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18.下等
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しおりを挟むアルファでありながら触れることも好まれず、剱でありながら主人の心すら察することもできない自分では、理央の不興を買う一方だろう。
容易く想像出来てしまう自分が情けない。
「…大和、君は――」
「吉良に劣る剱など、…っはは、本当に、」
神木が何かを言いかけたことは分かっていたが、俺は自分の有り体に笑いを堪えきれなかった。
「一族の恥です。…どうか、理央様をお願い致します。自分が戻らなかった時は、『お仕え出来て幸せでした。不甲斐ない剱で申し訳ありません』と、お伝え下さい」
「…戻るつもりはないのか」
「理央様がお許しを下さるなら何としても。しかしこれまでのことを考えれば、可能性は低いと思います。戻って来いとのお言葉はいただきましたが、……剱と違い、暁はそれと解らぬよう、真実として偽りを口に出来ますでしょう。…覚悟だけは、しております」
「…」
車を降りて後部座席から鞄を下ろし、沈黙したままの神木に頭を下げる。
「送っていただき有り難う御座いました。…失礼致します」
エントランスの奥には、私服姿の兄が立っていた。
「お帰り、大和」
「…仁、…兄さん、大学の方は――」
「主人を持つ剱でありながら、謹慎となった不甲斐ない弟の顔を見ておこうと思ってな」
「…返す言葉もありません」
「理央様の邸へ移る前の部屋に必要そうなものは用意してある」
「…まるでこうなることが解っていたかのようですね」
「荷物を置いたら中央の広間へ行け」
「はい」
※
曖昧な頃の記憶を手繰って自室にたどり着いて荷物を置き、広間を訪れた。
襖の前で膝をつき、声をかける。
「…大和です。ただ今戻りました」
「ああ、お入り」
「…はい」
襖を開ければ、父は障子を全て開け放った広間で柱に背を預け、ただ一人、煙管に葉を詰めながら庭を眺めていた。
「災難だったねェ。よりによって二条のオメガと番うとは」
「いえ、全て自分の浅慮のせいです」
「まぁ突っ立ってないで座んなさいよ」
「…はい」
燐寸(マッチ)を擦って葉に火を点ける父の傍らに膝をつく。
「神木に何か言われたか」
「…いえ、何も」
「よりによって番の居ない男性のアルファを寄越せなんてねェ、おれも想定外だったよ。ベータを用意していたからね」
「…申し訳ありません」
「まぁいい。これで当分二条は大人しくなるし、神木がアルファを用意しろと指示してきたってことはお前のバース性も問題無いんだろう。理聖ちゃんの心配も減るだろうさ」
「…はい」
「何をそんなに凹んでんの、お前は」
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