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17.何も感じなかった
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しおりを挟む「…はい。俺で、いいのでしたら」
立ち上がった理央の、その華奢な背を追いながら気付かれぬよう遮断剤を噛む。
ヒートが近い理央の甘い馨りは、俺のようなアルファには強すぎた。
(無理矢理犯して、咬んで、食い尽くしたくなる)
俺は今、仮にも番を得た。
本来であれば二条以外のオメガに劣情等抱くはずがない。
だが理央の甘い馨りが俺の喉を焼く。
俺に背を向け、ベッドに横になった理央をそのまま抱き寄せた。
俺の身体で覆って、他のアルファの目から隠してしまいたい。
「…ん、」
「理央、」
襟足に口付ける。
羽織っているシャツを滑らせ、理央の華奢な肩を唇で食んだ。
「…お前、今まで、オメガを抱いたことはねーのか?」
「ありません。自分の周囲にはオメガがおりませんでしたので」
「…そうか、」
「理央は今、…好意を寄せているかたは、いらっしゃるのですか」
「……知ってどうする」
ごくりと、喉が鳴った。
「どなたか、…仰って下されば――」
「言えねぇ、…」
「…俺に出来ることなら、何でも…仰ってください。精一杯、尽力致します、俺は――」
不意に理央が身動ぎ、俺の方を向く。
白い手が俺の前髪を払い、左の瞼を指の腹で撫でた。
「…もう寝よう。お前はそんな余計なこと、考えんな」
疲れた、とでもいうように理央が目を閉じる。
(俺にとってはあなたが全てだ)
その白い頬に、口付けた。
「…余計なことなどありません…俺にはあなたのことが何よりも重要です」
理央を喜ばせたい。
理央の役にたちたい。
理央を癒したい。
どれもこなせていない出来損ないの剱である自分には、理央に尽くすことしか出来ない。
「…大和、」
「好きです、理央」
そう告げたら、理央は寂しそうに笑った。
「…嫌ってくれよ。どうせ俺はオメガなのかもわかんねーような、こんな見た目だ。暁の血がなきゃ、俺を番にしてーなんて奴はいねーよ。自分でもそれくらいわかってる」
俺の頬を撫でる理央の手を掴んで口付ける。
「俺はあなたが好きです、あいしています」
「…、そんなことを口にしなくても、お前が望む限り、俺の剱はお前だ」
「…あなたが望むなら何でもする、何をしてでも絶対に叶えてみせます」
「…そんなこと、しなくていい、」
呟いて俺から目を逸らした理央の声は震えていた。
「理央、」
信じてくれと、続けられなかった。
しなやかな理央の腕に抱き寄せられ、その胸に抱かれた。
滑らかな肌と、甘い、極上の蜜の匂い。
そっと、鳩尾にキスする。
「おやすみ、大和」
「…おやすみなさい、理央」
理央の肌から馨る甘い匂いが喉を焼いて、俺はただ、内臓を焼いて競りあがるような劣情に吐息した。
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