そこまで気にする必要は――」
理央の口端の血液を親指の腹で拭う。
「気にして下さい。あなたはオメガである事実をもっと、…真剣に受け止めるべきです。…ご自分を大切になさって下さい。あなたが許すとしても、俺は絶対に許しませんので」
「…」
沈黙した理央の背を手のひらで押し、到着したエレベーターに乗って一階へ下りた。
横を歩く理央は酷く疲弊して見える。
心中で自分の愚鈍さを罵りながら、既に正門前に停車している車の後部ドアを開けた。
運転席の神木を目で確認して理央の手を引き、後部座席に乗せる。
「主治医に連絡しましたので確認を」
「かしこまりました」
俺の手を離さない理央の髪を手のひらで撫で、目を閉じた理央の瞼に口付けた。
「…剱、」
「後処理が終わったら戻りますので」
そう告げて手を離し、ドアを閉める。
車を見送り、先程から五月蝿く震えている携帯端末を手にとって通話をタップした。
「…はい」
『何があった』
苛立ちを隠さずに話す吉良に苦笑する。
「理央様は一応ご無事でしたのでご安心を。少々の怪我は御座いましたので大事をとって神木の医師を呼びましたが」
『…それで』
「二条弟と、南、矢田です。風紀に連絡しましたので回収されているとは思います」
『ああ、それなら保健室で治療した後生徒会室に連れてくるよう手配した』
「事情を聞き次第、退学していただきます」
『落ち着け。お前も一先ず生徒会室に来い』
「主人に傷を付けられました。許すつもりはありません。ああ、それから、会長」
『なんだ』
生徒会室へ足を向けながら、冷静に現状を反芻した。
「…二条兄はそこにいらっしゃいますか?」
『いない。…弟はいるが』
「でしたら弟は風紀に預けて、兄を喚んでおいて下さい。確認したいことがありますので」
『…いいだろう。ゆっくり来い』
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