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17.何も感じなかった
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しおりを挟むワゴンを戻し、メイドに昼食の皿を下げるよう告げる。
それから理央を寝室のティーセットの椅子へと案内し、紅茶をティーカップに注いだ。
「…大和」
「はい」
「どうした」
「…いえ、しばらく、…生家に戻ることになりますので…場合によっては、自分は剱から外されるかもしれません。…ので、少し、自分に時間をいただけたらと」
俺の言葉に答えるように、理央が俺に手を差し出す。
膝をつき、甲と、手首に口付けた。
「今回のこと、元はといえば俺の勝手だ。何かあると予想はしてたが、… 伊関の件みてーなことを斡旋してる連中が条世にもいるという話を聞いてたんで敢えてノッた。…結果、お前を巻き込むことになった、済まない。世護さんにもそう伝えてある。…心配するな」
「…、有り難う御座います」
まだ、剱としてお仕えさせていただけるのだと、安堵に息を吐く。
だが、それでもあまりにも。
「そんな顔をするな。言いてーことがあるならはっきり言え」
「…、差し出がましいとわかっていますが、…ご自身を餌に雑魚を釣るような真似は、お止め下さい。…俺はあなたに、傷ひとつ、負わせたくありません」
理央の白い手のひらが俺の頬に触れ、その細い指が眼帯の帯を絡め取った。
それから俺の手のガーゼをゆっくりと押さえる。
「…俺もお前にこんな怪我をさせるつもりは無かった、…」
「っ、俺のことなど…、ご自身の心配を先に――」
「俺はお前が大切なんだよ。それに、お前が俺以外の傷を付けているのは面白くない」
微かに笑って、ガーゼの上から俺の傷に口付ける理央が愛おし過ぎて息苦しさを覚えた。
「…、俺は、…理央に傷を付けられたことが許せません」
「…そうか」
「…好きです、理央。あんな連中に、…好きにさせないで下さい」
「……あぁ」
どうしてそんな顔をされるのか。
何もかも諦めたような顔を。
「理央、…俺の好意などでは、…あなたを満たせないことはわかっていますが、…あなたはとても魅力的なオメガです。伊関も、吉良も、…誰でも、あなたに惹かれる。本当です、…信じて下さい、」
許されるものならば、俺も。
(理央を番にしたい)
「…信じてるよ」
信じているなら俺を見てくれと祈った。
だが理央は俺を見ずに、ただ俺の手を撫でる。
「…理央、」
「お前は剱だ。嘘を言える筈もない…」
ならばどうして、そんな顔を。
皆、美しい理央を手に入れようと必死だ。
理央は選ぶ立場にいる。
(あなたが望めば、誰だって喜んであなたの番になる)
理央ほどのオメガなどどこにもいない。
自信を持っていい筈だ。
「…好きです、理央」
「…一緒に寝てくれ、…今日は疲れた」
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