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18.下等
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しおりを挟む「一応、お返ししておきます。司がお気に召しましたら、司にお渡し下さい。もし、戻って参りましたら、…また、お預け下さい」
おそらくは、俺よりも司の方が理央の役に立てる。
ただでさえ、吉良にも劣るような剱で、下等なアルファである俺は現状、理央のリスクにしかなれない。
こうして顔を合わせている間は理央もアルファである俺を無下には出来ないだろう。
謹慎中に切り捨てて下されば、俺もみっともなく理央にすがらずに済むというものだ。
本人を前に棄てると言われてしまったら、懇願して慈悲を乞う自信がある。
「……いい、お前が持ってろ」
「ですが、」
「戻って来るんだろう」
理央の細い指先が俺の眼帯を絡め取った。
目蓋を優しく撫でられ、吐息する。
「…理央が望んでくださるのならば、何としても」
「だったら持って行け」
「…有り難う御座います」
俺は膝をついて理央の白い手を取り、唇を押し付けた。エントランスで車の後部座席のドアを開けて待つ司の元に理央を送り届け、発進するのを見送ってから自室に戻れば、ドアの前に神木が立っていた。
「君は僕が送るよ」
「…そうですか」
「もっと嘆くものかと思っていたが、思ったより冷静だね」
「…戻って来いと…お言葉をいただいたので、…戻って来ていいのだと、幾許かの安堵を得ました」
「…そうか」
「ですが、…司のほうが理央様には良いのかもしれない、とも思います」
「どうしてそう思う」
「…俺では、理央様のお心をお察しすることが出来ません」
「…」
俺は、神木の沈黙に耐えきれず。
「通して下さい。戻る準備を致しますので」
そう告げたら神木はしばらくの沈黙の後、呆れたように吐息してドアの前から身体を退けた。
「…用意が終わったら僕の部屋をノックしてくれ」
「はい」
まるでため息のように言葉を吐き、神木が背を向ける。
ドアを開け、自室へ足を踏み入れながら自分の携帯端末から吉良へ発信した。
『…大和か、どうした』
「本日から剱の本家へ戻りますのでご挨拶をと。理央様のこと、何卒宜しくお願い致します」
『それはお願いされなくても面倒をみる。…他にあるんだろう、何か』
「…ベータの剱を用意するよう、父に依頼しましたが寄越された剱はアルファでした」
『それは…理由はあるのか』
「神木の意向のようですが…俺には判断出来ません。本題です。理央様は本日からヒートを迎えておられますので念のため、代理の剱には遮断剤を渡しておきました。足りないようなら貴方へ連絡するよう伝えましたので宜しくお願い致します。代金は前回と同様に」
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