虚口の犬。alternative

HACCA

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18.下等

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『了解した』

「理央様にも抑制剤を欠かさないよう、貴方からもお伝え下さい」

『…ああ』

「それでは失礼致します」

『大和』

「はい」

『理央と話はしたのか』

「…はい。戻って来いと、…お言葉をいただきました。…少し、安堵しております」

『…二条と番ったことは?』

吉良の言葉に唾液を飲み下す。

「…っ、…お伝えしておりません。…ご不快に思われるかと、…思ったので…今は、」

『そうか。…まぁそれが賢明だな、おそらくは』

「…有り難う御座います」

『励めよ』

「…はい。くれぐれも…理央様を宜しくお願い致します」

『何度も言わなくても宜しくする』

「…失礼致します」

通話を終了し、寝室のデスクの引き出しの鍵を開け、理央にいただいた鍵指輪を取り出して口付けた。

しばらくの間美しい細工を眺め、まるで理央のようだと一人納得してチェーンを首に掛ける。

他に持ち出すものを考えたが、特に何も浮かばなかった。

戻ってくるのだと自分に言い聞かせ、数日分の着替えだけを適当な鞄に詰めて自室を出る。

神木の部屋のドアをノックしたら、部屋の主は直ぐに顔を出した。

「…随分少ないんだね、君の荷物は」

「自分の物など…剱には大して必要ありませんので」

興味無さ気に「そうか」と呟いて部屋を出た神木の背中を追う。

神木が回した車の後部座席のドアを開けたら、「助手席に乗りたまえ。今日は理央の目を気にする必要も無いだろう」と言われて、鞄だけを置いてドアを閉め、代わりに助手席に乗り込んだ。

俺の態度に満足したのか、神木はクスリと笑って車を発進させた。

流れる無機質な景色を眺めていたら、神木が「一つ訊きたい」と口火を切る。

「…何でしょう」

「君には今番が居るわけだが」

「…えぇ」

「番を持った今、何か変わったことはないのか」

質問の意味を考え、それから回答した。

「…何も、変わりません」

「理央への感情も?今の君の番は二条だろう?」

「…ええ。しかし二条を愛しいとも思いません。性交を伴わない契約のせいかもしれませんが。…あるいは運命でなければ、こういった感じなのかもしれません。番った経験が他にないので判断のしようもありません、自分には」

「まさかもう、一方的に解除を?」

「いえ。それでは二条弟は使い物にならなくなるので。正式な解除を条件に二条兄と話をしましたから」

「…へぇ。実に興味深い」

眼鏡の蔓を押し上げ、微かに口角を上げる神木を横目に見る。

やがて剱本家の門を潜った頃、俺も切り出した。

「一つ、お願いがあるのですが」

「何だね」

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