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18.下等
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しおりを挟む「…こちらを、預かっていただけませんか」
理央の部屋と、寝室のキーを差し出す。
「何だ、これは」
「俺がお預かりしている理央様のお部屋と、寝室のキーです」
「…何故僕に?」
「貴方は神木の人間でベータです。そして貴方の口振りから察するに理央様に興味が無い。というよりも剱や吉良のように強制的に惹かれない。預けるのならば貴方しかいないと思ったまでです」
「君が理央から預かっているものだろう」
「…今朝、理央様にもお話しましたが、…代理の剱がお気に召されたら、父へ連絡していただくよう、お願いしております。俺は剱としてもアルファとしても出来がよくありませんので、…理央様には戻って来いとのお言葉はいただきましたが、どうしても…二条と番ったことは告げられませんでした。…理央様は気付いておられるのかもしれませんが、…明確に知られてしまえば俺は不要になるでしょう。理央様は潔癖というか、他のオメガの痕跡を極端に嫌悪されますので。…棄てられてしまったとき、こんなものを持っていては…俺は何をするかわかりません」
「しかし、――」
「お願い致します」
頭を下げたが、神木の返事は俺の想定外なものだった。
「…だったら、その、首にかけているものを預かる」
「っこれは、」
「普通に考えればそちらの方が理央にとっては危険だ」
「悪用するつもりはありません、本当に。ただ、理央様に――」
「神木としてはそちらの方が看過出来かねる。わかるだろう」
思わずシャツの上から鍵指輪を握り締める。
「…っ、」
気紛れだとしても、理央が俺にくださったもの。
(理央に棄てられても唯一、俺の手元に残る、理央の欠片だ)
本家のエントランスに車を停め、神木は俺の方を見ずに手のひらを空に向けて手を差し出す。
「…戻って来たならば返してやる」
「これは、…っ俺が理央にいただいた、もので…」
「駄目だ。それに本当に理央に君が不要になったなら、主従の鎖を切る。そんなものを持たせておく方が危険だ。…わかるだろう、剱直系の君ならば」
「…っ、」
(嗚呼)
諦めて目を伏せ、鎖を首から外して神木の手のひらにのせた。
「君の価値はこんなものではないよ。こんなものにすがるくらいならば理央にすがれ。犬のように尾を振れば、理央だって君を可愛がるさ」
「…俺は本来、理央様に嫌われていますから。そんなことをしたら余計に疎ましいと思われてしまいます。ただ邪魔にならぬよう気配を消し、命令を待つことしかできません」
吉良ほど理央に愛されていたならば、それも出来たかもしれないが。
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